皆さんご存知の通り「牛の出るゲームいいゲーム」という格言があります。
ならば牛の出る映画もいい映画なのはコーラを飲んだらゲップが出るくらい必然であると言えるでしょう。
というわけで今回サンサン劇場で見てきたのはこれ。
本作もまたサンサン劇場がきっかけで知った作品なんですが、暴走牛VS狂人1000人というデコゲー臭いコンセプトで一目惚れ。
今日が上映最終日ということで見てきました。
そして恒例の階段ポスター、現在はこんな感じ。
「BLAME!」とか「シン・ゴジラ」はともかくとして、この令和の世に劇場版「ウルトラマン」だの「劇場版エースをねらえ」だの何考えてるんだこの映画館……。
しかもさらに「ふしぎの海のナディア」のTV版よりぬきを2回に渡って上映するとか違法性のある薬物の使用が疑われるレベルですよ? 大丈夫? 兵庫県警からマークされない? あるいはもうされてる?
さておき、「ジャッリカットゥ」の感想です。
本作は「徒歩版マッドマックス怒りのデスロード」とも呼ばれているようですが、個人的にはむしろ「バーフバリ不在のバーフバリ 王の凱旋(の冒頭)」といった感じでした。
内容をシンプルにまとめると「水牛が逃げたぞ村人全員で追え!!」以上。
実際上辺の部分はこれ以上のことは起こってません。
映画の内容も、闇深い森のなかでどこから牛が襲ってくるかわからないという異常な状況で人間関係もだんだんこじれていくといったパニックスリラーなんですが、冒頭と終わりに黙示録からの引用があることや、スタッフロール後の真っ暗なスクリーンにラッパの音が響き渡るラスト、そして何より登場するのが時には生贄として捧げられる水牛という動物であることを加味すると、本作は急速に宗教的なテイストを帯びてきます。どうも本作、「インド文化圏におけるキリスト教」が作品の裏テーマというか核になっている様子。
と言っても、わたくしキリスト教についてはさほど詳しくないので、以下の感想はあくまで漠然としたイメージとなります。まーいつもそんな感じですが。
実はなんの因果か、本作の上映前に「魔法辞典(新紀元社)」を読んでたんですが、ちょうど読んでた項目がまさに「犠牲」だったんですよね。
そこの記述によると、犠牲を捧げるには、「聖別された祭場」「殺害される犠牲」「儀礼的殺害をも含む儀式の執行者」「犠牲を供し儀式の恩恵を望む供犠者」の4要素があるとのこと。
本作では水牛を生贄として屠るシーンはありません。水牛は鶏やタピオカと同じく、本作の舞台となる村人たちには日々の生活における食料であり財産。そして水牛の方もモンスター・パニックものにあるような怪物的、超常的な力を持っているわけではなく、ほんとに普通の水牛。まあその普通の水牛が暴れまわっただけでああなるというのも怖い話ですが。
しかしながら、やはり本作を見る際には脳裏にこの「犠牲」の二文字はどうしても出てきます。
上記の「聖別された祭場」は、まさに終盤の森の中でしょう。冒頭から中盤くらいまではまだ村の中、村の周辺といった文化圏のなかで話が展開していきます。しかし、水牛がどんどん逃げていくに従って、村人たちもどんどん文化圏、文明圏を離れていきます。それに従って彼らの狂騒はまさに坂を転がるように増していき、人間という理性の皮を剥ぎ取られた獣と化していきます。ラストの倒れた水牛に殺到していく彼らの姿は、もはや獣の群れ以外の何でもありません。しばしば薬物や音楽でその場にいる者たちがトランス状態になるのが「聖別された祭場」ということであれば、ラストのあの泥だらけの森の中はまさに犠牲を捧げる場だったと言えるでしょう。
「殺害される犠牲」は普通に考えれば水牛ですし、実際最終的に逃げ出した水牛は泥にはまって身動きが取れなくなり殺されます。しかし……。
「儀礼的殺害をも含む儀式の執行者」については、もう大混乱状態です。たとえばこれが暴れ牛を退治するという筋書きなら、順当に行けば村の外からやってきたクッタッチャンあたりがこの役目に当てはまるんでしょうが、本作では手柄を手に入れようと誰も彼もがこの立場を奪い合います。
「犠牲を供し儀式の恩恵を望む供犠者」は、これまた普通に考えれば村人たちです。生贄を捧げるのは恩恵を得るためなので当然ですよね。しかし、村人たちが得たものは……。
なんだかあっちこっちに矛先がとっちらかった考察になってる気がしますが、要は本作、「正式な手順が崩壊した犠牲の儀式」なんじゃないかなあと思いました。キリスト教のインド圏への伝播なんかについてよく知ってたらまた違う感想が出てくると思いますが……。
またこの映画そのものが儀式的ですよね。BGMが基本的に環境音+人の声+ごく単純なリズムの楽器というトランス状態を誘うものでしたし、それが塚口の音響と相まって幻惑的な様相を呈していました。この作品、以前見た「CLIMAX」と同じ系列の映画なんじゃないでしょうかね。