※Dom/Subユニバースパロ(だいぶふわっと解釈)。色々と現代日本基準ですがカタカナ名前のまま。息をするようにレスレト双子時空
※シルヴァン→Sub、ベレス先生→Dom、ベレト先生→? 全員大学生。
※えちちな描写はありませんが、レト先生とシルヴァンくんがダイナミクス的な意味での「プレイ」をする描写があります
●あらすじ
 自分はDom(あるいはダイナミクス的には無性)だと思っていた大学生シルヴァンくん、最近とみに悩まされていた頭痛が悪化して大学構内でとうとうしゃがみこんでしまう。そこに現れた女性に「立って」と言われた途端スッと立てたし頭痛も引いた。その女性=ベレスさんに「君もしかしてSubなんじゃない?」と言われ否定しつつも、ダイナミクスについてあまりに無知なことを指摘されたシルヴァンくん。なし崩し的にレクチャーを受けたり簡易的に「プレイ」するうちにベレスさんへの恋心を自覚し「ベレスさんからカラーが欲しい」と思い始めた頃、ベレスさんから急に距離を置こうと言われたうえ、ある人を紹介されたのでした……。
 待ち合わせに指定されたのは某有名ファストフードチェーン店だった。約束の五分前にやってきたその人は俺を見るなり「じゃあ行こうか」と促して、店内へ歩を進める。
 俺はアイスコーヒー、その人はハンバーガーとポテトのセットとレモンティー。ふたり向かい合って座るしかないテーブルを占拠すると、その人は彼女と同じ色の目で俺を見つめた。
「苦手か? こういう店」
「いや……」
 どちらかと言えばあんたみたいな人が苦手です、とは流石の俺も言えなかった。
「本当は喫茶店とか居酒屋とかの方がいいんだろうけどな。かえってこういう、雑然としていてうるさいところの方がいいような気がして」
「はあ」
「あまり聞かれたくもない話だろうし、まあ今時だから聞き耳を立てる奴もいるかもしれないが……こういうところでできる話だと思ってほしいというか、恐縮して聞かれるのもどうかなと」
 なかなか本題に入らない。急かすような目をしていたのか、その人……ベレスさんの兄だというベレトさんは肩をすくめた。
「話したいことは大きく分けてふたつある。ダイナミクス……というかプレイか。その話と、俺とベレスの昔話。君が興味があるのは多分ふたつ目だろうけど、それを踏まえて先にこっちの話をする」
 二本立てた指をしまうと、「なあシルヴァン」と呼びかけられた。ベレスさんは俺たちの間にあったことについて、どこまでこの人に話したのだろう。
「恋愛と結婚ってほぼワンセットで考えられるだろう。でも本来はそうじゃない。本来はというか、従来はというべきか……まあとにかく、惚れた相手と添い遂げるのがいいとか当然そうあるべきだとか、そんな考えが普及したのは比較的最近の話だ。歴史の上での『比較的最近』だけどな」
「その考えがいいとか悪いとかは置いておくとして、だ。早速矛盾したことを言うが恋愛とか結婚とかそういうのをいったん一個にして考えるとして、ダイナミクスはまた別のところにある。x軸とy軸というか、まあとにかく連動しないんだ」
 ここまでいいか、と目で聞かれた。黙って首を縦に振る。
「ベレスが心配してるのは、君が自分を欲しがるのが『最初に出会ったDom』だからじゃないかってこと」
 薄い唇がストローを挟む。細い管の中を上がっていって、この人の喉の奥へ消えていく。
「DomだSubだっていうのは相性の問題だからな。色んな人間がいるよ。プレイだってそうだ。例えば」
 男のわりに細い指がフライドポテトを一本つまんだ。
「『食べて』」
 ――――コマンドだ、と認識したのが一瞬。ためらったのはもう二瞬。
 結果的に俺は首を突き出し、差し出されたポテトを食んでいた。満足げに微笑んだその人が「いいこ」と囁く。……じわり、と胸が温かくなったことに愕然とした。
「そんな顔をされるとさすがに傷つく」
「そんな顔って……」
「恋人以外にそういう意味で触られたみたいな……いやごめん、例えが悪かった。でも、めちゃくちゃショックって顔に書いてある」
 塩まみれの指がウェットティッシュで清められるのを、何も言えないまま見守った。
「プレイってさ、羞恥プレイとか放置プレイとか、性的な意味のと同じ響きだろ。だから誤解されるけど、別にベッドの上で服を脱いですることがすべてじゃない」
「今みたいなことだって十分プレイになりうるし、実際性的な接触なしで満たされてるパートナーたちもいるよ。重要なのは相手と自分のしてほしいことが合致するかどうかと、もし相手に不満があった時それを素直に言える関係であるかどうか」
 今君はどう思った?
 尋ねられ、反射的にその目を見つめる。息を詰めていたのがわかったのか、ベレトさんは苦笑いをした。
「…………ベレスにどう紹介されたか知らないけど、俺はSwitchだよ。だからDomに八つ当たりされる怖さはわかってるつもりだ」
 怖がらせてごめんな、と謝られ首を横に振る。ばらばらの言葉をかき集めて、なんとか意味のある文へまとめようと試みた。
「正直、気持ちよかった……というか……」
「うん」
「でも、もっと言うなら、なんでベレスさんじゃないんだろうって……」
「うん」
 よく言えたな、えらいぞ、と。たったそれだけの言葉で胸が軽くなる。
 心当たりはあった。……双子って、こういうところまで似るもんなんだろうか。ストローの先に歯を立てる。
「要約すると俺はさ、ダイナミクス的なパートナーと恋人とか結婚相手が別でもいいんじゃないかなと思ってる。でもそれ以上に、『どうしてもこの人がいい』って思ったならそれを信じた方がいいと思う」
 がらんがらん。無造作にカップを回すせいでレモンティーの中で氷が踊っている。
「ここまでがひとつ目の話。お待ちかね……かどうかはわからないが」
 だん、と案外雑にプラスチックのカップを置く。とっくに冷めているはずのハンバーガーには目もくれず、ベレトさんは口を開く。
「ベレスと俺は双子なんだが、二卵性のわりにそっくりで……まあ見てわかるか。今でこそ体形に差がついたが、子どもの頃なんかはよくひとまとめにされたもんだ。ベレスはいわゆる女の子が好きそうなものにあまり興味がなかったから、余計に男に間違われたりもして」
「でもほら、よく言うだろ。女の子の方が成長が早いとか、精神年齢で上だとか」
「実際第二次性徴だって女の方が早く来るだろ。だから、というのが正しいかはわからないが、ダイナミクス……この場合は二次性、と言った方が正確か? とにかくそれに気づくのも俺よりずっと早かった」
 言っておくけどお前はかなり鈍い方だよ、と視線で言われたような気がした。
「さっきの話とも被るが、DomだのSubだのSwitchだのにも色んな人間がいるだろ。でも世間だと、Domはみんな無理矢理Subを支配したり暴力をふるうことで満たされるもんだって偏見が渦巻いてる」
 ブラックコーヒーを飲み下しながら思い返す。ベレスさんは俺に乱暴したことがあっただろうか。……いや。あの人は優しかった。初めて会った日もその先も、俺が嫌がることなんかひとつもしなかった。
「ベレスは自分が相手を甘やかしたいDomだと言ってた。……お前がどういうSubなのかは聞かないよ、自覚してなかったらそれはそれでいい。でも……お前に出会ってからのベレスは楽しそうだった」
 唐突に俺は思い出した。これは彼からの呼び出しではなくて、ベレスさんにセッティングされた「お見合い」なのだということを。
「ベレトさん」
「何」
「…………あんた結構怒ってますね?」
「ああ、なんだ気づいてたのか」
 よくわかったな、という声は少しだけ冷えていた。
「お前に対して怒ってるわけじゃないよ。さっきも言ったけど、Domに理不尽に怒られるのかなりストレスだろうと思って……できるだけ隠してたんだけど漏れてたか、そっか」
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D/Sシル→レス
初公開日: 2021年03月09日
最終更新日: 2021年03月09日
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 特殊設定シルレス(Dom/Subユニバースパロ)。ベレス先生不在、レスレト双子時空でレト先生とシルヴァンが喋ってるだけ。
 いろいろと現代日本基準。