ノクシャス
①で箇条書きした内容を下書きしてく
・雨継と丸金
・蝙蝠視点
・イツビの情報①開示
・キビについて
「お嬢ちゃんをどうする。犬みたいに連れていくつもりか」
「関係については伏せて基地で保護を頼む。無関係であれば必要以上に辛く当たられることもないだろう」
傷病者の扱いを知っているのは丸金と村上だけ。
「つ、連れていってもいいのでは?」
「地下鉄の時と同じことが起これば死人が出る。もちろん、そのリスクを最も負うのが文字通り足の無いお嬢ちゃんだ。こいつを気にして作戦も絞られる」
桐島が死んだように。
「こいつはご主人様が選ぶ番じゃない。それに子供だからって無条件で受け入れられるとは限らんわけだしなあ、パパ?」
犬がわんわん
「子供の扱いは布引君が心得ている。申し訳ないが彼女に任せて今は危険を脱する事に集中しよう。あの子とは後で話を」
「時期を見誤らないこった。お嬢ちゃんってもんは仕事を優先していると、知らん間に」
「ああ、そうだったな……」不倫 離婚した元妻を思い出し
感情ぐちゃぐちゃ
「幸せな家族になるんじゃなかったのか。だから自分は。何故、何があったから茉莉を、何故、何故……」
拳を額に打ち込む望月。見ている丸金に気づいて平静に振舞おうとする望月を見て、丸金連れて地下を村上も探索。
「散歩している間に頭を整理しておくこったな。ちょいとこっちは探索にまわらせてもらうわ。マルー」
我関せずファイルに目を通している雨継。
雨継の横顔ちらりと丸金が見ると真顔。ファイル見ても漢字わからん。パラパラと流し見る村上。村上、望月、雨継と見上げて、さっきから同じものを熱心に見てる雨継に気づいて内容はなんだろうと気になってジッと見る。覗き込もうとした丸金の前でファイルが閉じられる。
貼り付けた笑顔に戻る雨継。
「これは僕の好奇心を満たすもので、脱出には関係ありませんでしたよ」
「あ、え、はい……」
そのままファイルを片手に棚の配列に目を滑らせる雨継。
「あ、雨継さん、さっきの、あの」
「はい?」
「布引さんの武器を作るの手伝ってくれてありがとうございました。私、一人だったら、作れなかったから」
「気になさらないでください。あんなもの、愚にもつかない罪滅ぼしなんで」
素っ気なく言い捨てられて困る。もじもじうつむいていると、不意に眼帯の下に銀色のチラつきを感じて片目を押える。暗闇の中にいるせいか、あちらが動いたせいか、屋根の上にいる蝙蝠の視点に入り込む。
蝙蝠がビールを片手に案山子畑を眺めていた。月明りしかない暗闇の中で案山子達は何か長い物を靡かせて凪いでいた。見渡す限りの荒れた畑に磔られた案山子のシルエットは全てが崩れ去っている。遠くから見ると解れて破れた古い案山子に見えるのに、あれは全て蝙蝠が虐めて壊した変貌者なのだ。
助けられなかった。
丸金は見ている事しかできなかった。目を逸らして見届けもしていない。そこが何処なのかも知らない。ただ、これが今起きているという事だけを知っている。
ビールが一気にあおられる。月を見上げて視界が満点の星空になる。蝙蝠は外で眠るつもりなのか。
月夜に写真が現われる。薄暗い写真だが、集中すると並んでいるのは同じ制服を着た海の男達だ。肩を組んで笑顔で騒々しく希望に満ちた一瞬。その中に村上を見つける。隣には、見た事のないお道化た顔の仲前が並んでいた。厳ついのに爽やかで優しい空気があった。
視界から写真が消えて月夜に戻る。軽い揺らぐ視界はそこから動かなくなった。眠ったのか、空を静かに眺めているのか、過去に思いを馳せているのかは分からない。
あんな残酷な事を楽しんでいる蝙蝠が、何故、昔の写真を見ていたのか。
目を押える丸金を眺めていた雨継が、丸金の顔に向かって無言で手を伸ばす。
その腕を村上がつかんで止める。
「ノータッチだ。痛がっているんじゃない。治療はいらねえんだわ」
「そうですか」
「その手に持ってるやつは何が書いてあった。そっちもさぞかし胸糞悪い情報なんだろうが俺にも読ませてくれよ」
渡す素振りを見せずに雨継は望月の方に視線を向ける。
「村上さんには関係のない内容でしたよ。むしろ、関係があるのは茉莉さんのパパさんじゃありませんかねえ」
歩いて行って雨継はファイルの内容を突き付ける。
「生贄の事細かな条件が書かれていました。両足を切り落とし、声が出ないよう喉を潰し、顔が分からないように最終的には皮膚を剥ぐ処置を施せばはれてイツビへの生贄が完成するそうです」
「生贄?」
「ここの村人は茉莉さんをこうするつもりだっていうレシピです。冬に現れる化け物を追い払うために毎年、そして今年は茉莉さんを使いたかったんですよ」
視線が上がり、望月が読み上げる。
「己未の作り方?」