「この前ね、丈くんとイルミネーション見に行ったんだ。」俺の方に体を傾けて、画面を見せてくる彼女の横顔がきらきらしていた。「へぇ…、」と言いながら一緒に覗いたけど、丈くんとの写真は一枚だけで、ほとんどがライトアップされた並木たちのみ。
「おもんな。〇〇、丈くん写真撮らんかったん?」「と、撮ったよ。やけど、一緒に撮ろって言うん、恥ずかしいやん。」「そんなんやったらいつまでたっても、彼女になれへんのちゃうー?」
こういうときいつも〇〇は決まって「彼女になりたいわけちゃう。」って言う。「彼女以外の選択肢なんか無いやろ。」「……ともだち。」「…俺らみたいな?」「ねえ、」「……ごめんって。」
膨れる〇〇のほっぺを突く。急に雰囲気は変わって、キスをすると彼女も受け止めたように目を閉じる。こんな関係を続けているのも丈くんは知らない。
「イルミネーションに行ってきた」と、嬉しそうに話していた〇〇が今では俺の下にいる。ソファーでするの、嫌なはずなのに、俺の腕にしがみついて気持ちよがっている〇〇のこと、丈くんに見せたないなぁ。
……
疲れ果てた彼女がベッドの上でごろんと寝そべって、「先シャワー行ってきなよ」と俺の背中に言い放つ。風呂場に向かう後ろで彼女が丈くんと連絡を取り合っていたこと、俺は知らないままでいい。
バイト終わり、携帯を起動したタイミング良くうつった通知は珍しくあっちからのもので、どういう内容なのか予測がつかないからドキドキする。呼吸を整えて開いたトーク画面に出てきた吹き出しは「振られた」。まだドキドキが止まらない。最低やと思うけど俺は嬉しい。〇〇が振られたことをすぐに俺に伝えてくれて、頼ってくれてるんやろかとか、どういう気持ちで、俺に送ってきたんやろかとか考えて、ぐっちゃぐちゃなる。
ぐっちゃぐちゃのまま服も中途半端に着て、寒さなんかどうでもいい。肌を刺す冷たい風のように〇〇の心の隙間に少しでも入れるのだとしたら。無我夢中で走って〇〇の家に行った。部屋の番号を打ち受話器越しに電子音が耳に流れる。ふるえた口先でけんめいに俺の名前を呼ぶ〇〇に対しての想いが溢れそうになった。
「……振られたん。」「…うん、振られた。」「かなしい?」「……かなしいよ、そりゃ。」「そんなんで泣いてんの、〇〇らしくないな、」「なに、私らしくないって」「俺の知ってる〇〇は、好きな男に振られただけで泣くような子ちゃうもん、」
今会って面と向かって話すのは何かと違うと思った。顔を見て話し合うとか俺ららしくないしな。そりゃあ、こういう関係やし、傷ついた〇〇とちゅーしたいなって思うし、セックスだってしたいって思う。やけど、受話器越しに聞こえる〇〇の声が、あいつの名前を呼ぶときの声に似ている気がして、会いたくなかった。
体の関係のくせに、引っ張ったらすぐちぎれそうな関係のくせに、俺は〇〇のことが好きで、こんなに愛しいって思うから。『そんなに泣くなら俺にしたらいいのに。』思わず滑った口をすばやく手で塞いだ。
でも、
「そんなかんたんに、ドラマみたいなこと言わないでよ。和也らしくないじゃん」
ぐす、と鼻を啜る〇〇が無理やり口角を上げて笑う顔が見えた。俺のほうが〇〇のことを知っている気がしていた。
「そう、……よな。たしかに、
俺、〇〇の誕生日も知らへんわ。」
俺の耳元で泣きやまない〇〇はきっと丈くんと行ったイルミネーションデートのことを忘れないでいて、俺がした告白混じりの今のセリフは朝になったら忘れてしまうのだろう。“俺達”に約束のある次なんてない。勢い良く切ってごめんな。びっくりした?
俺から無理やり切ったのに、俺はまだ、〇〇の喘ぎ声と『和也』と呼ぶ甘い声が忘れられへん。
(こわしてしまっ、た。)
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雪の名(仮名)ohsくん
初公開日: 2021年01月05日
最終更新日: 2021年01月05日
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報われないせふれのおおはしくん
にしはたくん
にしはたくんの死ねた書く・・・ファンタジー強めな予定
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mskdくん
企画のmskdくん書いてく……相変わらず口と手を同時に動かせないのろまなので見守ってほしい〜
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企画のsezwくんを書く
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