テスト 渋谷事変なんかなかったんや! という世界線の七虎ちゃん
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七虎でセリフ「癒しが欲しい」「俺とかどう?」
冷たい雨の降る夜だった。
高専の寮の自室で寝ていたが、深夜遅くに扉をノックする音で目が覚めた。
こんな時間に誰だろうと眠い目を擦りながら扉を開けると、そこには見知った人の姿があって。
「どしたの、ナナミン……?」
「いたどりくん……」
ずぶ濡れのナナミンが髪から雫を滴らせながら、ぼうと立っている。
「びしょ濡れじゃん。え?傘なかったの?大丈夫?とりあえず中に入りなよ」
「……おじゃまします」
そう言うナナミンはどこか心ここにあらずの様子だった。普段と様子が違うナナミンに、俺はなんて声をかけていいのか分からずにただタオルを差し出した。
それを受け取ったナナミンだが、タオルを手に持ってぼんやりしている。
見てられなくって俺はそのタオルを奪った。
「貸して。拭いてあげっから」
ナナミンとは知り合って、もう2年以上の付き合いになる。いつもきっちりしたこの人がこんなふうに呆けているのを俺は初めて見た。
ベッドが多少湿っても構わないとナナミンをそこに座らせる。
普段はきっちりと整えられているナナミンの髪は乱れていた。
服もずっしりと重く水を含んでいて、絞ったら水分が落ちそうだった。
ナナミンの髪を丁寧にタオルで乾かしていく。俯くナナミンの表情は俺からは見えない。尋常ではないナナミンに、俺は少し緊張している。
「いたどりくん」
俺の名前を呼ぶその声に、どういう感情が含まれているのか俺には分からなかった。
「どうした?ナナミン」
「癒しが欲しいです」
この一言に集約されている気がした。俺はナナミンが酷く疲弊しているのだとやっと気がついて。気づいた途端、口に出していた。
「俺とかどう?」
自分が真にナナミンの癒しになれるとも思っていないし、ナナミンが求めているのも俺じゃないのは分かっている。だが、そう言わずにはいられなかった。
この弱っている大人を、放っておけない。
「……いいんですか?」
そう言って俺の顔を覗き込んでくるナナミンの瞳には暗い色が含まれていた。それがどういう意味を持つのか分からなくって。
俺は「いいよ」と思わず口にしていた。
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20211201『「癒しが欲しい」「俺とかどう?」』
初公開日: 2021年12月01日
最終更新日: 2021年12月01日
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