・リリーvsチルノ決着シーン
 逃げ場を失ったリリーはチルノの必殺の一撃をまともにくらってふっとびます。その拍子に、溜め込まれていた春気が一気に溢れ出し、まるで花火のように弾けて空を彩りました。
 その見事な花火を目をすがめて眺めながら、チルノは今度こそ力を使い果たして地面に大の字になります。力を使い果たしたのはリリーも同じようで、空中からへろへろと地上に落っこちて、そのまま目を回していました。
(とばし)
 しかし、さっきまでのリリーの力は本当にすごいものでした。そこらじゅうをいきなり春に戻してしまうなんて、今までのリリーの力とは思えません。しかし、チルノはそんなリリーをなんとか弾幕ダンスバトルで下したことで、自分の力を改めて実感していました。体は疲れていますが、夏の熱気に負けないくらいの冷気が体の中からあふれてくる気がします。
(これだけ暑いのに、こんなに力があふれてくるなんて……!)
 このあいだの大ちゃんとのダンスバトルでは、先にへばって負けてしまいましたが、今なら、今のこの力なら大妖精にも負けはしない。チルノはそう確信しました。しかし、大妖精にリベンジを挑むなら、万全の体制を整えてから。それが親友である大妖精に勝負を挑もうとするチルノなりの心構えでした。
 空を見上げれば、太陽は中天を過ぎて傾いています。時計もろくに読めないチルノですが、いつも外で遊んでいるだけに太陽の具合で大体の時間はわかります。
「うーん、ずーっと準備運動してるのも逃げてるみたいでヤだし……よし、あとひとり! あとひとりと戦ったら、いよいよ大ちゃんにリベンジよ! というわけでリリー、練習相手になってくれてありがと!」
「はぇ……? はるですよー……?」
 まだ目を回しているリリーを置いて、チルノはびゅーんと飛んでいきました。どこに行くのかもろくに決めないままで。
・レイマリパート
「なー霊夢……」
「なによ魔理沙……」
 いっぽうの博麗神社では、博麗の巫女と普通の魔法使いがふたり仲良くだらけていました。最初はいつものように霊夢にちょっかいを出してはしばかれていた魔理沙も、空から容赦なく降り注ぐ太陽の熱気とそこらじゅうからうるさいくらいに聞こえてくる蝉の声にぐったりしています。
「かき氷かなんかないのかよ。この神社には客人をもてなす心の余裕はないのか」
「そんなにかき氷食べたきゃそこらへんでチルノでもとっ捕まえて食べてれば?」
「ばかやろ、私はこれでももとお嬢サマなんだぞ。どっかのぐーたら巫女と違ってそんな野卑なことできませんわ♡」
「『できませんわ♡』じゃないのよバカ。いっつも人んちに勝手に上がり込んでお茶請け要求してくるくせに」
 とか言っている間にも、昼を過ぎて太陽の熱気はますます強くなってきました。これほど暑くては、夏の終わりをしみじみ味わうといった情緒もへったくれもなし。というかこの暑さ、夏が終わりに差し掛かっているなんてとても思えるものではありません。
「なんかやたら暑いよな今年の夏。夏は暑いのが当たり前だけど、この暑さはいくらなんでも……」
「大げさねえ。春が過ぎても雪降ってたり、幻想郷じゅうが花まみれになったりするのに比べたらまだマシよ、こんなの」
 霊夢と魔理沙は、この幻想郷で起こってきた数々の異変を経験し、ときには咲夜や早苗、妖夢らとともにそれらを解決してきました。そんな異変の中には、霊夢の言うような季節がおかしくなる異変も含まれていました。
「異変、ねえ……」
 脱いだ三角帽子でだるそうに顔をあおいでいた魔理沙は、ふと考え込むような表情をしました。
(※魔理沙が今回の異変が「異変の再演」ではないかと気づく理由付けが必要)
「なあ霊夢、今まで同じような異変が何回も起こったことってあったっけか?」
「あー……?」
 霊夢は魔理沙の質問の意図を測りかね、怪訝そうな表情をします。
「そりゃあ……ないわね。異変の元凶をとっちめないと異変は終わらないわけだし。毎回なにか異変が起きたら、私かあんたが元凶をやっつけてるでしょ?」
「そうなんだが……うーん……」
 魔理沙はまだなにか考え込んでいます。霊夢はそんな魔理沙の顔を覗き込みました。
「あんたさっきからなに気にしてるわけ?」
「あー……わたし自身にもよくわからないんだが……ほら、ちょっと前にルーミアの様子がおかしかったことがあっただろ?」
「ああ、あったわねそんなこと。なんか踊りながら弾幕ごっこしてたし。でもあの異変って……」
「私たちが元凶だったあの摩多羅隠岐奈を倒して終わったはず……だよな」
 魔理沙の言うとおり、今から少し前、妖精たちがいっせいに踊りだすという異変が起こったことがありました。そのとき、妖精たちに混じって踊りだしたのがルーミアでした。霊夢と魔理沙はルーミアと戦ったのですが、そのときのルーミアは……というより、そのときの弾幕ごっこはいつもとはまったく勝手が違い、霊夢も魔理沙も一度は負けてしまったのです。
 結局その異変の原因は、摩多羅隠岐奈とその配下である二童子でした。そしてその異変はいつもどおり、黒幕を交えた酒盛りで幕を閉じた……そのはずでした。
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紅楼夢原稿を書いていきます。
初公開日: 2024年09月15日
最終更新日: 2024年09月15日
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