「演習でひとめ見て、一目惚れしたのだ! 俺と夫婦になってくれぬか!」
僕の目の前。
触ったらとっても気持ちよさそうな、ふわふわとした生まれたての小さなパヤパヤが風に靡いている。ふわふわでふさふさ……。かわいいパヤパヤ。
……ううん、今はそんな場合ではなかった。現状、告白よりも目の前でそよそよ風に靡く、愛らしいパヤパヤに何だか気がいってしまい、目の前の子が何を言っているのか僕の思考力が悲しいほど動いていなかった。
「……めおと?」
足りない思考力を動かし、普段聴き慣れぬ言葉に僕は思わず聞き返す。
「主、めおと、というのは夫婦って意味だよ。しかしまあ、いきなりすごいことを言う弟が来たものだね」
近侍の髭切が、僕の横でニコニコ微笑みながら優しく言葉の意味を噛み砕いて教えてくれた。
思わず、僕の口が言葉を声に出して復唱してしまう。
「……めおと」
「そうだ、俺と夫婦になってくれ!」
言葉を聞いて、ぱあっと純粋な瞳で見つめられ、明るくなる顔に僕は思わず何とも言えない気持ちになってしまう。
来年中学生である僕が審神者と言う政府のお仕事に就いて、二年目。
まさか丸くてふわふわの綿がたくさん詰まった愛らしい顔のもちもち付喪神の子が、小さな風呂敷を首に巻いて現れ、まだまだ審神者駆け出しの僕に家族になってくれと言ってくるとは思わなかった。
しかも、もちもちの膝丸だ。うちには膝丸がいないと言えど、演練先や政府会議の時に見る他本丸の膝丸はキリッとして硬派なイメージがある。が、このもちもちの膝丸の第一声は一目惚れをしたから夫婦になってくれ、と言う。訳がわからない。
もしかしたら、膝丸は意外に軟派な付喪神なのかもしれない……?
僕が思い切ってもちもちの膝丸に両手を差し出すと、膝丸はその丸いフォルムを僕の掌に乗せて、顔を上げた。
「……ねえ、君の審神者さん、心配してるんじゃない?」
思わず、このもち主さんのことが頭によぎり、こもちひざ
……こんな愛らしい子を一人でお出かけさせないはずでは?
僕の手にすっぽり収まりそうな顔は、ちょこんと申し訳程度の口元も合い余って幾分幼げに見える。
思わず問い掛けた僕の言葉に目を丸くしたかと思うとふわふわの胸を張り、誇らしげに口を開く。
「いや、知っているが⁉︎」
「えっ⁉︎」
*
「君のそばは、澄んだ霊力に満ちているな」
「そう?」
っz