一緒に炬燵に入ってアイスを食べている
「……部屋の雰囲気が変わった、か?」
初めは勉強を教えて貰ってたのが、特別な理由を作らないでうちに上げることも多くなって
ようやく気張らないで寛いでくれるようになった鬼道が、俺の部屋に入るなり少し不思議そうな顔をしてる
「?……あー。ほら、もうずいぶん寒くなってきただろ?俺の部屋だとストーブ置いても狭くて暑くなりすぎちゃうからコタツ置いて貰ってるんだよ」
「!、コタツか……」
「って言っても布団取ったら同じちゃぶ台なんだけどさ、普段裏まで見ないからヒーター付いてるの気付かなかっただろ?」
「ああ」
俺の声が聞こえてるやら聞こえてないやら。そわそわと布団をめくって、相変わらず行儀良く正座で。いや足伸ばさないと意味がないと思うんだけどな
どう見ても使い慣れてない様子に、
鬼道の部屋を思い出してみる。うん、あの部屋には似合わないもんな。コタツが相当珍しいのかもしんない
「……聞いていたほどそんなに温かくは無いものだな」
「当たり前じゃん、まだスイッチ入れてないもん」
「そうなのか」
「ちょっと待ってよ、一度入ったら出たくなくなるから先に色々用意しないと」
「何か手伝うことはあるか?」
「いーや、大丈夫!」
台所に降りてペットボトルのお茶とコップを持って上がる
お菓子は帰り道で駄菓子屋に寄って来たから足りるだろうし、あとは特に何もいらないかな
「お待たせー」
「……円堂、これは、ダメだな」
「?、どうしたんだ鬼道?」
「まだスイッチを入れていないと言うのに、俺の体温で暖まった布団がずいぶんと心地良い。……これがさらに温まるのは非常に良くない気配がする」
真顔で訴える鬼道の足が正座からあぐらに変わってて、ああうん気に入ってもらえたみたいで良かった
「どう良くないんだよ?」
「もう既に出たくないな」
あれ、俺の部屋そんなに寒かったっけか。だとしたらあんまり待たせるのも悪い気がしてスイッチを入れて俺もコタツに潜り込む
「あ、わ、もう少し温かいじゃん。そんなに体温高いんだ」
「どうなんだろうな、平熱だとは思うんだが……比較してみたことはない」
「ふーん?」
ちょっといたずらしてみたくなって、向かいから隣に座り直して鬼道の首筋に触ってみる
「?!っ、何す、冷たっ」
「こんなに体温高いなら、コタツ温まるまで鬼道が俺のこと暖めてよ」
「……お前、俺が何をしに来たのか忘れたとは言わせないぞ」
「あ、や、ごめんなさい」
今日返された小テストの結果がとても良くはなくて、再テスト次第では補習を組まれてしまいそうで
練習の時間が少なくなるのは避けたくて、どうにか頼み込んで鬼道に勉強を教わるために呼んだんだったそうだった
「でさ、もうこれどこがどうわからないのかさえもわかんないんだよな」
「……お前、少なくとも授業中寝るなとあれほど」
「わーっ、ごめん!!」
サッカーの練習以上にものすごくスパルタで容赦ないんだけど、それでも必ず見放さないで最後まで付き合ってくれるんだから鬼道は本当に優しい
「……ようやく終わっ、た?」
「とりあえずはな。あとは同じ形式で解答してみて成果を確認して仕上げだな」
そう言いながら手書きのテスト用紙が差し出されて、こんなのいつの間に用意してたんだろ
「あ、その前に俺ちょっとトイレ」
「そうか」
寒くて出たくなくてどうしても我慢はするんだけど、その寒さのせいでトイレが近くなるのは絶対理不尽なんだよな
一階まで降りたついでにちょっと冷蔵庫あさって、あ、いーものみっけた
「鬼道っ、アイス食べようぜ!」
「?!この寒いのに正気か??」
「コタツで暖まりながら食べるのおいしーんだって。ほら、チョコで良かったよな?」
「あ、ああ……」
信じられないものを見る目で見られながらアイスを一口、口に運ぶ。冷たいんだけどその冷たさが気持ちいっていうか
俺が食べるのをじっと見ていた鬼道もようやく恐る恐る食べ始めて
「……、ああ、なるほど……」
「悪くないだろ?」
「そうだな、だが2人で1つ食べるくらいが丁度良いんじゃないか?これだと芯まで冷やしてしまうぞ」
「んなことないって!」
……って言ったそのときはほんとに何ともなく食べきれるつもりでいたんだけど
「……」
「急いで食べ過ぎたんじゃないのか、いわんこっちゃない」
ちびちび食べ進めてまだ半分アイスを残してる鬼道がすごく深くため息をつく
「俺も少し冷えてしまってはいるが、気休めにはなるんじゃないか」
「!」
さっきは嫌がったのに自分から俺の手を取って首筋にあててくれて
指先からじんわり熱が血が通う感覚と一緒に少しずつ体の内側から熱が灯る感じがする
「……これじゃあお前が冷えちゃうだろ」
「そうだな」
じゃあ、どうする?って言葉にならずに目線だけで語りかけられて、心臓が跳ねた
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今日の円鬼(11/19)
初公開日: 2020年11月20日
最終更新日: 2020年11月20日
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