「ひえええっ! ふ、ふゆですよーっ!?」
これにはリリーも驚きの表情を隠せません。さっきまで桜の花びらが舞う春一色といった光景が、今は花びらの代わりに氷の粒が舞い散る冬景色に早変わり。
変わったのは光景だけではありません。さっきまで春気に満ちてピンク色の光をまとっていたリリーの弾幕が、チルノのもたらした冬の冷気に圧倒されるように弱まっていきます。
「よっしゃあ! これであたいのステージのできあがりだあっ!」
チルノは地面を凍らせることで、自分に有利なステージを作り出したのです。そして、氷の妖精であるチルノに有利であるということは、すなわち春の妖精であるリリーにとっては――。
「うううーっ、さむいですよーっ!」
リリーは地上のチルノめがけて弾幕を放ちますが、その狙いと勢いはさっきよりも明らかに弱まっています。チルノは凍りついた地面を裸足で滑るようにしてリリーの弾幕をかわします。その姿はまるで、華麗にスケートをしているよう。冷気を受けて活性化した背中の氷の羽が輝き、凍った地面の上にきらきら光る跡を残します。
その姿は、まさに氷の妖精のダンス。フェアリーダンス。
「……」
小さな氷精が氷の上に美しい軌跡を描きながら踊るさまに、リリーは思わず見とれてしまいます。いつもおてんばなチルノとは違ったその姿は、やはり妖精の中でも別格の力を持っている、そう思わせるものがありました。
チルノの両足が凍った地面から離れました。大きくジャンプ。背中の羽根からこぼれる冷気が、太陽の光を反射してきらきらとプリズムのように輝きます。
そしてチルノは、空中でくるくると回転し――。
「これでぇ、とどめだあっ!!」
両手を思い切り凍った地面に叩きつけました。強烈な冷気を受けた地面から突き出るのは、何本もの巨大な氷柱。退路を塞ぐかのように次々に突き出してくる氷柱を、リリーは回避するのが間に合いません!
ピチューン!という被弾音。がチルノの勝利を告げました。