とある山中、大木の枝に腰をかけた少女はふらふらと足を揺らす。
出かけてしまった二人の帰りを待っていたが、待ち草臥れてしまった。
「……あっ!」
木々の向こうに見えた姿にピョコンと耳が跳ねる。
枝から飛び降りて少女は真っ直ぐ駆け寄った。
「おかえりなさい! ノスリ!」
「……ニタイか」
「……?」
いつもと違って歯切れの悪い返答に少女は首を傾げる。
ノスリは一つため息をついて後ろを指さした。
「……オウギから話をを聞いておいてくれ。私は少し休んでくる」
「うん……?」
また大きく溜息をついて、ニタイの横を通り過ぎていく。
その後ろ姿を見送ってから立ち止まっていたもう一人、オウギを振り返ればいつもと変わらぬ笑みを浮かべていた。
「何があったの?」
「順に説明しましょうか」
「右近衛大将、オシュトル……?」
「ええ、帝の信頼厚いヤマトの双璧、その一人です」
「その人からの依頼、を受けたんだよね。どんなの……?」