飽きたらやめるしずっと打ってるわけではないです
誤字脱字はどう頑張っても生まれる
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朝の情報番組で毎日発表される星座占いを見ながらボーッとジャムのついたトーストを咀嚼するイザナを横目にキエは温かいお茶を口に含む。日本人とはかけ離れた目鼻立ちや色彩を持ったキエが、当然のように急須と湯呑みを使いこなしている姿は側から見るとだいぶちぐはぐな光景であった。しかしながら残念なことにそれを言及できる人間は、だらだらと興味もない占いを見ながらトーストを咀嚼するのに集中しているせいでキエの姿は視界に入っていない。
変な光景だな、と思いはしてもそれを口に出す勇気がない周りのことなどいざ知らず、キエ本人は紅茶もいいけど日本茶もいい、なんて呑気なことを考えていた。
最近、イザナの様子がおかしいことはキエも鶴蝶も気がついていた。様子がおかしいと言っても、周りからすれば些細な変化で、特別目に止まるようなものではない。
小さな頃からの癖だったように思う。それが本人にとってはどういう風に作用していたのかはわからない。ただ、どうしてもキエの
キエと鶴蝶
中に住んでいるイザナは小さく息をしている。細く小さな息を飲み込んで
またひとつ
様子がおかしいと
自分たちの命を捧げた王である黒川イザナと、そのイザナに会いに来たという兄を慕うイザナがひとつの身体のなかに同時に存在している。それはどうしようもなく歪で、この先それが交わりひとつになることはないのだろうと、キエは考える。
どちらかひとつになるのか、それともふたつ消えて別のものになるのか。それは誰にもわからない。王であるイザナが消えた場合、キエという存在は消失するだろう。帰るところのない彼女は、またひとり、アルギュロスとして小さな世界の中でひっそりと息をするだけの人形に成り果てる。
果てしない花園の中で、キエという存在ではなく
よりどころのない人形は
心臓の鼓動が一人でに動くのを
ケシの花が咲いていた。
「今日、日中は図書館に行ってくるね」
「オレが借りてきてやったヤツまだあるだろ」
「関連のもの、自分で探して読みたくて」
「ふうん。ま、いいけど」
「うん。昼過ぎから行って、夕飯までには戻るね」
「わかった」
「あ、キエ! 今日夜から雪降るってさっきテレビでやってた!」
「ほんと? 朝寒かったもんね。ありがとう、鶴蝶。イザナも、風邪ひかないようにね」
「命令すんな」
「お願いだよ」
「あっそ」
いつもの地元の図書館ではなく、少し離れた東京の図書館に足を伸ばすとはイザナは夢にも思っていなかった。
「真ちゃん!!!」
「は?! 真ちゃんまたやられたの今度はどこの誰?!」
「いやあ」
時は少し前に遡る。
「んで、この子に助けてもらった」
「真ちゃん……」
「るせー!! そんな顔すんなよ!」
「悪いね嬢ちゃん、うちの総長が世話んなったみたいで」
「いいえ。あまりにも一方的だったので」
「ダハハ!!!」