なんか、死後の世界って思ってたより結構独自の文化、というか日本の文化なのかなぁ、って思った。
というのも、あまりにも簡単に死神共の巣窟にたどり着いたため、そんな考え事をしながらでも来ることができた。
そもそも、死神の来ている服って和装だし、見渡す限り髪型やファッションはしょうがないとしても、顔がアジア顔が多い。
たまに海外顔もいるけど、それだって少しアジアっぽさがあるというか。
しかも死神でない人もいるが、その人達もほぼほぼすべてが日本人である。
おまけに話している言語はすべて日本語。
……日本人専用天国とかなのかな。
そんなどうでも良いことを考えながら、悠々と侵入完了。
流石は浦原さんのマント。
流石すぎてマジで朽木さん攫えそう。
死神たちは思ってたよりも出払っているせいか、人数は少ない。
「なんだって?!」
「旅禍が出たそうだ。
隊長たちが揃っている最中に出るなんてアホな奴らだよ」
途中で聞いてきた死神の会話。
死神たちには13の部隊と階級があり、そのそれぞれに隊長と呼ばれる役職の人間が就いている。
それらは例外なく強者というものに分類され、差はあれど一護でも太刀打ちができないほど、というように話は聞いている。
ぶっちゃけ会いたくない。
出会っても勝てないし逃げられんて。
だから探知はビンビンに行って、ヤバそうなやつからは片っ端から逃げるようにしている。
正直これだけ人数がいると精度もクソもないが、いくつか出会ったらマジでヤバそうなのは目星はついている。
そのうちの半数以上がまだここにはいる。
正直時期尚早かとも思ったが、かなり広いこの建物の中では俺程度羽虫のような雑魚キャラを探知できるわけもない。
更には俺はガッツリそこらの人たちとは距離をとって行動している。
と、言うことで安全なのは変わりないのだが、
「どこだ朽木さん」
思わず独り言をこぼしてしまうくらいには朽木さんの場所が分からない。
マジでどこ。
死神さんたちから話を聞き出そうと思っても、朽木さんの話が一切出てこない。
なんで? 処刑されるのでは???
もっと話題に出さない?
それとも朽木さん人気ないの???(失礼)
それとも聞く?
そこらの人から服かっぱらって何気なく聞けばなんとかなるのでは?
と、簡単に泥棒行為をしてしまいそうな誘惑に駆られるが、ぐっと堪える。
現段階では一護たちも侵入していないのに、俺が下手にリスキーな行動をとって一護たちが来れなくなるとか、申し訳なさすぎて吐きそうになる。
さぁ、どうしようかと考えていると。
「そこか」
なんか来た。
思わず避けた。
ゾッとした。
なんか、背後から斬りかかられる感じがした。
飛び退きながら背後を見る。
何も起きていない。
ゾッとしたのに何も起きていない?
不思議な現象に思考を整理していると、人影を見つける。
先程まで俺は城壁的なのものの上をスタスタ歩いていた。
そっちのほうが景色もいいし、人とすれ違うこともなかったからだ。
ぶっちゃけだめではないけど、死神からすればマナー違反的なものなのだと予測はしていた。
だから、最初は少し目を疑った。
そこにいるのは死神。
死覇装を纏った死神がそこにいた。
けどその死神がよりにもよって、
「逃げたか」
白い羽織を纏っていたことだ。
目元にゴーグルのようなものを装着して、首元にオレンジ色のマフラーをしている。
コーンロウの頭をしており、結構特徴的な人物。
着地。
次の移動を考える。
「そこか」
足を地につけた瞬間、死神……ゴーグルさんはこちらの方を睨む。
ちょっとびっくりする。
だって、これをつけると姿が見えなくなるのは俺は知っている。
実際に消えるところを見せてもらったし、効力も散々実感している。
それなのに、あのゴーグルさんには見えている。
……あのゴーグルか?
迷彩見破る的な。
透明見破る的な。
でも浦原さんがそんなの作る?
まぁ、作りそうだけど。
「フッ!」
気づけば目の前にいるゴーグルさん。
袈裟斬りに振り下ろされる刀。
ギリギリで躱す。
返しの刃。
躱す。
蹴り。
躱す。
柄による殴打。
躱す。
うん、全然躱せる。
この人かなり手加減してる。
これくらいだったらビビるまでもなく避けれそう。
というか殺す気がないから逆に避けづらい。
受けても死なないっていう安心感が避けを鈍らせるなぁ。
それにしても太刀筋は曖昧だ。
なんとなく斬っているというか。
見えてないというか。
「……っ! ……っ!」
しかもさぁ、手加減してる割には真剣に刀振ってるんだよね。
集中しているというか。
何か他のことに集中している?
わかりそうで分からないこの状況。
あっちは適当に刀を振るい、俺はそれを避ける。
手加減されてて、なおかつ何かに相手は集中している。
反撃する?
いやいや、それはやめろ。
さっきも言ったけど、俺が騒ぎを起こすと面倒になる。
なるべく穏便に……
「東仙隊長! なにしてるんですか?!」
そこに誰かが現れた。
特段警戒するほどではないが、できれば会いたくないくらいの強さ。
そんな感覚。
ちらりとそちらの方を見ると、そこに居たのは長身のお兄さんだった。
結構イケメンだな。
……死覇装ノースリーブ? しかも目元になんかタトゥー掘ってる?
よく見るとわけわからんな、この人。
「そこ!」
急に太刀筋鋭い一撃。
けどそれくらいしっかりした斬撃だと……
「消えた?!」
むしろ避けやすいわ。
俺はゴーグルさんから少し距離を取る。
その長さはおおよそ10メートルほど。
一瞬にして移動した。
思わずやったこれは、俺の10日間の修行の一番の成果とも言える技術。
瞬歩。
本来は死神が使う高速移動術で、とても長い距離を移動したり、一瞬で相手との間合いを詰めるときに使うらしい。
それを俺は覚えた。
めちゃめちゃ劣化で。
最大移動距離は10メートルかそこら。
試しに見せたもらった見本よりくっそ遅い。
呼吸との相性が悪いから、できるのは一回ほど。
連続しては当然できない。
ちょっと驚かすことくらいには使える。
一護にもよく使って驚かせていた。
「東仙隊長。
いきなり出ていってどうしたんですか? しかも抜刀までして……」
「いや何、旅禍を見つけたのだがな。
やつは姿と霊圧を消せるらしい。
音を頼りにしてみたが、逃げられてしまった」
「姿と霊圧を……。
それって普通の死神には見つけることは不可能じゃないですか」
「11番隊が対策をしてくれることを願おう」
「それにしても隊長、よく切れましたね」
「相手も音を追っているのに気づいているのか、とても静か名動きをしていたせいで戦いづらかったよ」
「ってことは隠密系ってことですかね……」
「目には目を。
隠密機動にも話を通そう」
ノースリーブさんとゴーグルさん……東仙隊長が俺がいると分からずに説明をするかのように話をしてくれる。
音かぁ……。
確かに塀の上歩いていたから、地面歩くときより音はでてたなぁ。
後船長中集中してたの音か。
だから結構静かに集中して適当に刀振るってたのね。
それは当たらないわ。
いるかどうかわからないもん。
最後の移動に関しては、あの瞬歩もどき、なんか浦原さんから『隠密以上に無音でさっと移動しますねぇ』とか言ってた。
それか。
てかやっぱ浦原さんのマントはしっかり機能はしていたのね。
良かった。
壊れてるとかいう必要なくて。
「ってことは旅禍はここに用が……」
「いや、逃げたのは市街の可能性もある。
姿を隠す特性があるということは、単身で行動をしていれば力のない隊士が闇討ちをされてしまう可能性もある。
すぐに提言しよう」
「俺は11番隊のところにいって話ししてきます」
「頼んだ」
「はいっ!」
ノースリーブさんは本家瞬歩を使用して去った。
俺は立ちすくんでその様子を眺めている。
てか下手に動けない。
動いて音出したら見つかるもん。
はよいなくなってくれ。
「旅禍よ!」
……旅禍ってさっきから言ってるけど、多分侵入者的なニュアンスだよな。
え、バレてる?
「いるのはわかっている。
姿を見せるが良い。
私は戦闘は嫌いだ。
キミの命は奪うことはない。
だからこそ、姿を見せてくれないだろうか」
バレてるやん。
どうする? 奇襲する?
でもあの銀髪と同じ戦力でだったら勝てる可能性低いよ?
でもバレてるなら行くしかない?
しばらくの静寂。
俺の思考は様々な選択肢が浮かんでは消える。
高速回転する脳が、そろそろ無理だと叫びだす頃、
「まぁ、出ないか」
ブラフだったぁあぁァァァァァァ!!!
あっぶねぇ出るとこだった本当に出るとこだった。
やば、出てたらえ、マジ? 的な顔と対面するんでしょ?
てか俺出る必要なくね?
なかったよね?
だって相手方はこちらのことを見れないし感じれないんでしょ?
危ない血迷わなくてよかったぁ。