これまで塚口では「伝説巨神イデオン」「劇場版機動戦士ガンダム三部作」「幻魔大戦」などなど、この作品をスクリーンで見ることが叶うとは思わなかった作品が山ほど上映されてきました。
 そして今日見てきたのもそんな作品のひとつ。
 わたくし恥ずかしながら本作は未見でして、今回が初めての視聴になります。
 制作は1987年。実に35年ぶりに4Kリマスターされた作品。
 今考えるとガイナックスとバンダイが手を組んで作った作品ってすごいですよね。しかも本作、バンダイが初めて制作した映画という。
 では感想を。
 エンディングで人類の発展と戦争の歴史を辿っているのでオネアミスは実質メタルブラック。猫も出るので言い逃れは不可能。
 アホはさておきその色褪せないビジュアルでしょう。わたくし清く正しいおとこのことしては、エンテ型の飛行機が出てきただけで脳内の小学3年生500万人がスタンディングオベーションですよ。
 言葉を費やすまでもない背景美術、細部まで拘った飛行機やロケットの計器類は見ているだけでモルヒネなどとは比べものにならない多幸感をもたらします。オクレ兄さん!!!
 わたくしももういいトシしたオタクなわけですが、やはりセルアニメは母なる海なんですよ。セルアニメを見ると安心するんですよ……。
 そしてビジュアル面ですごいのは当然クライマックスのロケット発射シーン。
 以前開催された「庵野秀明展」の展示や図録を見た人はわかると思いますが、ロケットの表面にこびりついた氷が剥がれていくシーン、氷の破片一つ一つに番号が割り振ってあって動きが一つ一つ決められてるんですよね。バカじゃないの?(褒め言葉)
 キャラクターおよび声優も今では考えられないほどに豪華。特に主人公・シロツグを演じる森本レオ氏の声が、朴訥でありながらどこか諦観に満ちているシロツグの内面をよく表していると感じました。
 シロツグは基本的にどこかぼんやりした表情をしており、作中でもあまり感情を高ぶらせるシーンはありません。それが冒頭のモノローグと相まって、「夢を諦めてただ日々を過ごすだけの青年」という感が強い。笑顔を見せることがあっても、その表情はどこか空虚。
 お荷物部署として扱われている宇宙軍での怠惰な日々から一転、人類初の有人宇宙飛行士として祭り上げられたあとも、自分や有人宇宙飛行への挑戦自体が政治的取引の材料にされていることを知ってからの行動も、感情的に暴れたりするのではなくひたすら空虚なのが印象的でした。
 そんな彼も、リイクニや彼女と同居している幼い少女マナとの交流を経て、ようやく今までとは明らかに違う、心からの笑顔を浮かべて宇宙へと旅立っていきます。
 敵国である共和国の妨害でロケット発射が中断されそうになったとき、彼ははじめて声を荒げるのがまたいい。
 そしてロケット発射の瞬間、敵味方問わず誰もがその光景に見とれてしまうあのシーン。RRRにてインド人もイギリス人も男も女もあの一時だけは誰もがナートゥに熱狂したあのシーンを思い出しました。
 そして個人的に行数を割いておきたいのが将軍ことカイデン・ル・マシーレですよ……*将軍……ああああ将軍!!!
 辛かったよねえ苦渋の決断だったよねえああああ将軍!!!!!*
 わたくし前述の通りもういいトシなので、若手であるシロツグよりも将軍の方に感情移入してしまいました。
 もうさあ、部下から敵軍が迫ってきていることを聞いたときの、そしてシロツグの「ここで止めたら俺たちゃ何なんだ! ただのバカじゃないか! 俺はやるぞ、死んでも上がってみせる!」のセリフのあとのあの苦悩がありありと見える一瞬の表情の変化。
 あの瞬間、将軍の脳裏にはさまざまな思いが去来していたことでしょう……ああ将軍……。
 わたくし個人的な癖(へき)として「危険を顧みず現場に出張ってくる社会的立場の高い人」が好きなんですよね。ふつうこういうポジションの人は主人公たちの邪魔をする役柄になることが多いので、本作ではよけい将軍の好感度が上がるんですよね……好き……。
 あと、ラストのシロツグの独白、というか祈り、というか懺悔、数々のSF、それこそガンダムとかで山ほど「人類に踏み荒らされ汚された宇宙」を見てきた身としては、彼の独白の先にある世界を見る気がしてなかなか複雑な気持ちになったりもしました。
 あとはそうですね、ヒロインであるリイクニについても書いておきましょうか。
 なんか「落ちぶれた男と宗教勧誘をしてる美少女」と書くともうバッドエンドへ一直線って感じですが、リイクニの背後には別に宗教団体とかがいるわけでもないし、入信してどうこうって感じでもないので、なんというかリイクニ、だいぶ電波系に見えてきました……。なんか怖いよあの子……富野ヒロインっぽいヤバさを感じる……。
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