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とんでもない見切り発車した
診断結果
二兎二足で「濡れた君は性的な意味で大変危険である」とかどうでしょう。
夏はとうに終わった、秋。台風が来てるだのと聞いてはいたけど、あまりに空が高く気持ちよかったので、いつも通りに青八木を誘ってサイクリングに出た。
週末、うららかな陽気。絶好の自転車日和。見慣れた道から少し外れてゆっくりと連れ立って走った。
しばらく経って、
「純太」と青八木。
「ん?」
「雨だ」
「え、マジか!」
まだ水滴も感じてない。立ち止まって見上げると、底面がグレーの雲がやってきてる。あれか、と、雨宿りできそうな場所を探して周りを見回した。
「えーと、コンビニとか」
「いつもの場所まで戻ろうか?」
「それも良いけど、あっあそこ民家の前借りれるかな」
すぐ先に少し古い佇まいの民家がある。軒先を借りる雨宿り。イメージにはあるけど実際にはしたことがない。内心少しおどおどしてる。けど、秋の稲穂が光り輝く、田んぼばかりの田舎道では避けられる場所が見当たらなかった。
すぐと言っても、上空を思うといちかばちかの距離。
「急ぐぞ」
頷く青八木を見てから、向き直った。ペダルに足をかけて、ひとこぎした途端に、あまりにも想定外の雨がざあっと。
「うひゃ、すげえ!」
「急すぎる」
半ば笑いながら民家を目指す。たどり着いた軒下、赤い自販機の横に自転車を並べてから、どれほど濡れたか体を撫でてみた。
思った以上に滝だったな。
「青八木、だいじょうぶ?」
「ああ。ヘルメットって意外と髪濡れないんだな」
留め具外しながら持ち上げて裏を見ると、確かに普段となんら変わりない。もっと隙間から濡れまくるんだと思ってたなあ。
「あ、でも少しだけ」
こちらを見る青八木が、髪の濡れた箇所を指差した。そこら辺を撫でてみると水を含んだ房から、手の甲にしずくが落ちた。
「ああ、部分的にはやっぱり来てんな」両手で後ろにまとめて軽く絞ってみる。さすがにずぶ濡れまではなってない。
ずぶ濡れなのは、ジャージの肩と太もも。首にタオルをかけていたものの、ジャージの吸水が良すぎるせいでびちゃあと肌に貼り付いている。
青八木はタオル持ってたっけか?と見ると、後ろのポケットからタオルハンカチを取り出して肩を拭いていた。それで足りるかな? タオルかした方が良いかな?
軽く悩みながらも自分だってずぶ濡れなんで、まずジャージを拭きまくった。
他人の家の前でバタバタと、気が引ける。雨宿りって言い訳で通るかな。
太ももと肩から背中を撫でたタオルをかざして見せた。青八木は首を振って「大丈夫だ」と言った。
さて、さっきの雲の様子から考えると、空の一部に浮かんだ雨雲のようだったので、すぐに止むだろう。それにしても雨の激しさはゲリラ豪雨。着ているものが速乾とはいえ、涼しさが日に日にましている今の季節、体を冷やしやしないかと青八木を気にした。
「寒くなってない?」
首を振って否定する、と同時に吹き出した。なんだ?
「さっきから心配されてばかりで、俺、だいじょうぶばかり言いそうになってるから……」
「あっ…マジだ」と、ついつい大丈夫かどうか全部訊いてたことに気付いた。
「雨ぐらい心配ない」
「ああ、でも一応な! 念の為だよ!」
心配事は、この家の人に邪険にされやしないかってこともまだ残ってる。
おとなしくしてたら大目にみてくれるかなあ。
軒先から雨が道に跳ね返るのを見ていると、隣で青八木が髪をまとめて括っていた。
「めずらし」
「さすがに少しべたつく」
「ちゃんとやってやろっか?」
「嫌だ。こないだお前2つにしただろ、忘れてないぞ」
ちょっとしたいたずらで信用を失っていたことに、肩をすくめて笑った。
そうだ、自販機にホットコーヒーか紅茶あるかな。青八木の前をすぎて自販機に向かい合う。うん、つめた~いしかない。まだ夏が終わったばかりだしなあ。
「純太の髪、やってやる」
おっ、と横を向くと一番のイチの指に黒いゴムがひとつ。
断る理由もない。
「そうか、そうしようかな。頼む」
フンと意気よく頷く青八木は、ちょっとかわいらしい。
と、思っているのは内緒。
しゃがんで後ろから髪をいじられる。二人共コソコソと話しながら、雨の音を聞きながら。
なでつけてサイドも耳にかけ、後ろでまとめられた髪。
「なあ、また位置高くない? ポニテだろこれ?」
「似合う」
「ヘルメットかぶれないじゃんよ」
「それは好きにすればいい」
なぜか青八木は、俺の髪をいじると高い位置で留める。
「なんなの、癖なの?」
「いや、俺が好きなだけだ」
なんだか露骨なことを言い出しそうなので、それ以上は訊かないことにした。
終わり
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タイトル「濡れた君は性的な意味で大変危険である」
診断メーカーのお題よりワンライ
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