熱狂のうちに終わった「K.G.F. CHAPTER 1」。しかし戦いはまだ折り返し地点を迎えたばかり。40分の旧家時間を挟んで、次は「K.G.F. CHAPTER 2」が始まります。
 そして次なる戦いに備え、劇場の地下2階では「タージマハルエベレスト塚口店」が出張、カレーセットなどなどを販売しています。さらには売店では「K.G.F.」グッズも販売されておりコミケの壁サークル並みの行列が。
 わたくし人形使いも前半戦で平均的成人男性が1日に必要とするカロリー500年分を消費してなんかもう指先が冷えてきたのでカレーセットとラッシーを注文して後半戦へのエネルギーを補給。カレーを補給している。なおカレーは一瞬で飲んでしまったので写真はありません。カレーは飲み物。
 そして休憩時間も終わりに近づき、シアター内に人が戻ってきます。「CHAPTER 2」は前説無しで始まるせいか、なんか始まる前のシアター内には妙な緊張感が。
 通路脇からの戸村支配人の「後3分ほどで休憩時間終了です!」の呼びかけに、シアター内に集った人々は各々の武器を構えて戦闘準備を整えます。物々しすぎる。
 しかしそれも当然。「CHAPTER 1」の盛り上がりは前回の日記で記したとおりですが、「CHAPTER 2」では冒頭のアレとか中盤のアレとか終盤のアレとかあまりにも盛り上がりポイントが多すぎるのでクラッカーと紙吹雪がいくらあっても足りません。
 また、鳴り物は消費アイテムではないといえ装備した腕への負担があります。「映画を見に来たのに筋肉痛になる」という前代未聞の経験ができると評判の塚口ですが、わたくし人形使いは今回は6時間に渡ってリングベルを鳴らし続けたので、翌日には右腕だけ戸愚呂弟みたいになってるかもしれません。もしくはリンダキューブアゲインシナリオAのリンダ。
 そしていよいよ「CHAPTER 2」上映開始! シアター内の照明が落ちて少しずつ暗くなっていくのと反比例するように場内からは前回を凌ぐ歓声とクラッカーが。
 そこから「CHAPTER 2」いきなりの盛り上がりポイント、ドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコドコ(太鼓の音)「ROCKING STAR YASH」FOOOOOOOOOOOO!!!!!!
 この瞬間、ここは兵庫県尼崎市ではなくコーラーラ鉱山、そして我々はロッキーを称える民衆となっていた。塚口はマヒシュマティ王国になったり室町時代になったり大洗になったり新宿になったり忙しいですが、我々もまたマヒシュマティ国民になったり室町の住人になったり大洗の人々になったり新宿の通行人になったりと変幻自在に姿を変えて作品世界を称えるのです。
 もうここの一体感たまらん。今この記事を書きながらtwitter(頑なにXとは呼ばない)でK.G.F.マサラの感想を漁ってるんですが、その中に少なくない数の「余計なツッコミやヤジがまったくなくてよかった」という声がありました。この「余計なツッコミやヤジがまったくない」状態は、前述の一体感あってのたまもの。そしてその一体感は、今日このときこの場に集った人々の配慮あってのことと言えるでしょう。
 映画館に足を運ぶことは素晴らしい体験をもたらしてくれることですが、同時にそこにはリスクもあります。運悪く隣のおっさんがでかいいびきかいて寝てたり前の席でスマホ見てるのがいたりビニール音がガサガサうるさかったりといったマナーが悪い客がいるときに同席してしまうというリスク。そして、多くの人が集まり騒ぐマサラ上映においても、余計なヤジや場にそぐわないツッコミなどで不快な思いをした経験があるという人は少なくないでしょう。こうしたリスクは「自宅で一人で映画を見ていれば回避できる」という点も相まって、映画館から足の遠のかせる原因ともなるでしょう。もしかしたら、上記のようなリスクが原因で映画館にあまり通わなくなったという人もいるかも知れません。
 翻って今回のマサラ上映を振り返るに、今回そうした不安やリスクを覚えた人は一人もいないんじゃないでしょうか。上映開始前はわかりませんが、少なくとも上映が始まった後でそうした不安やリスクが頭の中にあったという人は一人もいないはず。狂騒や熱狂ばかりがウリだと思われるマサラ上映ですがさにあらず。塚口のマサラ上映、特にインド映画のマサラ上映のいちばんの魅力は、実は「観客同士の信頼の上に成り立つ安心感」なんじゃないかと思います。
 この場に集った人たちは自分を不快にさせることはないし、自分がこの場に集った人たちを不快にさせてはならない。そうした配慮と自制があってこそのマサラ上映です。
 まあ傍から見てると我々はスクリーンに向かって6時間ひたすら絶叫しつつクラッカー鳴らして鈴振りまくってる集団というなかなかの絵面なわけですが、塚口に集ったもんに血迷うとらもんはひとりもおらんど。(劇場側含む)
 ……といった感じで「CHAPTER 2」はもう冒頭から上がったテンションが下がらない盛り上がりから始まります。それどころか、中盤の盛り上がりどころであるビッグ・ママのあのシーンで盛り上がったテンションがさらに上がります。
 車の後部座席からロッキーが取り出した「ビッグ・ママ」こと.50ブローニング重機関銃が火を吹くと同時に、シアター内から劇場前の交番から兵庫県警に連絡が行ってもまったく文句が言えないレベルのクラッカーが火を吹くぜ!
 しかもスクリーン内ではロッキーが2回くらいリロードを挟んで延々と警察署を撃ちまくるんですが、シアター内のクラッカーも全然途切れない。みんなどっからこんな大量のクラッカーを持ち込んだのか。今日ここに集まった人たちの自宅の床板を剥がすと自家製の手投げ弾が大量に見つかるに違いない。
 わたくし人形使いは映画というものは疑似体験ができるものと心得ていますが、このシーンではひたすらビッグ・ママをぶっ放し続けるロッキーの気分を味わえるとともに、 1帯110発の12.7x99mm NATO弾で蜂の巣にされる警察署の気分が味わえました。「蜂の巣にされる警察署の気分」ってどんな気分だよ。
 これだけクラッカーぶっ放しときながら、まだ残弾が残っているのが塚口のすごいところ。多くの人「CHAPTER 2」でクラッカーをぶっ放したくてぶっ放したくて待っていた、隠れた人気キャラであるお茶くみ青年の「カラシニコーーーーーーフ!!!」からのカラシニコフ掃射、まさに圧巻。機動隊がすっ飛んできても言い訳不能ですよ。
 また、いつものことながら言及しなくてはいけないのが紙吹雪。今回のマサラ上映におけるエクセレント紙吹雪ポイントはなんといっても中盤あたりで屋敷の前で退屈そうにしているリナのところにロッキーがヘリで現れるシーン。
 映画でも小説でもマンガでも、優れた作品というものは「そこにはないはずの感覚を感じさせる」という特徴があると思うんですが、あそこのシーンで紙吹雪が舞った瞬間、わたくし確かに顔に風を感じました。塚口のマサラの紙吹雪は、スクリーンの中の出来事をこっち側に引っ張り込んでくれる力を持っていると思っています。
 というわけで、こうした盛り上がりはまったく衰えないままラストまで進行。しかし、あの衝撃的なラストシーンではクラッカーの音こそあったものの声が鳴りを潜めているのがまたいいんだ……。これまでさんざん書いてきましたが、塚口のマサラでは沈黙もまた作品の感動を深めてくれます。
 あのロッキーが金塊とともに海に沈みゆくラストシーン、かつてロッキーとなる前の彼が母親から寝物語に聞かされてきた「海は金が隠されているから光っている」という話から、ロッキー自身が海に金を隠す側になって話が終わるというな……。
 超絶カッコいいスタッフロールでは最後のヤケクソ気味な歓声とクラッカーが鳴り響き、ロッキーを称え続けます。
 そして上映終了後の写真撮影ではしれっと戸村支配人から「ヤマドンガ」マサラ上映の言質が取られるなど最後まで油断ならないマサラ上映でした。
 いやーしかし楽しかった! 久々の長丁場のマサラ上映でしたが、その間ずーっとこの場に集った人たちと「楽しい」を共有することができました。
 わたくし人形使いもかなりの回数マサラ上映に参加してきましたが、マサラ上映の醍醐味はずばり「団結と共有」だと思うんですよね。自分一人だけでは決してできない、そして独りよがりでも決して成立しない上映。特に今回は長丁場であったにも関わらず座席は完売御礼、そしてやはり塚口を、そしてインド映画を愛する人々の持つエネルギーが同じ指向性を持って爆発する熱狂はここでしか味わえません。
 前述の通り、今回のマサラ上映が塚口での今年最後のマサラ上映となります。しかしすでに我々の心と塚口の上映スケジュールは来年に飛んでいる! というわけで、今回塚口に集まった皆さん、戸村支配人をはじめとする劇場スタッフのみなさん、毎回素敵な写真を撮影してくださる関西キネマ倶楽部さん、そして毎回のマサラレポを読んでくださっているみなさんに感謝しつつ筆を置きたいと思います。
 お(つかれさまで)したッ!(体育会系挨拶)
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塚口サンサン劇場「K.G.F. CHAPTER 1&2」連続マサラ上映戦い抜いてきました!後半戦
初公開日: 2023年12月10日
最終更新日: 2023年12月10日
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