メモ
カレンダーに三回忌
図書館・夕方
誰もいない図書館で一人東は本を読んでいる。
教室
小声で話している。
クラスメイト1「ああいう感じは向いてないっていうか」
クラスメイト2「誰が話すのあいつと」
東、何も言わずにいまだ本を読み続ける。
羽垣、その様子を外から見ている。
三隅「なんか嫌な感じ。どんな人でも誰かの悪口言ってたら、途端に嫌いになるわ、私」
羽垣「そういうとこいいよね、三隅。ズバッと考えれてさ。私は無理。なんかずっと思い出して、あーあの時どう言えばよかったのかなってさあ」
三隅「」
→行為でかくか
図書館
図書館の隅の方で、羽垣(はがき)が何かを見つめている。
チャイムがなる。
教室・放課後
生徒のほとんどが部活動などへ行っていていない中、羽垣と三隅だけが残って、机を合わせて話し合っている。
三隅「昨日も、先生に居残り食らっちゃってさ〜」
羽垣「…(遠い場所をずっと見つめているような顔)」
三隅「…羽垣、調子でも悪いの?」
羽垣「風邪でも引いたのかな」
↑恋する理由が必要
東「羽垣さん、本読むんだ」
羽垣「(少し笑いながら)え、失礼じゃない?」
東「いや、そういう意味じゃなくて、そういうイメージないから」
教室
羽垣「…その人をずっと好きでいてくれたら、それでいいかな」
バッグに付いたキーホルダー。本に差し込まれたブックイヤー。
ここに何か印象的なM
羽垣M「どうかずっと、覚えていてくれるように」
事務所
有希、資料をまとめるためにパソコンを開いている。
周りでは、パソコンのタイピング音が響いている。各々がそれぞれの企画や業務をこなしている。
メールフォームに寄せられたメールの一つには、『ずっと好きだったあの人が…』と書かれていたのを見て、手を止める。ため息をつく。
時計を確認して、荷物をまとめてその場から立ち去ろうとすると、向いから祐(40)がやってくる。
祐「有希、現場か」
有希「(頭を下げる)はい」
祐「粗相の無いようにな。芸術家は大変だ」
もう一度頭を下げると、有希は廊下を歩いていく。『○○ライター事務所』という看板が小さく飾られた玄関を出ると、(冬?夏?)手を縮こませながら歩く。
ここらへんで、有希がオフィシャルライターだという説明&もう少しライターに関して具体の仕事を
事務所
部長M「ライター足るもの、どんなものからでも言葉を摂取しとかにゃならん」
有希M「文字を扱う仕事として、僕らはこれを欠かさない」
有希を含めた事務所の人間が、みんなで輪を囲って小説、ライトノベル、辞書、パンフレットなどそれぞれで開いて読んで勉強している。
電車・中
有希、電車に揺られながら若者向け雑誌を読んでいる。首を傾げる。
美術館
一つの小さな部屋に、数人の関係者が集まっている。有希が部屋に入り会釈する。
ホワイトボードには『立元イラストレーション個展』と書かれている。
しばらくして全員が揃うと、担当学芸員が話始める。
大塚「それでは早速今回の個展について、本日、立元先生は御用事でいらっしゃいませんが、個展の内容を詰められたらと思います。なにぶん、うちは小さな美術館で狭い場所ではありますが、本日はよろしくお願い致します。企画担当の大塚と申します。(全員頭下げる)今回はイラストレーターの立元さんの個展を企画してまして……」
有希、机上の資料に目を向けると、しばらくじっと見つめてしまう。説明が耳に入らないほどで、驚いたような様子。
大塚「…有希さん、どうかなさいましたか」
有希「いえ…(小さな声)」
大塚「今回有希さんには、パンフレットの執筆や作品説明の構成をお任せしています。大変若いのに真面目で、お持ちの語彙も素晴らしいと聞きました。今回の個展の話を館長に話たら、オフィシャルライターは有希に任せたほうがいいと直々におっしゃってくださったんですよ」
関係者たち、柔らかな雰囲気で喜んでいる。その中で、有希は一人佇みながら、窓から外を見つめている。
有希M「ずっと、覚えてしまっているな」
車内・昼
有希、車を運転している。
有希実家・内・夕方
「妹さんも、ずいぶん大きなりましたな」
二人、頭を下げる。
朱音家・中・深夜
有希「明日には仕事で帰らなくちゃいけないし」
朱音「ゆっくりしていきゃええんに。だからモテないんよ」
有希「関係無いだろ」
朱音、荷物を持って玄関を開ける。
朱音「ほんじゃ」
有希「夜勤気を付けろよ」
なくしものを買いに→出会う。
図書館
羽垣、本を手にとってめくる。それらを机の上において、また読み漁る。横にノートを置き、何かを書いている。
夕日が差し込んできたあたりで、図書館にやってきた東に声をかけられる。
東「すごい本の量」
羽垣「あっ、いやこれは、なんでも無いよ(とっさにノートを隠す)」
東「ケータイ小説(を手に取る)」
羽垣「…東君は、そういうの、読まない?嫌い?」
東「読まないけど…きっとみんな、好きだから読んでるんだよね。なら、いいことなんだろうね」
東、本を数ページめくる。
朱音家・朝
羽垣、目が覚めるとベッドに横になっている。有希はソファで寝ている。
羽垣「有希は知らないかもね。この子は新野羽垣ちゃん」
有希、何かに気づいたように顔を上げる。
有希「えっ、もしかして叔父さんの?」
羽垣「」
朱音「全く。これだから童貞は怖いわ」
有希「違うって言ってるだろ。昨日、倒れちゃったんだって彼女が」
羽垣「あの、さっきは変な誤解してすいません」
有希「いえ……」
朱音「その目、やらしいことでも期待してたんでしょ」
有希「してないから!(羽垣の方を向いて)してませんよ!?」
朱音「どうして倒れちゃったんですか?」
羽垣、ハッとして、小説を探す。
有希「これ?」
羽垣「あっ…」
有希、手元に一つの書籍がある。
有希、途端に仕事のことを思い出す。
羽垣「ありがとうございます」
そこへ汗を垂らしながら叔父がやってくる。
羽垣「嫌。私やるって言ったらやりたい。お父さんお願い」
叔父「いい加減にしたらどうだ」
朱音「(ニヤリと笑って)ここに言葉のプロフェッショナルならいるけどね」
二人、狐に摘まれたようにぽかんと有希の方を見る。髪の毛をかく有希。
公園
羽垣「プロフェッショナルって言っても、そんな小説とか」
羽垣「お兄さん。もし手伝ってくれたら」
有希「な、なんだよ」
羽垣「」
有希「恋愛とか苦手だし。しても、成功するビジョンが見えないっていうか」
有希「…わかった。やるよ。叔父さんにも釘刺されちゃったし」
羽垣「やった! さすがおじさん」
有希「おじさんじゃ無い、まだ20代!」
事務所
相生「映画のパンフって言っても、」
相生「隠し子!?(隠し子じゃない!)有希が子供を連れてきやがった」
綿毛「ハァーそんなわけないでしょ。あの陰な奴が子供なんて…子供!?」
有希が事情を話した後。ソファに羽垣を座らせて相生たち向かい合う。相生はコーヒー(ミルク入り)を淹れて羽垣に出す。
相生「はー、なるほどね。好きな人のためにそこまでするのか、最近の子は」
綿毛「」
有希「結構特殊なタイプだと思うけどね(羽垣を指差しながら)」
羽垣「特殊って言わないでください!」
相生が手を叩いて笑う。
相生「ごめんごめん。こいつ(有希)、真面目なくせして結構冷たいところあるからさ」
相生「それだと、」
羽垣「明日休みなんで、大丈夫です!」
有希家・夜
狭いアパートの一室。原稿や本が山積みになっていて、ペンも散乱している。
有希、叔父に電話をして、もう一日東京に滞在する日付を伸ばすことを伝える。
机に向かって原稿を進めている有希だが、不意に羽垣の好きな相手のことを思い出す。頭の中に、「」と文字が浮かび上がる。
有希「それなら…」
パソコンを開き、高村光太郎の智恵子抄やなどを開いて読み始める。しばらくすると夜が吹けており、有希が時計に目をやると既に夜中の1時を回っている。
有希「だめだ、原稿原稿」
羽垣「これにします。これで、伝えます」
学校・夕方・図書館
東「珍しいね、羽垣さんから呼び出されるなんて」
羽垣「いっつもここにいるもんね」
雨音が聞こえなくなる。羽垣の耳は赤い。
東「……それ、どういう意味?」
羽垣「えっ?(キョトンとした顔)」
東「あはは。それでわざわざ、素敵な言葉を選んでくれたんだ」
羽垣「そうだよ。だって東君、いろんなこと知ってるから、私の曖昧な言葉じゃ、気持ち、伝えられないと思ったから」
東「でも、羽垣の言葉で伝えてくれても全然嬉しかったよ」
相生「」
有希「大丈夫だよ、あのこだったらきっと」
相生「そうだな」
有希M「それに、僕は噂を聞いたんだ」