通勤経路に長い橋がある。
夜勤の出勤時この季節、河口に沈みゆく夕陽が見える。
流れの先の市街地、並ぶビルの影、煙突から煙を吐く工場、並んで、蜜のように滲む夕陽。そのバーミリオンは神さまの線香花火の穂先から落ちる火球。この世のささやかな奇蹟だ。
赤信号で停車中の車窓から眺められたら、その日はラッキーデイ。きっといいことがある。深刻なトラブルなく夜明けを迎えることができる。はたして今日も、橋詰めの信号は赤になり私の車は橋の上に停まる。ああ。きれいな夕陽だ。
並んだ隣の車線の若い男性と助手席のチャイルドシートの男の子も、こちらに後頭部を見せ、夕陽を見ているようだった。
みんなみんな、いいことがありますように。