というわけでようやくクリアしました「秘封フラグメント」。はー苦戦した……。
では感想を書いていきましょう。
「各シーンで記憶されたフラグメントからキーワードを生成して、あらかじめ分岐が発生しそうなタイミングでセットしておく」という本作の目玉システムがしっかり機能している作品でした。
特に、「フラグメントの記憶は自動だけど、そこからのキーワード生成は手動」という点がよかった。これ一見、二度手間になってるように見えますがさにあらず。
このシステムの進化が発揮されるのは2周目から。
1周目のキーワード生成は「フラグメント中の文章から単語や意味のある短文を選べばいい」という理由でけっこう簡単でそれほど詰まりませんでした。詰まりやすいポイントは、どちらかというとこのシステムとは関係のない「ゲーム中には時間が流れており、適切なタイミングで文章を送ることでルートが分岐する」という部分に気づかない、というところだと思います。これ自体は「選択肢によらないルート分岐」のアイデアとして上記のシステムと並んで非常に斬新でした。
さて2周目についてですが、実は2周目もルートや分岐ポイント、分岐のために必要なキーワードは1周目とまったく変わりません。しかし、2周目は1周目で使えたシーンジャンプ機能を使うとクリア不能という制限が課せられます。そのため、2周目の攻略は通しでトゥルーエンドルートまで到達しなくてはいけないという形で難易度が上がるわけです。そして、その2周目をクリアするためには、「1周目の知識を活かしてシーンジャンプによるフラグメント収集をせず、限られたフラグメントの中から分岐条件を満たせるキーワードをどうにかして生成する」という方向性の攻略が必要になるわけす。
本作の面白いところが、「意味を満たしていればキーワードは異なった単語や短文を使っても通る場合がある」ということ。例えば、「彼岸花」というキーワードが分岐条件であることがわかっているのにそのキーワードを生成できる文字があるフラグメントがなくても、別のフラグメントの中から1文字ずつ抽出して彼岸花の英名である「リコリス」というキーワードを生成することで分岐条件を満たせるわけです。
これらの点が1周目と2周目の攻略難易度の差別化に大いに効果を上げており、ただ単に同じルートをもう1回やり直すだけではない面白さを創出することに成功していると言えるでしょう。
「ゲーム側があらかじめ提示していたシステムの使用を制限することでゲームの難易度を上げる」というやり方は「ゲームシステムの使用を制限したせいで目玉となるシステムが機能しなくなり、結果そのゲームの面白さ自体が減衰する」という危険をはらんでいると思いますが、本作はその問題を上手く回避していると思います。
反面、2周目で「シーンジャンプ機能を使用するとクリアできなくなる」という変化をプレイヤーに直接的に示したり、プレイヤーがそれに気づくような動線がなかったのは気になりました。お陰で最初の2周目は1周目と同じく全ルート埋めてしまいましたよ……。
最初の方で特定のキーワードをセットしないとループし続けるという形で本作のシステムをわかりやすく提示していただけに、この点はちょっと気になりました。
プレイ時間は8時間くらいでしたが、そのうち数時間はキーワードがわからずに悩んでた時間などなどなので、スムーズに行けば5時間程度でクリアできるんじゃないですかね。
・非公式コミック&ガイド マンガ秘封フラグメント(アンタマニド)
そして今回のレビューは豪華2本立て。
ゲームの方をクリアしたのでこちらもレビューします。
こちらはタイトル通り「秘封フラグメント」の非公式コミック&ガイド。ゲームシステムやその内容の解説を、実際に蓮子がプレイし、メリーはゲームの中に吸い込まれてしまうという体で描いています。
このように本作では、ゲームの解説をはさみつつ現実側の蓮子、ゲーム側のメリーのふたりが協力してゲームを攻略していく流れが描かれています。
秘封倶楽部は結びつきが強力であるがゆえに離れ離れになりやすいわけですが、本作ではふたりを現実とゲーム側に分けるアイデアが秀逸。なので、蓮子がゲーム攻略を進める右パートとゲームシステムや攻略を紹介している左パートが違和感なく読めます。
本作は「ゲームの攻略同人誌」ではなく「ゲームの紹介をしている本」、「原作ゲームをコミカライズした本」そして「作者であるアンタマニドさんがこのゲームをプレイしたときの感想をまとめた本」の3つの顔を持つ同人誌だと言えるでしょう。
というわけでようやく去年の例大祭戦利品レビューが終わりました。
しかし俺たちの戦い(レビュー)はこれからだ! 人形使い先生の次のレビューにご期待ください!