※この日記を書いているのは3/12深夜ですが気にしてはいけない。だって書くことが多すぎるんだもの。にんげんだもの。みつを。
 さて、本編開始前から常人ならば6度ブッ倒れるほどの興奮と熱狂が渦巻くサンサン劇場シアター4。
 これで本編が始まってしまったらどうなってしまうのか。待合室のモニターでは「尼崎市で稼働可能な救急車は10台」と言ってますが……。
 そんな心配をよそに、いよいよ「バンバン!」上映開始!
 前回の日記でも触れた通り、わたくし人形使いは今回の「バンバン!」が初見です。なのでマサラ上映の様子と自分の感想を織り交ぜて書いていこうと思います。
 わたくし人形使いは初見の映画はトレーラー以上の情報は取得しないという姿勢で臨んでいるのでストーリーに関してもネタバレなし。
 本作の重要なマクガフィンとなるのが、現在はロンドン塔に保管されているという実在するダイヤモンド「コヒヌール」。本来はインドのものであったそうですが、パンジャーブがインド帝国の支配下に下ると同時にヴィクトリア女王のもとに献上されたとか。
 冒頭ではこのコヒヌールのインド返還を求めるデモやニュースの様子が描かれます。「RRR」のときにも思いましたがえげれすはほんとにロクなことしてないな。
 しかしこのコヒヌール、ただ単に「価値のある宝石」ってだけじゃないのが後半で明かされるのがまたいい。
 主人公であるラージヴィールはある目的のためにこのコヒヌールを盗み出します。そしてその逃亡劇の中で本作のヒロインであるハルリーンと出逢って……というのが本作のあらすじ。
 本作が「ナイト&デイ」のリメイクであること、キャッチフレーズが「ド派手な怪盗&地味めOLが世界を救う!?」ということから、本作はいわゆるスパイ映画だと思ってましたが、実際見終わってみるとスパイ映画の味付けはしてあるもののスパイ映画か?と聞かれるとスパイ映画ではないような気もする。というか本編を実際に見たあとだと、この映画の背骨の部分にあるのは「あるべき場所、いるべき場所としてのホーム」なんじゃないかと思います。
 まずヒロインであるハルリーンのホーム。冒頭から孫相手に恋バナをしてくれる素敵なおばあちゃんのいるハルリーンの家は、まさに彼女にとっての「帰るべき場所」。こうした作品では、しばしばヒロインや主人公は自分の平凡な、あるいは殺伐とした生活に嫌気が差してそれまでいた場所を飛び出し新しいホームを見つけるという展開がありますが、本作ではハルリーンにとって彼女の家は一貫して常に彼女が帰るべき場所として機能しています。中盤、ラージヴィールと別れ別れになったハルリーンがいったん家に戻ってくる展開とか、そこでまたおばあちゃんが冒頭と同じようにハルリーンに恋バナをするシーンとかで、本作における「帰るべき場所としてのホームの描写」が際立っていたと感じました。
 対して、主人公であるラージヴィールはある事情、ある任務から「ホームに帰れない男」となっています。
 中盤で彼にもかつて「我が家」があり、その家で彼の両親は今でもラージヴィールの帰りを待っていることが明かされます。
 実はラージヴィールの正体は作品冒頭で国際犯罪者であるオマル・ザファルによって殺害された潜入捜査官の弟で、ザファルを捕らえるため、そして何より兄の仇を取るため自分も行方不明と偽って極秘任務に身を投じていることが明かされます。そしてラスト、彼はようやく帰るべき場所、自分の家にたどり着きます。その家の表札には住所とそして「我が家」という文字が……。泣かせるぜちきしょーめ……。(江戸っ子)その「我が家」を見つけたのがヒロインであるハルリーンというのも良かった……。
 そして今回の悪役であるオマル・ザファルにもホームがあります。たどり着くべき地獄というホームが。
 冒頭でザファルは自分を捕らえようとしたラージヴィールの兄を返り討ちにし、彼を焼き殺します。そのザファルもまたラストバトルで炎の中に消えていきます。因果ですねえ……。この「全ては因果の果てに行く着くべきところに終着する」というのが、どんなエンターテイメント大作インド映画にも通底しているインドの世界観で好き。
 で、登場人物それぞれの「ホーム」とコヒヌールがどうつながるかという話です。
 実はこのコヒヌール、終盤で盗まれてはいなかったことが発覚します。そもその本作の一連の事件は実は茶番。国際犯罪者であるザファルをおびき出すためにインド政府とイギリス政府が協力して行っていた偽装作戦だったわけですね。
 前述の通り、このコヒヌールはインド人にとっては歴史ある品物で心の拠り所となっています。だからこそ返還運動が起こっているわけですが、そんな大切なアイテムが実際には盗まれてはおらず変わらずそこにあったという展開は、「自分が帰るべき場所であるホームは変わらずそこにあった」という意味を持たせてあるように感じました。
 さて、本作を語る上で主役を張るリティク・ローシャン氏に言及しないわけには行かないでしょう。
 リティク氏の出演作品はこないだ見た「WAR!!」が初見だったんですが、まあ手足が長いのでアクションが映える映える。そして本作でもその魅力は健在。というかこの人フェロモンの元栓ブッ壊れてるんじゃないの?
 こんなんが普通に道歩いてたら目撃した男性も女性も全員ぶっ倒れて病院行きですよ。
 もう登場シーン全部でいわゆる「イケメン風」が吹いてるし決めシーンでは常に「イケメンスローモーション」が発動するし、一挙手一投足にフェロモン効果が乗ってるのでもう画面が濃ゆい濃ゆい。しかも今回は発生可能マサラ上映なので観客席からは黄色い悲鳴というか怒号が上がっていました。
 世の中にはただ単に美人、ハンサムというのを通り越して「一般人とは明らかに作画が違う」人種がしばしば存在します。典型的な例がビョルン・アンドレセンですね。あの人明らかに作画が魔夜峰央先生だろ。
 リティク氏もただたんにハンサム、イケメンなだけではありません。あの目ですよ。
 「WAR!!」ではそれほど感じなかったんですが、本作は特に顔がはっきり見える明るい場面でのアップが多いので改めてあの独特の、まさに宝石のような瞳がこれでもかと大スクリーンで拝めます。
 リティク氏の顔立ちが飛び抜けて整ってるのはもう言うまでもないことですがそれに加えてこの瞳によって彼の魅力には「神秘性」という属性が付加されています。そこでまたコヒヌールの話に戻るんですが、こうした宝石は得てして多くの所収者をそのい美しさで魅了し、かつ破滅させてきました。コヒヌールもまた、さまざまな動乱の中で血塗られた歴史を作り上げてきたあやかしの石。
 リティク氏の美しさを通り越してもはや「魔性」とも言えるこの瞳こそ、本作におけるもうひとつのコヒヌールと言えるのではないでしょうか。
 そんなリティク氏の魅力がいきなり限界突破するのがみんな大好き「トゥメリ」ですよ。
 前述の通りわたくし今回のマサラ上映が初バンバン!だったわけですが、wtitterのほうで「トゥメリがあんなに早く来るとは思わなかった」「QTK(急にトゥメリが来たので)」というツイートが流れてきてて、あのクライマックスがそんなに早く来るの?と身構えてましたがほんとに早く来てびっくりしました。
 どのくらい早い段階で来るかわかりやすくガンダムで例えると、アムロがフラウを逃がすあたりですかね。わかる?
 そして言うまでもなくトゥメリのシーンは観客総立ちで踊ります。ここほんとに映画館?(いつもの)
 しかも今回は発声可能とくれば、館内はもはやお祭り騒ぎ。そのボルテージが最高潮に達する、戸村支配人の言う「インド映画史上いちばんわかりやすいクラッカー鳴らすポイント」!
 毎回マサラ上映の撮影を行っている関西キネマ倶楽部さんがこの歴史的瞬間を収めたgif動画がtwitterで公開されているんですが、もう最高としか言いようがありません。ピュリッツァー賞はいただきだ!
 わたくし人形使いは写真撮影のことについてはヒメマルカツオブシムシ程度の造詣しかありませんが、このgif動画、あまりにも美しすぎて、わたくし思わず「ああ! う、美しすぎます……!」とエリナ・ペンドルトンと化していました。
 暗い館内がスクリーンからの花火、そしてリティク氏のトゥメリジャンプで一気にまばゆく輝くと同時に吹き上がる黄金の紙吹雪の美しさたるや。
 わたくし塚口のマサラ上映の感想のたびに言ってますが、塚口のマサラ上映は映画を見るのではない、映画の一部になるのだ!!
 トゥメリのこのシーンがバズり始めたとき、そしてついに塚口でのマサラ上映が決定したとき、誰もがこの瞬間を夢見たことでしょう。そして上映中、今日このときシアター4に集まった仲間たちはこの瞬間を今か今かと獲物に今まさに飛びかからんとする肉食獣のごとき面持ちで待ち構えていたことでしょう。
 カタルシス! なんというカタルシス!! モルヒネなんかメじゃないレベルの多幸感が俺を襲う!!! ああん!! もう戻れなくなっちゃう~~~~~ッ!!!!
 などと悶え転がっていますが映画はまだ序盤も序盤なんですが大丈夫なの? 大丈夫なわけねーだろ。
 ここからストーリーはまさにジェットコースターのごとく停滞なくクライマックスに向けて一直線に走り抜けます。そして画面からほとばしるリティク氏のフェロモン。パンフにも「これ見よがしに神々しい肉体美を見せつけるシーンが何度もある」とか書かれてて笑ってしまう。
 もう怒涛の如き不況の波……ではなくカッコいいの洪水がスクリーンから溢れ出してきてもう大変。およそ人類が思いつく限りのカッコいいを全部ぶち込んでみました的な展開、そしてをそれを全部こなすリティク氏にわたくしもはやメロメロです。
 特にこういう映画のお約束中のお約束であるカーチェイスでF1カー持ってくるあたりが最高。ヒロインがさらわれた! 追いかけろ! おっ、たまたまこんなところにF1カーが! そうはならんやろ! なっとるやろがい!!
 本作における最大のそうはならんやろポイントは何と言っても後半の水圧で空を飛ぶフライトボードでの追走劇でしょう。なんでもこのフライトボードをスタント無しで実際に用いた俳優はリティク氏が初だとか。
 スパイ映画の楽しみのひとつが未来ガジェットなわけですが、これをスタント無しでやってるのはすごい&カッコいいの一言。イルカかよ。こういう点でもインド映画は近年大きく注目を集めていると言えるでしょう。
 カッコいいと言えばカトリーナ・カイフ演じるハルリーンも良かった。この美貌で「地味なOL」は流石に無理があるだろとは誰もが思ったことでしょう。
 本作はハルリーン視点で見ると、いわゆる「人生変革もの」としての側面が見えてくると思います。
 ハルリーンは安定してはいるものの刺激のない人生に不満を持ちつつ、半ば諦め気味に生きています。しかし一縷の望みをかけて出会い系サイトに登録したのが運の尽き。
 出会い系サイトに登録して待ち合わせしててあんなの(失礼)が出てきたらそりゃあ人生おかしくなるわ。
 そして最初はラージヴィールに振り回されるばかりだったハルリーンが次第に積極的に事態に関わろうとするようになっていくのも、平凡な人生に流されるままだった彼女が自分の人生を変えるために自発的に行動するようになったという変化の現れのように思いました。
 本作のキャッチコピーである「あなたの日常に冒険とロマンスを!」が言うところの「あなた」とは、ハルリーンのように平凡な人生に埋没しようとしていながら一歩が踏み出せない人々を指しているんじゃないでしょうかね。
 ラストシーンで看護師に変装したハルリーンがラージヴィールに睡眠剤を飲ませて病院から脱出する下りとか、前半で同じようにハルリーンに睡眠剤を飲ませたラージヴィールに対しての意趣返しであるとともに、ハルリーンがさまざまな意味でラージヴィールに「借りを返した」シーンなのがとても好き。
 そして個人的にすごく良かったのが、終盤近くでもう1回トゥメリのメロディが流れるところ。肝心なところでメインテーマのフレーズが使われるのとかそれ全オタクが好きなやつ~~~~!!!
 などと本編中延々と悶え転がっておりました。しかしまだまだ宴は終わりません。全員スタンディングのスタッフロールで会場のボルテージは限界突破。万雷の拍手のもと上映は終了。
 上映終了したらしたで登壇した戸村支配人に向かってさらに追い万雷の拍手と歓声が! なんだよ追い万雷の拍手って。みんなよくそんな体力と紙吹雪とクラッカー残ってるな。
 そして戸村支配人の「いよいよ塚口に王が帰ってきます!」の言葉に館内は一瞬にしてマヒシュマティ王国と化し、王の凱旋を待ち望んでやまない国民たちのバーフバリコールが響き渡る! 愛されすぎだろバーフバリ。
 そんなもはや暴徒と化した国民を「ちゃんとやるから!(汗)」となだめる戸村支配人。まさに森を支配する虎。こんな暴徒を抑えられるのは戸村支配人しかいませんよ。
 なんとか暴徒が沈静化したので、館内は恒例のお片付けタイムに入ります。とか思ってたらここでまさかの追いトゥメリ! いやもう心身ともに限界が来てるんですけども!? でも館内には己の生命に頓着する者はひとりもいないので問題ありません。全身の骨格がヘシ折れて生物学的分類が無脊椎動物になろうともトゥメリ。
 そんな感じで充電期間とかなんだったの?と言いたくなるような狂瀾怒濤の塚口トゥメリ、無事閉幕となりました。
 しかしこの日記を書いている時点ですでにみんな大好きバーフバリ 伝説誕生・王の凱旋の連続マサラ上映のアナウンスが行われており、我々マヒシュマティの民に休息の時はありません。
 それでは皆さん、次はマヒシュマティ王国でお会いしましょう!
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塚口サンサン劇場「バンバン!発声可能マサラ上映」踊り切りました!後編
初公開日: 2023年03月07日
最終更新日: 2023年03月13日
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塚口サンサン劇場「バンバン!」マサラ上映の感想を書いていきます。