よくさ、雑木林とかそういうところにちっちゃい、安っぽい鳥居があるじゃん?
なんか百均の木材を組み立てて、適当に色を付けただけみたいなの。
あれさ、ガキの頃は不気味に思ってたんだけど、小学校に上がってから親からごみのポイ捨て防止だって聞いたんだよ。
なんでも日本人は鳥居=神聖なものっておのずと刷り込まれてるからだって。
それを聞いて以来あれは神社の鳥居とは関係ないものだって知ってから今まで感じていた不気味な感覚が嘘みたいに消えてさ、ダチにもそれを話してたまーにいたずらしてたんだよ。
まあ、小中学生が考え付くいたずらなんて決まっててさ。
飲んだジュースの空き缶ポイ捨てしたり、学校の授業で使った絵具使って落書きだったり、マッキーで落書きしてばちくそに叱られてるやつもいたっけな。まあそいつは俺がそうするように言ったんだけども……っと、話がそれたな。
まあそんな感じでガキらしいいたずらを繰り返しててさ、いつの間にか近所じゃいたずらしたことのないお飾りはなくなったのよ。
それでもう一通りいたずらして、なんかもうレパートリーも少ないし飽きてきたなーって思ってた時よ。
そんぐらいの時には俺たちももう中学に上がってて、受験を控えてるやつもいた。
まあ、みんな頭はそれほど良くなかったからその辺のあまり偏差値高くない学校に進学したんだけどね……ああ、知ってる?そうそう、そこだよ。
まあそんな普通の学生じゃ忙しい期間にも俺たちは遊び歩いてたんだよ、あっちこっちほっつき歩いて。
深夜に友人が親からくすねてきた酒飲んだり、タバコ吸ったりしてさ。
そういうことするのに雑木林の中にある廃墟みたいな物置はうってつけだったんだよ。
まあだからと言ってそこまで派手にやったりしたらばれるからこっそり隠れて、だったんだけどさ……ばれるのが嫌ならやらなきゃよかったって?そりゃそうだろうな、でもあの時の俺たちはそれがかっこいいと思ってたんだ。今となっては犯罪するよりも女の子とかにもてるほうが全然かっこいいと思うけどな。
っと、また話がそれたな、まあそんな感じで廃墟でこっそりワイワイやってたときに当時友人だった一人が悪ふざけであのお飾りにしょんべんひっかけたんだよ。
酔った勢いもあったんだろうな、それ見て俺たちも大爆笑しながらまたわけわからないいたずらしてさ。
持ってきた度数の高い焼酎ぶっかけたり、火のついたタバコを根性焼するみたいに飾りに押し付けたり。
もともとボロボロになってたそれにとどめを刺すようにいたずらしてさ、もうひどい有様になったんだよ。
アルコール臭いしたばこのせいで焦げ跡だらけで。さらには最初にひかっけたやつのアンモニア臭までしてほんとひどいありさまだったよ……罰当たりだって?ほんと、その通りだよな。もう飽き始めた段階でやめときゃよかったのに。
お察しの通り、その翌日あたりからいたずらしたやつらみんな次から次へと大変な目にあったんだよ。
あるやつは盗んだバイクで走って交通事故にあった挙句、下半身不随。
あるやつはこっそり自室に持ってって火をつけた煙草を落として家は全焼、そいつ以外の家族は死んでそいつも右腕が動かなくなる大怪我。
あるやつはたまたまぶつかった人がヤのつく人で、スーツ汚したってのもあって家族巻き込み借金地獄。
一番ひどかったのは受験当日にぎゅうぎゅう詰めの駅で電車待ってたらそのまま線路に落ちて……な。
まあ、そんな感じで当時つるんでたやつらがみんな次から次へと不幸になるもんだからさ、俺もいつそうなるかびくびくしてたんだよ。
登校中にいきなりトラックにはねられるんじゃないか。
酒を飲んだらいきなり急性アルコール中毒になって死ぬんじゃないか。
火遊びしたら、家が火事になったりして焼け死ぬんじゃないか。
そう考えたらもう全部怖くなって、高校も受かったのに行くのがとても恐ろしくなっていた。
高校に無事行けたとして、そこで死なない、事故らない保証はない。だから入学式の時もこれから学校に通うってときもごねにごねて自宅からのリモート授業を許してもらった。
……結局、何度学校からパソコンを借りても、自宅のパソコンを使っても即座にぶっ壊れて通うことになったけど。
わかる?そうなんだよね、パソコンって意外といろんな情報は言ってるから壊れるとショックでかいんだよ……今はそんなこともなくなったんだけどさ。
それで、授業も一応受けるようになってから数か月。何事もなく過ぎていったからってのもあるけど、飾りの……鳥居のことをすっかり忘れてた頃にクラスの女子が話してたオカルト話を聞いたんだ。
日本には言霊って言葉があるだろ?あれってなにも言葉だけじゃないんだってさ。
人の思いも言霊。最初はゴミ捨て防止とか、しつけのためだって言われてた風習も教えとして使われたり、言われたまま思い込めばその通りになる。
あの時、俺たちがいたずらした鳥居も、俺たちは最初はしつけやゴミ捨て防止のためだって思ってたけど、近所の老人連中はそうは思ってなかったんだ。
俺たちがいたずらしたのは飾りなんかじゃなく、人の思いがこもりってそのまま神社のように土地を守る神様が宿ったものだったんだ。
それを聞いて俺は忘れていた恐怖を思い出した。今度こそ俺も助からないかもしれない。
だから過去の俺みたいなアホがおんなじ目に合わないためにこうやって誰かに話しておこうと思ったんだ。
君の友達がやってるサイト……タマコロガシに書いてあったでしょ?こういう怖い話を簡単にまとめて、サイトに対処法を乗せてくれるって。
俺にはわからないから君たちに託すしかないんだよね……え?別に君たちも知ってるわけじゃないんだ?
じゃあどうやってるの?……へぇ、あの鳥居の時と同じような感じなのか。
まあいいや、自業自得とはいえもう俺もあんな思いしたくないし、周りにしてほしいとも思わないから……本心はどうなんだって?……あはは、怖い話って話すと多少はましになるって聞いたからね。
まあ、蛇足になっちゃったけど、解決方法を思いついたら俺にも教えてほしいな。これからはちゃんと鳥居にいたずらもしないようにするから。
……ん?最近大切な人ができたかどうか?どうしてそんなこと聞くんだよ?……解決方法を模索するため?ならいいけど……
最近できた大切な人か……彼女かな、年上で大学生なんだけど、すごくきれいな人でさ。料理もうまいし手先も器用だしで何でもできるすげぇ彼女!!俺の自慢でもあるんだよ。
……そうだな、いつか結婚して、幸せな家庭を築きたいよ。長々と俺の話を聞いてくれてありがとう、それじゃあサイトを運営してる友人さんにもよろしくね。
―――――
『本日未明、○○市のアパートで火災が発生しました。火元は17歳男性が暮らしていた部屋とみられており、その男性とみられる焼死体が発見されました。警察は焼身自殺とみて捜査を――』
「あの時、あんなことしなければよかったのにね、馬鹿な男」
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雑木林の小さな鳥居
初公開日: 2022年08月04日
最終更新日: 2022年08月04日
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動画で使うための怪談づくり。基本一人称の語り部目線。毎回一時間ほど配信します。