「髪、そろそろプリン目立つな」
夕飯の支度をしてたら姉貴が突然俺の髪を見てそう言った。
「あーーたしかに。そろそろ染め直さないとな」
「ずっと金髪でいくの?別にもう黒に戻してもいいんじゃない?」
確かに金髪にこだわる必要もない。野球から離れるために髪を伸ばして染めてみたけど、もうそんなことする意味はないし、なにより夏は暑い。練習の時も邪魔だし、いちいち染めるのにも金がかかる。髪を切って、黒に戻すのもありっちゃアリだ。
そんなことを考えていたら姉貴が「あ〜そっか」と少しニヤついた顔をしてこっちを見てきた。
「んだよ」
「んーん、葵は金色が宝物だもんね」
「は?」
ニヤつきながら意味のわからない言葉を発したあと、お腹空いたから夕飯早くしろと悪態をついてきた姉に、俺は頭の中がハテナでいっぱいになったが、何も言い返すことなく急いで夕飯の支度をした。
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「葵が全部悪い!!!」
「ねーちゃんが俺の消しゴム勝手に使ったんだろ!!!!」
「はいはい、お姉ちゃんは勝手に消しゴム使ったことを謝りなさい。葵はお姉ちゃんを叩いたことを謝りなさい。それで2人とも握手しておしまい!仲直り!」
「やだ!!!絶対謝らない!!!!」
「俺だってやだ!!!!」
「…そっかぁ、ごめんなさいが出来ない子は藤堂家の子供じゃないから、そしたらお家から出てもらえるかな?今日の夜ご飯はハンバーグだったんだけどお父さんと2人で食べようかな」
弟なんて嫌いだ。お母さんだっていつも葵の味方ばっかりして。ずるい。私が1番だったのに。葵なんていなければ良かった。
「ほら、ごめんなさいは?」
「ごめんなさい…」
「お姉ちゃんは?」
「…ごめんなさい」
「うん、2人とも良い子。夕飯にしよっか」
喧嘩したらその日のうちに仲直り、それが藤堂家の決まりだった。
葵は私と違って素直で、お母さんからも可愛がられてるように思えた。その日はなんだか余計にイライラしてしまいご飯も大好きなハンバーグなのに美味しく感じられなかった。
「ねーちゃんハンバーグいらないの?俺もらっていい?」
「だめ!ばか!」バシッ
思わず葵の頭を叩いてしまい、ハッとした。
「うっっ…うわーーーーーーん!!!!!!!」
「こらお姉ちゃん!!!叩いちゃダメでしょ!葵も泣かないの〜」
男なのにぐずぐず泣いてばっかで、嫌いだ。どうせなら可愛い妹が欲しかった。私だって泣きたいのに、葵がすぐ泣くからいけないんだ。
「うるさい!泣くな!」
「もう、お姉ちゃん!!!!