やほ〜こんばんは  ふぐです すえざわくん書きます
タイトル『愛にかまけて星を殺した』
知らない間に憧れが依存に変わって、知らない間に特別ではなくなった。
というかそれに至るまでのことを思い出すと君と出会ったのも別に特別ではなかったかもしれないな、まあ私が君に依存してた時から半年も経ってないけど。
お姉ちゃんが不倫していて、不倫する前は旦那さんに対する態度とか見てて溺愛というほどラブラブしてんなって思ったことないけど、彼氏ができて“不倫”という行為に触れたとき、表情が変わったことを今でも鮮明に思い出す。あ〜、きめーな、って。多分他人から見て私もそうだったのかもしれないな、元彼、という存在のせいで人も表情も経験も、変わってしまったことに、寒気すらする。
別れたと同時に東京に行ったと聞いたから、あ、じゃあもう会うことも無いかって謎に安心してた。だし、思い出すこともないなって。というかなんで別れたくせに思い出にまで居続けるのって感じなんだけど、それは、まあ、今わかるのは、私の脳みそが意地でも忘れたくなかったのかなって、そんだけ、なんだけど。
暗い部屋で、寒い足先くっつけて、スマホの電源をつける。ナイスタイミングと言うくらい同時に通知がきたのは高校のときの友人で、『明日ごはん行こ』のメッセージに、何も考えず「いいよ」と返した。
///
待ち合わせ場所に行くと友人が手を振って、目印になってくれていた。ねえ、子供じゃあるまいし友人の顔だって覚えてるよ、と言ったことに、一瞬だけ元彼の顔を思い出して、不思議な感じになる。
友人の『ごめん、ごめん』と笑いながら謝る顔も仕草もあの人と重なってしまって、自己嫌悪に陥ってしまう。
( 「子供じゃあるまいし迷わないよ」「久しく会うてへんから、顔忘れてるんかと思った」「彼氏の顔忘れません」「俺も昨日〇〇の夢見た」「どんな夢?」「教えへん」)
「△△ちゃん…」「ん?」「…ふたりでご飯?」「あ、なんか悟った? 実はね、末澤と久しぶりに連絡取ってさ、今日帰ってきたって言うからご飯誘ったんよね」「え、」「〇〇も久しぶりでしょ?」「……そう、だね」
やっぱり、なんかさ。嫌な予感がしたんだよ、△△ちゃんには私が誠也に依存してたことなんか言ってないし、誠也も周りの人にそんなこと言う人じゃないから、みんなは知らないよな。ああ、本当に夢だったのかもしれないと思うと寂しいし虚しいし、帰りたい。こんなことならもう一生外から出たくないな。
−−−
『あ、』
目が合うとまるで最初から初めましてのような顔をする誠也が、見たこと無くて目が熱くなる。小さい頃にはじめて小動物に触ったときのような、感覚。これは純粋な、好奇心みたいなものだと思う。
「久しぶり〜」「元気してた?」「なんで急に帰ってきたん」「別ええやろ」「なに?結婚でもすんの〜」「せーへんわ」
飛び交う会話に愛想笑いをしたまま入れずにいた。意図的に誠也から離れて座ろうとカバンを置くと、伸びてきた白い手に捕まって心臓が飛び出そうになる。
「っなに、」「これ、見たことない」「なにが」「お前こんなん付けるタイプやっけ?」「誠也に関係ないじゃん」「はあ?普通に聞いてるだけやろ、なんでそんな憎たらしいねん」『ふたりとも相変わらずすぎ〜』
憎たらしい言葉を吐いてきたのはどっちだ、と胸の内でツッコむ。周りの友人たちはまだ私と誠也が仲良しこよしする奴らだと思ってるのだろう、私はしたくないのに、私のことも考えなしに土足で入り込もうとする誠也が憎くて、こわい。べっこう柄の分厚いリングを指でなぞる誠也の仕草と表情に、ぞくぞくしてしまう。
「……彼氏できた?」「できてないよ、それこそ誠也こそ」「俺はいてへんけど」「…そ、ふーん、」「ふくえん、しやん?」「……しないよ」「ふーん……」
また知らない香水を身に着けている誠也が、真顔で思ってもないことを口にするのに苛つきを覚えて、わざと反対言葉を返した。ふーん、ってなに?チャラついたシルバーの指輪とか、ネックレスとか、最後に会ったときから雰囲気がまた違って、頭が痛い。
「〇〇は復縁したくないんやってー」『ウケる、振られてやんの』『でもあっちでめちゃくちゃモテてたんやろ?』「モテてへんって」『アパレルの店長してるもんな?』「そんないいもんちゃうって」
「〇〇と寄り戻すために帰ってきたのに」
そんなことを言われたら、ドキッとしてしまう。誰だって頷いてしまう。周りの友人がヒューヒューと茶化すのを気持ちよがっているみたいに、すました顔なんかしちゃってさ。そんな気なんか無いくせに、すべて演技なのは分かってるのに、小動物より小さくなった私の脳みそが『今度こそは大丈夫だよ』とささやく。
///
誠也が明日の朝の便で帰ると言って、早めの解散となった。店の前でつま先をとんとんしながら外を出ると、先に出ていた誠也の持っていた紙袋に目が行く。
「…あ、〇〇、これ」「なに?」「俺東京で服売ってるんやけど、〇〇好きそうなんいっぱいあったから、あげる」「……何円だった?」「あぁ、いらんよ」「そんなん悪いし払う」「いやほんまに、俺が勝手に持ってきただけやから貰って?いらんかったら売ってくれてええし」「……、」
昔、『お前に似合うから』『俺が選んだやつ着てくれへんの?』『いらんねやったら破いて捨てたらええやん』と言って押し付けてきた、服だってまだクローゼットに残っているのに、こういうところはこの人は、一生変わらないんだろうな、と思い馳せる。
いつか私を殺してしまいそうな顔で『薄情な奴やな』と言ってきたことも、覚えてないんだろうな。
「君のせいで着れなくなった服がたくさんあるんだ、知らないだろうけど、」
電柱のオレンジ色に集る名前もないような虫達のようにはなりたくないから、泣かなかった。私は思い出の中でいっぱい“別れたくせに”という言葉を使ってきたけれど、一番当てはまるのは私だった。きっと誠也はうつくしい思い出だけで生きているのに対して、私は未だに汚い思い出も残っている。
虚しくなっちゃった。その場でしゃがむと、半歩先で歩いていた誠也がいちいち私のもとに帰ってきた。
「またしんどくなった?」
私のことを面倒くさいメンヘラとでも思ってそうなその言葉でわかっちゃったね、誠也はいつまでたっても、私のことを人間だと認めてくれてないのだろう。
「俺とまた付き合って、そしたら東京連れてって良いマンション住もう。俺の薬指、〇〇のためにあけとくから」
「……わたし、障害者だから誰とも結婚できないよ」
「せやったら俺が一生面倒見たるよ」
何の意味もない涙がきれいに出ていたのに、誠也の指でぐちゃぐちゃになった。自覚もないそれを愛だと勘違いして、それで縛り付けて、私が喜ぶと思っている誠也が、いつまで経っても惨めだなと。
「お前の人生なんか俺がおったらそれで充分やろ。そんな気持ち悪いセンスの指輪なんか捨てろ。」
光に集る虫達がきらきらに見えて、ぼやけた視界のまま見上げたら低体温の唇がまぶたに触れた。
「……………、うん、……わか、った、…………」
もう何回目かも忘れた自己満足のおねだりに泣きながら頷くのは何回目だろうか、これは天国とささやく君から逃げれるのは、あともう死ぬしかないんだな。
カット
Latest / 63:59
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
sezwくん
初公開日: 2021年11月19日
最終更新日: 2021年11月19日
ブックマーク
スキ!
コメント
企画のsezwくんを書く
にしはたくん
にしはたくんの死ねた書く・・・ファンタジー強めな予定
29
mskdくん
企画のmskdくん書いてく……相変わらず口と手を同時に動かせないのろまなので見守ってほしい〜
29