炎上プロジェクトではもはや日常となってしまったスケジュールの後ろ倒し、不具合対応に追われ、気付けば丸一日と48時間が経過していた。途中、なにか口にしただろうかと頭の片隅で気にしつつ、ようやく修正の終わったコードが無事にビルドされていくのを機械的に見守る。
「おつかれさまでしたー!」
屍達が、限界を超えたハイテンションで爽やかに挨拶を交わしていく。身体は椅子に沈んだままだったが。
打ち上げに参加するかと問われたが、さすがに遠慮した。ノリが悪いと言われるでもなく、栄養ドリンクをそっと一本差し出されたということは、傍目から見てもまあ屍だったのだろう。「オウチカエリタイデス」だけが辛うじて言葉になったくらいのものだ。
そんなこんなで、一度帰路につけたのは休日の昼間。もうここでいいと、アスファルトに転がりたくなる身体に鞭打って、なんとか足を動かす。
休みたい。ただ寝るだけじゃなくて、休みだー!! と、なる、気力回復のための何かがほしい。ビールとスルメでも買って、昼間っから飲む酒は最高だぜとかやる? それとも日本酒か? 少しいい煙草でも買うか? いっそ銭湯でも行くか? 様々な案が頭の中を駆け巡るが、「コレ」といったものに辿り着かない。ああ~、このままでは心が休み足りないまま休日が終わってしまう。
足が止まった。疲労が限界に達したからではなく、「コレ」を見つけたからだ。今まで目に入っていなかった、古ぼけた駄菓子屋。小さな先客がちらほら見受けられたが、いくしかないと思った。大人買いだ。小さな四角の餅も、ヨーグルトの味がするあれも、尋常じゃなく長いグミも、おいしい棒のあれも、欲望のまま手に取っていく。
「コレクダサイ」
簡素な会計台の上に、目当てのものを乗せ、心なしか浮ついた声で──実際には掠れた小さな声しか出なかったが──おばちゃんに告げる。
「1080円だね」
おばちゃんの声に従い財布を開く。銀の硬貨が2枚と、胴の硬貨が4枚。紙は期限切れのクーポンのみ。
「……カード使えます?」
「うちは現金だけだよ」
「あの、それじゃ……これと、これと……」
大人買いの夢はあえなく散ったが、厳選された駄菓子達に、よくわからない達成感を覚えた。
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即興小説15分
お題:子供の喜び
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【書く前】
子供の喜び……だいぶざっくり……
ストレートに、単純なことで喜んでしまう感じか、童心にかえるみたいなのか
しっくりくるのが思いつかん~~ぬぬぬぬ。駄菓子?
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【書いた後】
財布の中に全然現金入ってないときない??
たぶんこの主人公は240円で厳選した駄菓子を思う存分楽しんだ。途中まで、なんか文学的な要素強めな感じになるかと思ったけど、コメディ寄りに着地したな。でもこっちのほうが好きな気がする。
意外と、なんでもかんでも買えるより、悩みに悩んで絞って買ったときのほうが、買った後も楽しめる……ような……
今回のはアイディアだしというよりも15分以内で、1本仕上げるつもりだったのに、制限時間越えちゃったのが悔やまれる。オチに辿り着くまでの前置きが長すぎたかな? 会社での風景とかはカットして、めっちゃ疲れてる人が駄菓子屋の前を通るシーンから始めた方がスッキリ、オチのほうに時間を割けたかも知れない
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