魔眼。
 そう呼ばれる代物が蔓延るようになったのは一世紀ほど前からである。
 しかし今ほどの感染拡大パンデミックと比べたら一世紀前の「魔眼保持者」は極々一部であった。
 魔眼にも種類がある。
 見ただけで生物を石に変える物、見ただけで生物を死に至らしめる物、見ただけで相手の思考が読めるものなど、それは多岐にわたる。最近の「魔眼変異種」は例に挙げたものと比べると変わり種も多い。
 今、地球上でもっとも魔眼保持者が多いのは欧州ヨーロッパだ。イギリスだけは島国ゆえに感染拡大から難を逃れたが(奇しくもEU離脱と同時期であった)その版図は今やロシアにも近づいているという話だ。
 我々について説明しよう。
 我々の名は「魔眼劇団アイズレギオン」同志を集め世界を革命せんとする集団であり私はその長である。
 魔眼保持者は人類の上位種であり、進化体であると主張する。
 我々は群にして個、軍にして戦士。
 全ては革命を果たすために。
 そして今日も同志候補の一人を見つけた。
 魔眼保持者、それもとびきり貴重な魔眼持ちだった。
「やあ少年」
 私はその子に声をかけた。
「だれ、おねーさん」
 ドイツ人であろうその小さな少年はこちらを見上げる。
「よくぞ聞いてくれた! 我が名はマリア! 彼の聖母マリアと同じ名を授かった革命の戦乙女ワルキューレ!!」
「それじゃ神話がごちゃごちゃだよ」
「コホンッ!! 我が魔眼劇団は君のような逸材をいつだって欲している」
「魔眼劇団ってあの」
「そうあの」
「万年金欠の個人経営の貧乏旅団」
「うぐ……」
 そう我が魔眼劇団は今は私一人しかいなかった。
 革命の道は遠い……。
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魔欧州
初公開日: 2024年03月22日
最終更新日: 2024年03月22日
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