二宮先生視点
「せんせ、今日は」
『ん?』
「お仕事、終わるの遅い?」
『...あぁ、なぁに、さっきのじゃ足りなかった?』
そりゃあ手加減しましたからネ、場所が場所だし。
おかげでこっちは全然足りてないよ、いやーまだ若いなと自分でも思う。
乱れた制服を整えて、少し皮が剥がれている古びたソファに座りなおす彼女の顔は少し寂しそうだ。柔らかな、光に当たるとすこし茶色くなるその髪の毛の先を指でくるくると弄びながら首を傾げる。
素直じゃない彼女はどうせ頷かずに憎まれ口を叩くのが精一杯でしょ、分かってるよ分かってますから
「...し、...たから」
『え?ごめん、聞こえなかったなぁに』
「......やっぱりなんでもない」
どうやら憎まれ口、ではないらしい。
『何よ、気になるから言って。ここですんのやっぱやめた方が良かった?ごめん、止まんなくて』
「だからっ、そうじゃなくて!」
『なに、じゃあここでしたかったの?』
「そっ...ういうわけじゃない、けど、」
なんなのよ、たまにめんどくさいんだよな、かわいいから全然いいんだけど。
ふぅ、とため息をつきながら俯き見えない顔を覗くように足元に膝をついた。
『え、なんでそんな赤い顔してんの、なに』
「だ、だから!もういいって!忘れてください!」
『いや言い逃げはナシ、ちゃんと言いなさい』
言うこと聞けないの、と逃げようとする手を掴むとしぶしぶとまたソファに腰を下ろした。
そーですよ、職権乱用ですよ、じゃないとあなた言うこと聞かないでしょ
『で、なに』
「いや、あの、そんなたいしたことではなくて、」
『その前にごめん、吸っていい?』
「は、...あぁ、煙草。好きですねぇ、ほんと」
少し羨ましそうに煙草の先を眺めるその視線を小さく睨みながら窓際で火を付けた。
紫煙は秋の風に揺らいで遠くに飛んでいく。それを目で追いながら彼女は呟いた。
「先生は、本当に優しいですね」
『...なに、そんなこと言いたかったの?』
「違いますけど、私が話しやすいようにしてくれたでしょ、わざと」
『何が』
「離れてあげた方が話しやすいかなー、とか思ったんでしょ」
『......あのさぁ、そういうの気づいちゃっても言っちゃだめよ』
気まずくなって口から煙草を離し灰を落とそうとした。
その時背中に、ぎゅう、と抱きついてきたものだから、その反動で袖の中に灰が落ちそうになる。
『っぶな...!おま、いきなり危ないって、なによもう』
「...先生の顔、見たかった、んです」
『なに、いつ。今見てんじゃん』
「そうじゃなくて!...さ、最中、に」
もうわかったでしょ、って真っ赤な顔しておっきなおめめで見上げてくるけどわかんないよ、何を言ってるのこの子は。
とりあえず彼女の方を向いて抱きしめながら首を大きく傾げてみせた。
「...だから!シてるとき!後ろ向きだったから!顔見れなくて!やだったの!」
『.......は、何それ』
「...いつも、終わるときぎゅーってできる、のに、それもできなかったし、だから...」
『寂しかったの?』
こくん、と頷く。そのまま、埋もれちゃうんじゃないってくらいぐりぐりとおでこを擦り付けながら胸の中に顔を埋めた。
『それさぁ、俺都合のいいように取っちゃうけど』
「...いいですよ」
『学校終わったら家連れて帰ってぎゅーしながらシて、そのあと一緒にお風呂入ってその気があったらもう一回シて、っていーの?』
「え、おまけ付けすぎじゃありません?」
『あんなかわいいこと言っといてこれ以下はありえないでしょ、てかおまけじゃないし』
疲れちゃうからヤダ、なんてそんな顔で言われても説得力ないよ。
『さっきは声我慢しなきゃいけなかったから、うちでは、ね?』
「知りません、出しません」
『いれたらすぐ我慢できなくなっちゃうくせに何言ってんのよ』
「な、な、!違うもん!」
『気づいてなかった?さっきも我慢できてなかったよ、気持ちいもんね、それは仕方ない』
先生なんて嫌い!だってさ。
あーほんとにかわいくて参っちゃうな。
俺は好きだよ、あなたのそういうとこ全部。
加筆修正後、掲載します~。
ご視聴?ありがとうございました~~!