火葬場・待合ロビーにて
   (ローテーブルを挟み、二人掛けのソファに向かい合って座る男四人。)
尾 形 それで、結局のところ死因は何だったんだ?
宇佐美 心筋梗塞。
尾 形 ……本当は?
宇佐美 無理心中。
月 島 あの人を刺した男、俺が全然知らない相手でした……。鯉登さんはご存知でしたか?
鯉 登 いいや。そもそも、あの方のすべてを理解するなど不可能だろう。それより、許せんのは相手の男の方だ。叩き斬ってやる。
宇佐美 その男、もう死んでますよ。
鯉 登 うるさい! だいたい貴様、葬儀の最中に何度も手洗いに行っていたな。不謹慎な奴め、何のつもりだ!
宇佐美 いや〜、あの人との思い出を振り返ってたら、いろいろと催しちゃって。
尾 形 ……おっ、きたきた(ウェイターが運んできた海鮮ピラフを受け入れとりながら)
宇佐美 は? こいつ、マジでありえないんですけど。
尾 形 (宇佐美の言葉を無視し、おしぼりで手を拭いている)
鯉 登 それはそうと、このあとまた葬儀場に戻って初七日を行なうのだろう? 道中で骨箱をお抱えする人選だが、
宇佐美 もちろん僕でしょ。
月 島 俺がやります。
鯉 登 私に任せておけ。
宇佐美 は? あの人とは僕が一番お付き合いが長いんですよ。その点でいうと、鯉登さんは論外。
鯉 登 ふざけるな。過ごした時間の長さと愛の深さは必ずしも比例しない。私が適任だ。
月 島 俺は……俺は、あの人に筆記体の読み方を教えてもらいました。
宇佐美 ていうか、僕はあの人の骨を持ち帰る用の空パケまで用意してるんですよ。(手のひらサイズのジッパー付ポリ袋を見せつける)はっきり言って、気合いの入り方が違います。
鯉 登 ウッ……
月 島 俺は……ハガキに住所と名前を書く位置とかも……教えてもらいました。
尾 形 なあ。盛り上がってるとこ悪いが、
   (ようやく口を開いた尾形に目をやり、次の言葉を待つ鯉登・月島・宇佐美)
尾 形 そんなの、この火葬場まで空の骨壷持ってきた喪主の役目に決まってんだろ。
   (離れた席に座るフィーナとオリガを見て、黙り込む面々)
尾 形 ハハッ。あんたら、傑作ですな。
─ ご愁傷様でした ─
令和二年八月二十三日
まともがわからない
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【無配用】愛です4人衆がつるみの火葬を斎場ロビーで待つ小話
初公開日: 2020年08月15日
最終更新日: 2020年08月15日
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8割できてる文章の仕上げと、折本にするための調整を行ないます。