「名前」
「ちょっと待って欲しい」
「冨岡!」
「冨岡ぁ〜?」
「と〜みおっか!」
「と、み、おか……!」
「……」
義勇は待ち合わせの茶屋の中で思い返していた。
……どうして村田は自分のことを名前で呼んでくれないのだろうか。そうだ、なぜだ。一度も名前で呼ばれたことはない。記憶の限り。
「冨岡ー」
ほら、今日も俺を名前で呼んでくれない。炭治郎のことは名前で呼ぶのに。
「冨岡!」
というかその前に俺が村田の名前を呼ぶべきか?
「とーみーおーかー?!」
でも村田は他人に名前で呼ばせていない。名前で呼ばれるのが嫌いなのかもしれない。
「……義勇っ!」
それを聞いた義勇は、目をこれでもかとかっぴろげ、口も顎が外れそうなほどに大きく開けて微動だにしなくなった。
「……なんだよ。そんなに嫌ならもう呼んでやらねーよ」
「嫌なわけないだろう!」
ばっと勢いよく立ち上がり村田の肩を掴む。先程まで頬を赤くしながらぷくーっと膨れ、目をそらしていた村田は驚いて、手に持っていた紙袋を取り落としそうになっていた。
「そ、そっか」
「そうだ!」
こくこくと首がもげる勢いで頷く義勇。
「じゃあ、なんで俺の名前呼んでくれねーの」
「……呼ばれるのは、嫌いなのだろう」
しょんぼりと俯く義勇に、まだふくらませていた村田の頬も空気が抜けたようにぷしゅうっとしぼむ。
「それは……」
何かを言いかけてごにょごにょと言い淀む村田に、目で「早く」と訴える義勇。相変わらずの行動に村田は、折れた……と溜息をつき、今度は耳まで真っ赤にして答える。
「はず、かしいから……」
ぱちぱちと瞬きだけする義勇に、なんだかいたたまれなくなり、顔を手で覆ってしまう。それに義勇は、ついに我慢が出来なくなってしまい、ぽつりと一言こぼしてしまった。
「……村田、抱きしめてもいいか」
「……あとで」
もちろん移動なんかしていないから、茶屋の中でそんなことをしていたわけで、看板娘から冷やかしをうける羽目になる二人だった。
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まみ
えっ?村田さん義勇さんのこと名前で呼んでないよね……?呼んでない世界線ってことで……
52:33
まみ
……終わりかな〜
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ぎゆむらワンライ
初公開日: 2020年10月10日
最終更新日: 2020年10月10日
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60分一本勝負