もう来月はGWで新作映画が続々公開されるのに加えて、そろそろコナンの新作でシアターが埋まってしまうので、その前に見るべきものは見ておかなくてはいけないということで見てきました「ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り」。
なんでも死体役がやたらと豪華なそうですが、ちょうど字幕版の公開が今日までだったのでまずは字幕版を見てきました。感想の方は公開されてからけっこう経ちますし、そもそもネタバレが気になるような作品でもないのでネタバレ反転はなしで。
いやー素直に面白かった!
ストーリー部分は特に大きなギミックやどんでん返しはない、今時珍しいくらいの王道ストーリー。だからこそ詰め込まれた各要素を素直に楽しめる作品となっていたと感じます。
ストーリーの根幹部分にあるのは、落ちぶれてしまったり大切なものを失ってしまったりした者たちが集まり、ひとつの目的のために協力するというもの。テーマとしてはありふれたものです。
しかし、だからこそ本作はいわば素材の味をしっかり活かした作品、作品としての地盤が強い映画*になっていると言えるでしょう。
主人公である盗賊・エドガンはほんのわずかな欲を出して宝を盗んでしまったために報復として妻を殺され、女戦士・ホルガは異種族の男と恋に落ちたため一族から追放されて、魔法使い・サイモンは高名な魔法使いの弟子でありながら落ちこぼれ。彼らはそれぞれに欠落を抱えており、さらにエドガンは自身曰く「失敗のチャンピオン」。自身の欲で妻を殺されてしまった上に、娘を託したかつての仲間に裏切られて娘にも信頼されていない。
こうした欠落を解消して自信を取り戻すという図式はもう手垢のついたものです。しかし、近年稀に見るほどその手垢の付いた王道ストーリーを奇をてらうことなくまっすぐに描いているのがまたすごい。
ストーリーの主軸だけでなく、起伏や起承転結もほとんど教科書的と言っていいくらいお約束で、映画のみならず物語を好む人間ならもう飽きるほど見た展開ではあるんですよ。負け犬たちがぶつかりあいながらも一念発起して大きな目的に挑むも障害に阻まれ一度はくじけかけるも奇策で障害を乗り越えてハッピーエンド! で本作のストーリーは全部説明可能。
しかし、だからこそ心に刺さるんですよね本作。本当に上記の珍しいところなんて全然ない王道展開を素直に丁寧にやってるので、中盤での仲間たちがそれぞれの弱さ、失ったものを告白して結束を固めるシーンは柄にもなく素直に感動してしまいました。泣かせるじゃねーかちきしょーめ。(江戸っ子)
「己の弱さを認め、仲間を信じる」というのはこないだ見た「グリッドマン・ユニバース」でもあったヒーローのお約束です。
もちろん本作はただ単に王道のストーリーだけが売りというわけではありません。古典的TRPG「ダンジョンズ&ドラゴンズ」を原作とした、これまた今どき珍しいハイ・ファンタジー作品となっています。
わたくし人形使いはTRPG未経験者なので、いわゆる「D&D」というとゲーセンのベルトスクロールアクションゲームなわけですが、そこで見た種族や魔法、アイテムなどがふんだんに使われていて見ごたえがありました。
冒頭の変身能力を持つドルイド・ドリックの変身を繰り返しながらの逃走劇、巨大……というかデブいドラゴンの脅威、死者蘇生&尋問、魔法のポータル、時間停止魔法などなど、これぞ直球ファンタジーといった映像が十分に楽しめます。
ファンタジーと言えばモンスターも大きな魅力。本作ではミミックやドラゴンといったおなじみのモンスターをはじめ、さまざまなモンスターの登場も楽しめます。そういや色んなゲームで見てきた名前のはずなんですが、「アウルベア(オウルベア)」が文字通りのフクロウ+熊だって初めて知ったぞ。あとなんか黒豹にハエトリグサがついてるようなモンスターがいたけどありゃなんだ?
また、キャラクターもみんな魅力的。特にtwitterで「セクシーパラディン」の名をほしいままにしているゼンクはチョイ役なのにキャラとその身にまとうフェロモンがあまりにも濃すぎる。しかも吹替版では声優が中村悠一らしいのでそれを見るためだけに劇場に足を運んでしまいそう。というか吹替版はまだ上映しているので見に行くぞ。
そして本作最強のモンスターとも言えるのが、冒頭でエドガンから彼の娘・キーラを託されたと思ったらあっさり裏切ったローグ・フォージ……というかヒュー・グラントですよ。なんだよあの山本メフィラス耕史とタメ張れそうな胡散臭さは。
なんかもう喋り方、目つき、仕草、声質などなど全部が胡散臭い。いるだけで胡散臭い。ナチュラルボーン胡散臭い。というかあんなの仲間にした挙げ句一人娘を託してしまうとか見る目なさすぎだろエドガン。最後は企みが露見して敗れてしまいますが、あれ続編でひょっこり生きてるタイプのキャラだろ。上記のように本作は非常に魅力の多い作品なのに、最終的な感想が「ヒュー・グラントがあまりにも胡散臭い」に落ち着いてしまいました。
まあでも、繰り返しになりますがこれだけ王道で奇をてらわないストーリー構成の作品でこれだけ面白い作品というのは、実はとてもすごいことなんじゃないですかね。本作は感動巨編とかではなく、金曜ロードショーで定期的に放映されてそのたびにみんなでゲラゲラ笑いながら見る方向性で名作だと思います。