アテンション
若干胸糞、腐が入るかも、です。
パロディの別世界線のお話ですので、ぜーんぶ捏造・妄想です。
陸×海3CP、今回は陸視点、陸のお話です。
*
優しい日差し。
穏やかに流れる、青い天井、白い綿雲。
広い大地。
豊かな自然。
多くの動物たち。
遠い昔、少年時代を過ごした農村は、そんなところだった。
あの静かでのんびりとした村が炎に染まったのは、いったい私がいくつの時だっただろうか。
都会へ向かう人たちで混みあった列車に揺られ、気がつけば、周りに広がる景色は、がらりと変わっていた。
到着したのは、この国でも屈指の大都会。
大きな駅舎に、忙しなく出入りする長い長い列車。行きかう人々もどこか忙しそうで、そして全てが異国のようにお洒落だった。
ゆっくりと開いた列車のドアから、一番に飛び出る。胸の中は、新たな生活への期待でいっぱいだ。
母親の手を引いて、外へ外へと急かす。
母はよろけながらも、小さく笑ってついてきてくれた。
都会に越してきて、変わったものと言えば──、ありすぎてきりがないくらいだ。
新しい家、新しい友人、新しい生活、馴染みのない文化。新しい趣味には、がむしゃらに打ち込んだ。
今思えば私はただ、父と祖父母、兄妹を喪った悲しみを紛らわしたかったのだろう。新たなことにのめり込むことで、過去の苦しみを塗りつぶそうとした。
その思いはきっと、母にも伝わっていた。その生活に慣れて一年ほど経ったころから、私と母二人きりの暮らしが、何となく不自然なものになっていっていた。
そんな時期だった。
夜更け頃に仕事に出ていく母と一緒にいるのが気まずくて、私は夏の間、学校から家へ帰るまでの時間を遊んで潰していた。部活動が終わるのは19時前だったので、およそ二時間と少しほど外にいたのだろうか。
子供が出歩く時間ではない。そんな常識からは目をそらして、精一杯大人びた表情を作った。幸いか、そうでないか、私は当時から背丈に恵まれていたので、2、3歳年齢を盛るのはそれほど難しくなかった。
夜半の夜闇が祟った。
私は道端に停まったトラックに突然引きずり込まれた。
訳もわからないまま、何か鋭いものを腕に刺される。一瞬、神経に痛みが走った。
前も後ろも見えない真っ暗闇の中ふらりと倒れ、そのまま意識を失った。
それから何時間後だろう。
がんがんと激しい頭痛に目を覚ますと、私は知らない部屋にいた。
ちかちか点滅する蛍光灯と、灰色のコンクリートだけの、殺風景な部屋だった。空気は冷たいが、濁った感じがする。地下室だろうかと予想した。
姿勢を変えようと思って身じろぐ。しかし強く緊縛され、身動きが取れない。両手両足を縛られていることに今、気づいた。
顔だけを上げて、自らに影を落とす巨躯を見上げる。
こちらをのぞき込む彼らからは、シンナーとアルコールの混じった嫌な匂いがした。
彼らが何かしゃべっていることはわかった。聞きなれた言語であることも。しかし霞がかった思考では、その会話の内容まで理解することはできない。
あの針は注射針だったのだろう。何かおかしなものを注射されたに違いない。なぜだか頭が朦朧としているし、身体に力が入らない。
男たちはひとしきり話したあと、またこちらを向いた。
そして先頭にいた一人が、ぼんやりと大人しくそこに転がっていた私の肩をいきなり揺すぶった。
「おい、お前名前は?」
こちらにかけている、明確な質問だ。それは十分理解できていた。
しかし、霧がかかった私の頭では、それに対する受け答えを紡ぐことはできない。口が動かないのだから。
ぼんやりと佇み続ける私にしびれを切らしたのか、男がもう一度声を発した。
「……おい。聞いてんのか」
「……う、、う、……ぁ…」
口にできるのはこんな意味のない母音くらいだ。
それを伝えたくて、必死に口を動かした。
「ああ、まどろっこしい。わかったじゃあ、質問を変える。お前、女か、男かどっちだ」
男は、両手の指を一本ずつたてて、順に示した。
右なら男、左なら女、か。
右側を顎でしゃくった。
「男か…本当かねぇ。こんな髪しててよくまあ言えるよ。……ま、今のところは信じるさ。
…坊主、俺のもとで働け。有無は言わせねえ」
それが、このグループとの出会いだった。
戦火により都会へ、9歳
かどわかされる、 13歳
イグニの領地へ、 14~15歳