もうほとんど正気を失っていたというか、まともな精神状態じゃなかったその女の子は、部屋の隅にぼんやりと見える妖怪に向かって話しかけたんです。「あなた、だれなの」って。
 もちろん女の子は返事が返ってくるなんて思ってませんでしたけど……返ってきたんです、返事が。幻聴と同じ、聞いたこともない女の子の声でした。
 大きな目玉の妖怪の影は、真っ赤な長い舌を揺らめかせながら答えました。「わるい神さまだよ」って。
 返事が返ってきたせいか、朦朧としてた女の子の意識が少しずつはっきりしてきました。それで女の子は、その妖怪……わるい神さまに聞きました。どうして女の子ばかりを襲っているの?って。
 神さまは女の子の質問に、けろけろけろ、ってカエルみたいな笑い声で答えました。うれしそうに。
 笑いながら、妖怪は答えました。[[rb:探してるんだ > ・・・・・・]]、って。
 今までたくさんの女の子をさらってきたけど、どれも違った。探している子じゃなかった。そういって妖怪はまた、けろけろけろ、ってカエルみたいな声で笑いました。
 あのときのいじめっ子たちはどうしたの? 今までさらってきたって女の子はどうしたのって聞くと、神さまは、みいんな妖怪どものエサにしてやったよ、と答えて、またけろけろ笑いました。
 その笑い声が怖くて、女の子はシーツを引っ張り上げて頭から被りました。
 「[[rb:お前かもしれない > ・・・・・・・・]]」その声はシーツのすぐ向こうから聞こえてきました。女の子は怖くて、あんまり怖すぎて、そっとシーツの隙間から声の方を見上げちゃったんです。
 そこにいたのは……小さな女の子でした。目玉みたいな鈴がふたつついた、大きな帽子を被った女の子が、床にしゃがみこんでいたんです。
 「お前かもしれない」さっき聞いたのと同じ声で、その帽子の女の子は言いました。さっきまで妖怪に見えていた影が、自分を「わるい神さま」だと言った妖怪がそんな姿をしていたなんて、女の子には信じられませんでした。
 「こっちに来ないかい」神さまはそう言いました。でも、女の子には「こっち」がいったいどこのことかわかりません。
 そんな女の子の頭の中を読み取ったように、神さまは言いました。
「お前だって、もうこんなところにはいたくないだろう?」
 その通りでした。
 
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紅楼夢表紙お礼SSを書いていきます。
初公開日: 2024年10月30日
最終更新日: 2024年10月30日
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