「おはよう」
目を覚ませば彼女がいた。いつも通りの白い壁に薄暗い部屋の中。何も変わらない、退屈さが全面に押し出された場所。カーテンの隙間から差し込む光は細く、ただでさえ白い布団を明るく照らしている。手元のタブレットが光り、今日の体調は良好だと告げてきた。
「おはよう、みどり」
体温だの、脈拍だのを見せつけてくる画面を押しのけて、さらさらとした緑色の髪を靡かせる彼女に笑いかける。
「今日も元気そうね。あなたが眠ってる間、とっても退屈だったの」
「そんなに寝てたかな」
「寝てたよ。十時間と二十三分五秒」
「秒刻みで教えられても、どんな反応したらいいか分かんないよ」
にっこりと笑顔を返される。彼女のこの悪癖について、すぐにそんなことはどうでもいいかと思えるほどには慣れてしまっていた。
「今日は何をする?」
みどりが問いかけたところで、部屋の扉が開いた。
「おはようございます。駄目ですよ、朝起きたらカーテンを開ける。約束したじゃないですか」
白衣を羽織った主治医は、ヒールを鳴らして窓へと歩み寄る。勢いよく開いたカーテンから、眩しすぎる朝日が飛び込んできて、思わず目を瞑った。
「眩しいから開けないでください……」
「日光を浴びることも治療のひとつなんですから! ほら、天気のいい日は身体も幾分か動きやすいと思いますよ」
話しかけてくる主治医のことは嫌いではないが、話したって無駄な相手にまで気をつかう必要はないと思うのだ。健康状態や今後の治療については、いつもタブレットの中でこまめにやり取りをしているし、それ以上の行為はこちらも望んでいない。
「行こうか、みどり」
ベッドを降りる。素足にツルツルとした床はとても冷たく、すぐにスリッパを探して履いた。どうせ着替えたところで