ネタバレ。こんなタイトルですが誰も死にません。
前回
https://txtlive.net/lr/1596177650482/w1618421475546
txtlive.net
なんですけど、なぜか前回の記事が改行なしで説明が全部消えて……しまった……?(説明は私が上書きして消したんだと思いますが……これ「戻る」が出来ないから不便だな……)
一応いちいちピクシブに上げるのをやめていきなり本にすることにしました。ざっくり。今週末(日曜日)までに終わらせたい。(今木曜日だけどな。)
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コメント「キャー!」だけの方も含みますので、ご自分のIDを取っておいてください。(固定のお名前つけてくださっても勿論オッケーです)
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docs.google.com
・参加してくださった方で数名に出来上がった本を送付させていただきます。(書きあがった段階で告知します)
・本の抽選にご参加いただく方は18歳以上の方に限ります。
◆
前回のつなぎシーン
リドルのオーバーブロットを未然に防いでから、ハーツラビュルは平和だ。
エースとは対話を持って衝突を回避しており、そして時間をかければ『リドルがどれだけすごいのか』を理解してもらうことは難しい事ではない。
トレイは、あの日発覚するはずだった話を丁寧に一年生たちに伝えた。
そして、リドルにも。
結果的に、トレイがもっともリドルとの幼少期の問題に触れることになり、リドルは『お母様と話してあってみる』と、かつて、オーバーブロットした後と同じように言った。
これで『オーバーブロットという事実だけを回避し、状況は同じ』だ。
リドルがオーバーブロットしなかったというだけで、サバナクローの問題は同じように起きた。が、流れはやはり、変わった。
リドルが気にせず魔法が使えるのだ。
トレイはやはり階段から落ちて怪我をしたのだが、リドルはペンもなくラギーを捕まえた。本来、それぐらいなら出来るのだ。
ただ、トレイが『ペンも無しに魔法を使うのはやめてくれ』と言ったので、もうしない、とは言われたのだが……。
そして、レオナはオーバーブロットしたが、同じように解決し、マジフト大会は無事に終わった。
報告、後処理のために次の日、寮長会議がある。
出席するリドルを見送り、ケーキを焼いてやる。気を使って、疲れて帰ってくるだろう。
温室の苺が生った所だ。
最初は粒も揃わなかったし、思ったよりいい味に出来ず、大変だった。
けれど最近では問題がないレベルできちんとした苺が出来てくる。
粒がそろわない分はケーキに使わず、ジャムにするので、困りもしなくなってきた。
苺がこうでも使い慣れて来たな、と思いながら、手軽な方法のケーキを焼く。
ここぞ、の日にはタルト、と思うと、苺のレシピも様々になってきたものだ。
次はジャムを使ってロールケーキにするか、と思いながら焼き終わり、飾りつけも終えて冷蔵庫にしまって、キッチンを片付ける。
その一連が全て終わったころにリドルが帰ってきた。
「トレイ」
「ああ、お疲れ様」
ひょこっとキッチンに顔を出されたので、少し驚く。
ケーキの匂いはまだ残っているとは思うけれど、ケーキを焼き終わってそれなりの時間が経過している。
リドルのオーバーブロットを避ける事が出来たのもあるし、リドルに対話を促したり、怒らないように宥めたり、としていたら、明らかに去年より付き合いが深くなった気がする。
(そうだな……)
トレイはずっと、リドルが好きだった。
ずっと見て来た。だから、どういう人間かは知っている。
見た目だけではなく、彼の気高さを美しいと思って来た。他の誰にもない『美』だ。
けれど、最近、リドルの方が寄ってくる。
トレイが『やっと』リドルと邪魔もなく向き合うことが出来るようになって、それは、ずっと待ち望んでいた状況だったのに、トレイは一年間、緊張を持ってリドルに接してきた。
これでリドルはトレイを見る。
失敗して『周りのせい』にすることはできない。リドルに嫌われたら終わりだ、周りの環境のせいではなく、リドル本人に遠ざけられたらこの縁は切れてしまう。
糸を、繋いでおきたかった。
リドルが『引き離されたから』トレイに執着してくれているのかもしれないとはずっと思って来たし、いまも、少し、思っている。
ナイトレイブンカレッジでリドルと一緒に居られるというのは、嬉しい事だし、待ち望んだことではあった。けれどそれと同時に、怖かった。
リドルが決定的にトレイを『嫌になる』可能性もあったから。
だからトレイは、一年間恐れていた。
共に在れる幸福と、だからこそ、今までのものが全て消える可能性と。
その為に、何も言えなかった。リドルがオーバーブロットするまで。
今のトレイはそれを知っている。何度も、味わわされた。
なので、全て話すことにしている。リドルを傷つけないように気にしながらも、注意するし、止める。
結果的に、明らかにここ最近、対話が増えた。
今までだったら、こんな風にキッチンに覗き込みに来ることなんてなかった。楽しみにしてくれているのはわかっていたけれど、甘えるようなこともあまりなかったのに。
「何か用か?」
「ん、いいや、そういうわけではないよ。いい匂いがしていたから……」
そわそわするのが可愛い。思わず笑いかけた。
「空腹なら食事に行くか」
「そうだね……ケーキ、焼いていたんじゃないのかい?」
「ケーキを先に食べるのか?」
お茶をするには遅い時間だと思うけれど、と時計を伺うと、いや……とリドルは小さく首を振る。
「あるならいいんだ」
ちょっと目線を逸らすのが恥ずかしそうで、グッと来てしまった。
多分、ケーキを焼いた匂いが残っていたので引き寄せられて覗き込んでしまったのだが、普通に夕食の話をトレイが振ったのでケーキが食べられないのかと思って少し慌てたのだろう。
そんなにトレイの作るものに依存されるというのは、正直なところたまらない。
(俺はもうあきらめてるけど)
リドルに、告げることはない。一生。
事なかれ主義のトレイは、リドルの一生を出来るだけ近くで眺めながら、リドルに何も伝えない。見ていることが苦しくなれば、言い訳をつけて離れるかもしれないけれど。
しなくて良いのなら誰とも結婚もしないだろうが、面倒になれば適当な人、親や周りの人が『勧めてきた』ような『良い子』と結婚し、周りが理想的だと見なす人数の子供を作り、よく出来ていると周りから思われる程度のほどほどの家庭を作るだろう。
……今は顔もわからない『良い子』の人生を台無しにすること、愛されない女をこの世に一人生み出すことを、何の躊躇もない。
『他人が見て理想的な生活のモデル』を送るためのコマとして、他人一人を『消費』する。『人生』という『取り返しのつかない』ものを使わせて『自分につき合わせる』。
模範的な枠組みにはめるためだけに、完璧なお人形を作るためだけに、美しい箱庭の為だけに。
『人』の『人生』を使う……非道な話だ。
そう、まるでリドルの、母親のように。
「……」
(この感情は憐憫でしかない)
一瞬でそれを否定する。
抱きしめたいと思った気持ちを。
こんな感情、侮辱だ。彼が知れば、トレイを受け入れるわけはない。繰り返す『前』のリドルは正しかった。否定されてしかるべき気持ちだ。
こんな感情を抱く自分は、性根の腐った下種だ。かと言って落ちきることもできず、美しいままでも居られない。中途半端な存在。
悪に染まるなら鮮やかに変わるだろうという人はいっそ、美しい存在だけれど。
(俺は、そんな勇気もない)
内側だけ腐っている。
この美しい人に触れて、その気高さで暴かれなくて良かった。きっと、良かったのだ。
◆
この下に本文書きます。
また終了になってた!?
◆
あの日を超えれば、ハーツラビュルに『問題らしい問題』は起こらない。
テストも終わり、冬の休暇を待つだけ……。リドルは少しずつ、憂鬱そうになっていく。
母親に話をする、といっても、それは具体的には『帰ってから』だ。
どう話を切り出すか、どのように話すか……正答のない問題は、リドルには難しいものだろう。
トレイにはできることは何もない。
リドルはうまく愚痴ることもできないタイプだから、ただ憂鬱な顔をしているだけで抱え込んでいる。
トレイは、お茶を淹れて、好きなケーキを焼いてやる。
毎日リクエストを聞いて、夕食後に部屋に行って、手伝えることは手伝いながらサーブしてやって……。
栄養学からすると夜のケーキなんて最悪だろう。母親が聞いたら卒倒するだろうが、知ったことではない。
休みが明けたらあっという間に文化祭の用意が始まる。
おそらくリドルが一番『失敗するわけにはいかない』仕事で、他人が動くことの管理……つまり自分一人ではどうにもならない仕事だ。別にトレイが補佐をする必要はないのだが、放置する気にはなれない。
トレイが『当たり前の事』として仕事に関わり始めると、リドルはさらりと受け入れた。
傍に置くことを『当たり前』にしてくれる……トレイにとってはこれ以上ない幸せだ。
リドルは何とも思っていないだろう。
トレイが隣で幸福を感じながら仕事を手伝っているなんて。
こんな歓びは今年限りだ。トレイは……あと半年ほどでリドルからまた離れる。
学園に所属はしているが、四年生は学外に出る。避けられない。
この二年をただ傍にいたくて、トレイはいろんなことから目を逸らしてきた。それがリドルのオーバーブロットに繋がった。
(……もう、そんなことはない。無かった)
『この世界』では、リドルはオーバーブロットなんてしていない。
だからただ、傍にいられる。
……欲なんて出さなければ良いのだ。
リドルに気持ちを伝えたいなんて思わなければいい。応えてほしいなんて欲を出さなければいい……こんなに、
「ありがとう」
……トレイを見上げて、リドルは微笑む。
これは誰も見たことがないような顔だと思う。
こんな表情で微笑むなんて、きっと、誰も知らない。この顔はトレイしか見たことがないとは思う、でも……。
(リドルは俺を好きだという訳じゃない)
誤解してはいけない。思い上がってはいけない。
幼馴染だから、リドルが気を許しているだけだ。
大好きなケーキを焼いてくれる相手だから……トレイの価値は、パティシエであるというところにある。
ならば、誰よりも『上』の菓子職人でなければならないだろう。
リドルのためにケーキを焼いていればそれでいいという訳ではない。
トレイが『素人』ではいけない。
自分は一番美味しいと思うのに、とリドルに思わせるだけでは駄目なのだ。『人気店のパティシエ』でなければ、おそらくリドルと今度は並ぶことも許されない。
本音を言うと、パティシエになりたいとか、親の店を継ぎたいとか、そんな風に思いながら生きてきた訳ではない。
親はやんわりと『そうであってくれたら嬉しい』という圧をトレイにかけてきていたのは事実だと思う。
それを薄っすら感じながらも、抵抗する気もなかった。自分の道を自分で探さなくていい事は楽でもある。
そうでありながら、何処かで誰かにぼやくのだ。形のはっきりしない文句を。
他人からして幸福な人生だと言われるが、親が好きに生きさせてくれたわけではないのだ、など。
リドルには、リドルを知っている人たちには『俺は理解のある両親のもと、ずっと成りたかったパティシエになった』と言い、多分何も知らない相手には『緩やかに将来を決められて息苦しかった』という発言をして同情を引く。
そうやって、生きていく。小さな人間だ。
自覚しながらもやめられない。トレイは『しょせんそういう人間』なのだ。
それは『普通』だと思う。
別に自分が酷く悪い人間だとも思わない。『普通の人間』というのはこんなもんだろう、と自分に対して諦めているだけだ。
あんな母親に色んなことを強制されて、めちゃくちゃなストレスがかかる環境だというのに恨みにすら思っていない。
トレイだってわかっている。あれは『愛情』だと。
でも、向けられている本人がそれを『愛情だとちゃんと認識している』のはちょっとした異常だと思う。トレイにはそれすらも、リドルの才能の一つに見える。
彼は『特別な人間』なのだと、思わせる。
愛していれば良いという訳ではないと思う。トレイはそう思う。だが、リドルは『愛されているのだから仕方ない』と何処かでそれを受け入れているのだ。
(なのに……)
トレイから愛されているという事実を受け入れる気はないのだ、リドルは。
思い出すと息が止まりそうになる。けれど今のトレイはそれを知っている。幸いだ。幸いなのだ。今は……幸福なのだ。
リドルから愛されることは無い。
だからと言って……嫌いには、なれない。好きでなくなることは、難しい。
好きなのだ。ずっと。
いつからかはわからない。自覚したのはリドルと引き離されたからだと思う。
今までずっと抱えてきて、言わない気でいた。性別の話ではなくて、受け入れられるとは思っていなかった。
……思っていなかったはずなのに、実際に『受け入れられないのだ』と解ると辛い。なんて自分勝手なんだろうか。
「トレイ」
二人きりの時にしか出さない柔らかな声色でリドルがトレイを呼んだ。
幼いころの声とは違う、ちゃんと大人になった声だ。低い声ではないけれど。
張りのある響きではなく落ち着いたトーン。
「疲れた顔をしているね。毎日ケーキを焼くのは大変じゃないかい?」
「いや、そんなことは無いぞ。お前のほうがこれだけの仕事を抱えて大変だろう?」
「なんてことないさ。……キミが手伝ってくれるから」
微笑み返されて、トレイは小さく息を吐く。
トレイにしか見せない表情。声。でも、特別なのは『そういう意味』ではない。
「あんまり無理するなよ」
「そのつもりだけれどね……」
言いながら、リドルはふっと息を吐いた。
「文化祭の事は良いよ。自分が引き受けたことだから。……家に帰るのに気が重いだけで」
ため息交じりの台詞に、トレイは内心で驚く。
そんなことをリドルが言うとは思わなかった。
「……母親に話すのが?」
慎重に、けれど言葉を選べるほどの内容ではなかった。リドルは小さく頷く。そうだね。と、苦笑する。
「情けないけれど、ボクは本当に自分で考えてこなかったんだと思う」
エースの指摘通り、とリドルは付け足し、トレイは息が詰まる。リドルを『救った』のは自分ではない。ただ傍にいて……いたと言うだけ。何も、してこなかった。
息苦しく思いながら、トレイはリドルを窺う。
息苦しく思ってきたのは今が初めてではないから、薄い呼吸に慣れてしまっている自分を何処かで自嘲しながら。
恋は、その多くは勘違いだという。
吊り橋理論という話がある。緊張している動悸を、恋愛感情だと勘違いするという話だ。
ならば、トレイのこれはそれかもしれない。そうだといい。報われない恋など、したくない。
報われない想いに身を焦がすほど、トレイは『選ばれた』人間ではないはずだ。
リドルの前で、どれほど息をひそめてきただろう。怒らせたくない。緊張を押し隠し、微笑んで見せてきた。だから……勘違いだと良い。
今も『お前は何もしてくれなかった』とリドルがトレイを責めたわけではない。それでもトレイは息が詰まっている。……役立たずの己を後悔している。けれど同じことがあったとしても、また動けないと思う。
「トレイ、」
「ん……?」
何と言えばいいと思うか、と尋ねられたらどうしようかと思った。
けれど、リドルは予想外の言葉を口にする。
「ボクは……」
皿の上に、食べ終わったフォークを返すリドルの手をなんとなく見る。トレイよりは小さいけれど、子供の手ではない。
それを見ていたら、リドルは緊張しきった声で言ったのだ。
「キミが、好きだ」
「……え?」
間の抜けた返事をしてしまった。
あまりにも自分に都合のいい言葉だったからだ。
リドルは唾をのむ……その音が聞こえるほどの静寂。
「キミのことが、ずっと、好きで……その……」
たどたどしく言葉を紡ぎ、そして、リドルは黙ってしまう。
涙の滲んだ目を見て、その緊張が伝わる。無意識なのか、小さく震えている。
その『好き』の意味を、言われなくてもわかる。
トレイと同じ……『そういう意味』の言葉だ。これは。
そうでなければここまで緊張などしない。
トレイと違って……容易く嘘なんてつけないリドルがトレイに演技でこんなことするわけがない。
恋愛対象として、トレイを想っているという告白だ。
「ごめん、迷惑だよね……」
固まったままのトレイに、リドルは苦笑気味に付け足す。
「友達だと思ってるのにいきなりこんなこと言われて戸惑ったと思うけれど……話し合いの結果如何ではどうなるかわからないから……」
「どうなるかって……?」
なんとなくわかる。けれど、思わず聞き返してしまった。
愚かな問いに、リドルは呆れたりはしない。
しかし、妙に儚い笑みを浮かべたので、見ていてぞっとしてしまう。
「ナイトレイブンカレッジをやめさせられても仕方ないとは思っているよ……ボクは学生だから、親の意向に逆らえるわけじゃない」
保護者、が必要な年齢だ。
こういう時に『子供だ』と思い知らされる。
リドルだけではなくて、自分も。
自分がいるから、とは言ってあげられないのだ。トレイも、被保護者の立場で。
「キミと会えなくなるかもしれない。その可能性はゼロとは言えない」
リドルはそう呟き、ぐっと眉を寄せた。
「そう思ったら言いたくなってしまったんだ。ごめん。忘れて」
努めて明るく出した声でそう言い、リドルは視線を逸らす。
「これからもボクと友達でいてくれる?」
「……ああ」
リドルは笑って何事もなかったようにティーカップに唇をつけた。
今日も美味しかったよ。と付け足す。
「毎日……好きなものを作ってやるから」
離れないのだ、という事だけを知らせる。
リドルはありがとうと微笑んだ。
けれど、その部分だけの回答は要するに『気持ちを受け入れない』といったのと同義だ。
……トレイは、自分がそう言ったことに、自分で驚く。
リドルの事が好きだ。
だから、リドルからの告白なんて嬉しいことでしかない。
その筈なのだ。
なのに、反射的に『応えられない』と思った。いや、ただしくは『受け入れてはいけない』と思ったのだ。
リドルから告げられて、初めて冷静に『状況』が見えた。
リドルは……トレイとの交際を禁じられている。
それを押して今ここにいてくれている。
これ以上、苦しさを与えるということだ。
同性愛など、あの母親が許すはずがない。
リドルに『ふさわしい』パートナーをと望んでいるのは間違いない。『完璧』な相手をと。
……それが……一番の幸福だからと……。
(ああ……)
好きなわけがない。トレイにとってはトラウマに近い、リドルの母親。
けれど彼女は『正しい』のだ。
リドルの幸福を思えば……受け入れてはいけない。
その気持ちを、決して。
◆
21時からやろうと思ってたんだ。←22時までご飯食べてましたね。
やっとお酒が抜けた? かもしれない。
いえーよろしく。
◆
リドルの告白なんて何もなかったかのように『普通に』眠った。
自分たちが『どうやっても両想いという状況にはなれないのだ』ということを深く考えるには自分は弱っているのだと思う。
そもそも、それが『考えていなかったのだ』と突き付けられた気持ちだった。
そうだ、自分がリドルに言って、それが受け入れられるか受け入れられないかという事だけを気にしていた。
『受け入れられたらどうなるか』を考えていなかった。……受け入れられてはいけないのだと、理解できていなかった。
それを突き付けられたのだ。リドルもトレイを想っているのだと言ってきた。その『本来なら僥倖
なはず』のことで、自分たちは『どう転んでも駄目』なのだと思い知らされた。