冬コミの当落も出たのでサクサクと進めて行きますよ戦利品レビュー。とか言ってると秋季例大祭新刊の通販分が追加されていく。
・反獄王宮出口瑞霊 畜生三団体暴露本(すずだんご)
 USBメモリやらソノシートやら桐箱入りの同人誌など異次元の同人作品を発表し続けているサークルさん、今回の新刊は、以前桐箱入りで発行された強欲同盟、剄牙組、鬼傑組の三団体の手打本の精神的続編とも言える一冊。
 「ルポライターあや」こと射命丸文のもとに届いた獄中からの手紙。それはそれぞれ強欲同盟、剄牙組、鬼傑組の三団体に関与していた収監者から送られた、各団体の内情を暴露することを目的としたタレコミだった。文は彼ら3名からのインタビューを行うのだが……。
 本作の特徴的な点としては、前橋刑務所に依頼して刑務作業の一環として製本・印刷された同人誌ということ。
 わたくしも長いことオタクをやってますが、刑務所で作られた同人誌なんて地球上にこれしか存在しないと思います。異次元すぎる。
 このサークルさんの作品は今までいくつか手に取ってきましたが、それらはどれも「作品の外に意味を持たせている」と感じました。作品の内容だけでなく、その制作過程やその媒体などが非常に独特。しかもやみくもに意外性を持たせているのではなく、「この作品はこのプロセスでしか作れなかった」と読者に思わせるチョイスをしているのが見事といった感じ。
 そもそも創作において、読者や視聴者が手に取るのは基本的に成果物、つまりリザルトでありプロセスに触れることはあんまりありません。しかしこのサークルさんの作品は制作のプロセスまでを「成果物」の範疇に含め、そこに意味を持たせているのがすごいと感じます。そうすることで作品の意義がプロセスが追加された分広がるんですよね。本作はその内容と合わせて、「実際の刑務所で刑務作業として製本された」というプロセスも含めて作品だと言えるでしょう。
 さて内容に関してですが、前述の通り本作は3人の収監者に対して文が行った3つのインタビューの文字起こしとなっています。そして収監者は、全員原作ではまず表には出てこない、いわゆるモブキャラ。しかし、だからこそ彼ら・彼女らの口から語られる畜生三団体の内情は、各団体のリーダーが主役だった前回の手打本とはまた異なる角度で畜生界の様子を描写しています。
 ……というかどれも各種犯罪やそういった組織の描写がイヤに具体的というか生々しいというか詳細というか、明らかにNOカタギのかほりが漂っており危険な匂いがします。これらの詳細な描写と前述の「この本は実際の刑務所で製本された」というプロセスが重なることで本作は完成すると言えるでしょう。
 ……あれ? そういえば表紙にデカデカと載っている反獄王こと宮出口瑞霊は本文中には影も形も出てきてないよな? と思わせといてのエピローグが実に上手い。そう、このサークルさんの作品は決して意外性だけのものではないんですよね。
 けっこうなお点前でした。
 今日はここまで。
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第19回東方紅楼夢戦利品レビューその6
初公開日: 2023年11月12日
最終更新日: 2023年11月12日
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