ひとりでした後
眠れない……余計な熱は吐き出してすっきりしたはずなのに、何か物足りない。足りなくて、ひとりでは埋められないそれをどうしたらいいのか分からなくて、どうにかしたくて。部屋を抜け出して、既に更けり始めた夜に飛び出した。
寝静まっていた里も、少し道を逸れればあっという間に目を覚まして(光らせて)、1人ふらつくナルトを歓迎する。腹が減っている訳でもないし、目的があるわけでもなかった。ただ足りないだけ。どこにいけばいいのかあてがあるわけでもなく、なんの衝動かもわからない焦燥感に駆られて足が進む。
なんとなく目についた店に入って、空いていたカウンターの端にかける。注文を聞かれて味を覚え始めたばかりのアルコールを頼んだ。後ろのテーブル席に座る二人ずれの男がこつちにつけてくれと店主に声をかけるのに礼を言って小麦色の液体に口をつける。奢りだと思っても美味しいとは思えなかった。
最近考えるのはいつもその事について。どうすれば、あの人に触れても許されるだろうかということ。目の前の泡の消えかけた液体を見つめて酒で酔わせてしまうのはどうかと考えて、あの人はざるだったと肩を落とす。なら可愛い女の子に変化しては? それもすぐにばれる。それとも、はっきり言ってしまおうか、オレを抱いてくれ、と。それを聞いたらカカシ先生はどんな顔をするだろう。驚く、呆れる、誤魔化す?それもと何を言い出すのかと心配されるだろうか……少なくともいい顔はしないな。
「――隣いい?」
若い男の、けれど落ち着いた声が隣からした。顔を上げれば、ナルトよりも幾分年上なのだろう男が一歩離れた位置からこちらを見つめていた。
「オレ?」
「そうだよ。迷惑じゃなければ」
優しそうな眼元と詰めすぎない距離感に交換を持った。
(★カカシに似てないんだけど、求めてるから面影を感じちゃう)
「いいけど」
「よかった。一人で飲みに来たんだけど、一人でいたくなくて」
「なんだよそれ」
「そういうことってない?」
★ゆっくりした動作で隣に腰かけた男は尋ねているようで同意を求めていないような、変なニュアンスでそう言った。
「君もそんなところかと思ったんだけど」
「……」
……
「それ、全然減ってないね?」
小さく指さされた先の液体は、確かに三口ほどしか飲んでいない。
「いつもは何を飲むの?」
「わかんねぇ、お酒って最近飲むようになったから」
眉を顰めてそう言うと、男は少し考える仕草をしてから店主に(何か甘いお酒)を頼んだ。出された()をオレの前に置いて、自分は温くなった飲みかけに口をつける。
「……それ、ずげぇ気障っぽい」
「あれ、もしかして外しちゃった?」
「んーん、気障だけど、そんなに悪くはねぇかな……さんきゅ」
オレがちょっと唇を尖らせてそう言うと、男は眉尻を下げて笑った。その表情が少し可愛く見えて、オレはなんだかざわついていた心が少し溶けたような気がした。
それから最近雨が多いだとか、お酒はこの銘柄が飲みやすいだとか、ラーメンは豚骨か塩かで言い争ったり、そういうどうでもいい、取り留めもないない会話をした。お互い確信は避けて。
「そろそろ、帰ったほうがいいんじゃない?」
「んー、んん」
内容は本当にどうでもいいものだったけれど、打てば響くさまが心地よくて久々にいい気分だった。とても酔ったわけではないけれど、この酔いにこのまま身を任せていたいような、そんなっこちだった。
「送っていくから、ほら」
男に肩を借りて店を出た。
方向はこっちでいいのかなんて尋ねる声に適当に返事をしたりしなかったりしながらいくらか歩いた頃、男がこのまま行くと僕の家があるけど、そう呟いた。
僕……さっきまでは何とも思わなかったのに、その一人称に少しだけがっかりした。
「どうする?」
男はまた疑問形なのに聞いていないような変な言い方をした。
だからオレは返事というわけでもなく、ただその時思ったことを言った。
「……帰りたくねぇ」
アパート玄関口?に倒れこむように座り込んだオレに男は水の入ったコップを差し出した。
「飲んで」
オレはそれを顔も見ずに受け取って口に含む。けれどうまく呑み込めずに咽てほとんどを零してしまった。
「大丈夫? ……貸して」
オレの手からコップを奪った男は一瞬、窺うような視線を向けたので、オレは初めて何か答えを求められてような気がした。それが何か分かっていないような、分かっているような。ほんの少し顎を引いた。
男はコップを自分で煽ると顔を傾けて、オレに覆いかぶさった。
開いた唇から口内(咥内?)で温められて温くなった水がゆっく入ってくる。促されるのに従って嚥下する度、二度三度と与えられた。
「はぁ……」
「もっと欲しい?」
また。聞いていないような声で。
オレはまだ喉が渇いていたから、欲しいと言った、たぶん。
合わさった唇から液体ではなく舌がぬるりと入ってく感覚に項が震えた。ぼやけた思考で、これってキスだよな、と思った。キスする久しぶりだ――
「……んせ、ぃ」
「ッナルト」
――名前を呼ばれて我に返った。
あれ、オレ……今何して。反応が変わったことに気づいてこちらの様子を窺うように唇を離した男を目が合った。
「……ナルト?」
その声が酷く心配するような声色だったから、オレはよっぽど酷い顔をしていたんだと思う。
「僕じゃだめだった?(間違えちゃったかな?)」
「え……」
「危なっかしいなぁ」
そう言って唇を袖口でゴシゴシと拭われた。そうして、呆けてへたり込んだオレに目線を合わせるようにしゃがんだ男は、頬杖を突きながらコップを差し出して、これを飲んで少し休んだら一人で帰りな、と少し呆れたように言った。
なんだかみんなに対して申し訳ないような気分になって、コップ一杯分の冷たい水をちびちび飲んだ。そうしてようやく自分の足で立てるようになってから、決心して男の顔を見た。
「ごめ……」
オレが謝罪を口にしようとすると、
「……今晩僕たちは、楽しくお酒を飲んだ。それだけ。(それだけにすればよかった。)僕も謝らないから、君もそうして」
こんなふうじゃなくて、昼間、一楽で隣同士になてったら……。
「それは無理かな……それから、当分一人で出歩くのはやめたほうがいい。分かった?」
顔に出ていたんだろうか、こういう聡いタイプは狡い。
「うん」
この後先生と同居している家に帰ったら任務にでていると思っていた先生がいて鉢合わせ。
動揺するナルトに何かあったのかと心配する先生と、こんなことなら出歩かなきゃよかったと後悔するナルト……からの対応を測り兼ねつつ、怯えた顔をしているナルトを抱きしめる先生。日差しぶりに抱きしめられて、ちょっと泣くナルト。
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12:00
ななし@a2d354
台詞から先に書くんですねへんふよです
89:03
monibe
配信これで終わりにしようと思います。
89:15
monibe
見ていただいてありがとうございました。
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向き
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あいしてる-過去編-
初公開日: 2021年04月20日
最終更新日: 2021年04月20日
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あいしてる(先生がナルトとのこと忘れちゃう話)の過去編
※注意:モブナル
・妄想したとことを忘れないうちにメモ
・夕飯までの短時間