僕が目を覚ましたのは、自分のベッドの上だった。まだにじんだようにはっきりしない目をこすると、見慣れた白い天井、見慣れた白いシーツ。
頭の中はもやがかかったようで、ぼんやりしている。ここに来るまでに自分になにがあったかも、記憶がはっきりしなくて思い出せなかった。
全身が重たい。かろうじて動く頭を動かして、左を向く。そこにあるのは――いつもどおり、見慣れた弟の寝顔。
その顔に、僕は足元が抜けるくらい安心した。思わず深く深く息をつく。
「……泣いているのか、12号」
「え……」
そう言われて、僕はろくに力の入らない腕をなんとか持ち上げて自分の頬に触れた。濡れている。
涙を流すのなんて、いつぶりのことだろう。涙を拭った自分の指先が、なんだか自分のものじゃ内容に思えた。
「記憶は?」
そう聞かれた僕は返事を返そうとしたけれど、言葉が喉の奥に詰まったようになってうまく言葉が出てこない。
「うまく話せないようだな……だが、その程度なら幸いだと思わなければ」
そう言って1号さまは、僕の不安をなだめるように頭を優しく撫でてくれた。
「検査の結果によれば、うまく話せないのは一時的な症状だそうだ。――ここに来るまでのことは、覚えているか?」
記憶ははっきりしない。僕はシーツの上で首を横に振った。
「そうか……。お前は、私と一緒にこの教団の最下層にある『聖域(サンクチュアリ)』……つまり、この教団が擁する実在する神、創造維持神が安置された階層へと行ったのだ」
1号さまの話を聞いていると、曖昧だった記憶が少しずつはっきりしてきた。
そうだ……僕は1号さまと一緒に、大きなエレベーターに乗って、神様がいるという教団の最下層に行ってきたんだ。そこで僕は、何重にもなったガラスの箱の中に閉じ込められた神様を見たんだ。そして――。