「少年、アイスクリームとソフトクリームの違いは分かるか」
「は……?」
唐突に隣の少女が話しかけてきた。
入道雲が山を食む夏。
町の小さな駄菓子屋の前にあるベンチでアイスクリームをほおばっていた時だった。
「だからアイスクリームとソフトクリームの違いだよ」
少女がこちらを向く。
黒いさらさらとした髪がふわりと揺れて、視界が少しだけ暗くなった。
「え……?」
突然の質問に思わず首を傾げる。
アイスクリームとソフトクリームの違いってなんだ。
今まで全く考えもしていなかったので、つい考え込んでしまった。
「別にゆっくりでいいから、焦らなくてもいいよ」
隣に座る少女はそう言ってアイスクリームをなめていた。
アイスクリームとソフトクリームの違いってなんだ。
もう一度脳内で同じ疑問を繰り返す。(反芻はあり)(時間かけて考える)
硬さ? 粘度的なものか?
あとは形だろうか。でも、形ってわかりやすすぎる。見て分かるものを答えにしない気がするのだ。
この隣の少女が問いかけてきたものはもっと重たく、慎重に扱うべきなのだ。
特に根拠はないけど。何となくそう思っただけだけど。
……調べてみる?
いや、ダメだな。
すぐさま却下した。この間国語の先生が口にしていた言葉を思い出す。
───『最近の子はなんでも調べようとするからダメだ』
その話を聞いて確かにという気持ちと、すぐに調べようとなる己の思考に罪悪感が湧いた。
あと『最近の子』に括られたくないという反抗的な気持ちも。
やはり粘度だろうか。ソフトクリームはアイスクリームに比べて柔らかい気がする。舌触りがなめらかなのもソフトクリームだし。
「えっと……」
「ん? なんだ少年答えが出たのか」
少女がこちらを向いた。
「粘度、とかかなって」
少女がうーんと脚を組んだ。
「まあ確かにそうだけどな。それも答えにはなるか」
少女の反応的に、正解ではなさそうだった。
そもそも、この問いに正解があるのかどうか謎だけど。
「……もうちょっと考える」
なんだか負けた気がして───どこに対抗意識を抱いているのか分からないが───もう一度考え直すことにした。
「おうおう、頑張れ」
少女はまた前を向いた。鼻が高くて、可憐な横顔だった。
自分も前を向く。溶けてきたアイスクリームをじっと眺めた。
粘度が違うとなれば、あと何がある。やはり形しかないのか。
でも、やはりそんな単純な解ではない気がするのだ。さっきの『粘度』が違うと言われたのから考えると。
うむ、と悩んでいるとアイスクリームが傾いてきた。
こぼれ落ちそうになったところを舌でキャッチする。
「考えるよりも先に食べたほうがよさそうだな」
少女が笑うので小さくうなずいた。
隣をちらりと見ると、彼女はもうアイスクリームを食べ終えたらしくカップだけが手の中にあった。
「私の問いはどうでもいい……いやどうでもはよくないけど、先にアイス食べろよ」
お言葉に甘えてアイスをほおばる。
冷たいアイスが口の中で甘く溶ける。
口の中と外の温度の違いが心地いい。
なんか私がショタを書くとちょっとませたエロガキみたいになるの悩み。
小説は思想の塊だからな。
アイスクリームってカップかコーンかだよねどっちにしよう
でも駄菓子屋で食べてるなら……あ、いやうん……