再生すると実況(ひとりごと)が見れますのでご自由にどうぞ。
前に参加した企画の1作品目『私のお姉ちゃん』の続きです。
私のお姉ちゃん、ケリーは冒険者だ。お姉ちゃんの友達のオリバーさんも冒険者だ。私、メイが冒険者になって、もう半年になる。
他のたくさんの先輩冒険者達に言わせれば、『まだ』半年なんだけどね、とお姉ちゃんが言っていた。けれど、その間に私は、成長したと思うんだ。
冒険者ランク、の中でも個人の方、が2つ上がった。半年で2つ。普通の冒険者より、ちょっとだけ早いらしい。最初だからかな、とも思うけど。
パーティの冒険者ランクは1つ上がった。1人増えただけで、だいぶ上がりやすくなるらしい。
新しい魔法も覚えた。正直いって当てにならなかった回復魔法が、2人にかけられるようになって使い物になってきた。私の本分は攻撃魔法だから気にしないで、とは言ってくれるけど。将来的には使えるようになりたいな、なんて。
そして今。私たちが入っている冒険者ギルドの集会所。私たちは1つのテーブル……の上にある1枚の紙を囲んで、いろいろと考えていた。
「スモール……ワイバーン?」
聞いたことはある。『ドラゴン』とも呼ばれるワイバーン系の、いちばん小さいやつ。その中でも若い個体だと紙には書いてある。書いてあるけど。
ワイバーンはワイバーンなわけで。
私たち3人なんですけど。
いけるのこれ?
「俺たちで倒したこと……あるよな?」
えっ、あるの?
「まだメイが小さかった頃に、1回だけね……一応2人で倒せたけど」
「えっと、そんなに何とかなるものなの?」
だって、これまでの私の個人ランクだと小型なヤツらの群れとかが精一杯で、自分より大きなやつを倒せなんてクエスト、1度も受けたことなくて。
「でも、こいつが一番弱いんだろ?」
そう、そうなのだ。
私の個人ランクが2つ上がったとは言ったけれど、1つはとっても最近、というか先週。魔法を使いすぎて疲れたから、しばらく休憩していて、ちょっと久しぶりにオリバーさんと出会ったんだ。で、私の新しいランクで受けられるようになったクエストの中で、一番弱いとされているのがこいつって訳で。
「Bランクって、強いんだね……」
「というか半年で個人ランクBまでいくメイもすごいんだけどな」
そうなのかな、と思って周りを見渡す。私より年下の冒険者がほとんどいないのは知っている。私はまだ13歳。訓練学校は12歳で卒業だけど、試験に合格するのが大変だった。そこで2、3年止まる人もいるという。……私、強いのかな。
改めて、もう一度紙を見る。お姉ちゃんがクエストボードからひったくってきた紙。まだ申請はしていないから、受けないなら早くボードに戻さないといけない。
「……いけるんじゃないか?」
口を開いたのはオリバーさんだった。なんとかなるだろ、とも付け足して、紙を持ってカウンターへ向かっていく。ちょ、ちょっと待って!
そう思って立ち止まる私を止めたのは、お姉ちゃんだった。
「私たちがついてるから。大丈夫……それに、あの時から強くなってるのは、メイだけじゃないからね」
そう言って、こっそり鍛えている(ことを私は知っている)筋肉を見せてくれる。冒険者じゃないそこら辺の男なら、ケンカしても勝てる的なことを言っていた気もする。しちゃダメだけど。
けれど、私も覚悟が決まった。分かった、やろうと言って、オリバーさんを追いかけた。
緊張している私たちとは裏腹に、受付のお姉さんはテキパキと手続きを進めてしまった。準備が出来たらもう一度お姉さんに話しかけて、出発する。さあ、今回は丁寧に準備しないと。
「2人とも、回復の魔法薬ある?」
「あるよ~」
「切れてた、買ってくるわ」
あとは、解毒の薬。火傷の薬、携帯食糧、魔力補充のアイテム、杖の手入れセット。うん、足りる。お金はあるから、装備を買いに行こうかな。出発前にご飯も食べないと。テーブルにいろいろ広げて、ひとつずつポーチに戻しながら数を確認。
「メイは準備が丁寧ね」
「強いから……」
「私はもうご飯さえ食べたら出れそうよ」
「……剣の手入れセット忘れてない?」
「えっ?あっ、ほんとだ」
お姉ちゃん……たまにドジなんだよね。この間も忘れ物してた。そうこうしてる間にオリバーさんが薬を買って帰ってきた。
「メイちゃん、何がいい?」
私の前に、冒険者食堂のメニューが差し出される。ここはお気に入りの、オムレツにしよう。お姉ちゃんは何にするのかな。そんなことを考えながら荷物を整理して、杖を持って、食堂へ。
オムレツはすぐにやってきた。オリバーさんが注文してくれていたみたい。食べながら、これからの事を考える。忘れ物は、ないはず。
本番はまだまだなのに緊張する。魔法を使うのはとても楽しい、けれど、なんでかな。
準備の時間も、すごく楽しい。やっぱり私は、冒険が大好きだ。
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時間余ってるけどもう疲れたので終わりです。読んでくれた方、ありがとうございました。