夜の風が頬を撫でる。既に季節は初夏に入っているというのに、太陽が沈み切ったこの世界では涼しさを感じて千紘は息を吐いた。足を止めて、きらきらと瞬く星空を見上げると、隣の蛍がどうしたの?と首を傾げた。
「いや、何でもない」
視線を戻すと蛍の後を追う。
「月が、綺麗だな」
「そうだね」
「どこに行くんだ?」
「内緒」
打っても響かない応えに千紘は考えることをあきらめて足を進める。目の前を歩く蛍が何を考えているのかはわからないけれど、今の蛍をこのまま放っておいてはいけないと思った。
「6月の満月ってストロベリームーンっていうんだっけ?」
「辺見くんに聞いたの?」
「ああ」
会話が、途切れる。別にお互い会話がない空気が嫌なタチではないからいいのだけど、何とも言えないこの空気に千紘はどうしていいかわからずに眉を下げた。
「あ、ついた」
何か声をかけるべきかと考えているうちに、目的地に着いたらしい。蛍が指している建物を見る。
「古い、教会か?」
「うん、前に見つけたんだ」
「ここに来たかったのか?」
「ここなら、いいかなって思って」
「何が?」
だから、と続いた蛍の言葉に千紘はきょとんと瞬きをした。
「え?」
「聞こえなかったの?だから、結婚式するのに」
「結婚式って誰と誰のだ?」
「そんなの、俺と千紘にきまってるでしょ」
そんなの、聞いてない。なんて言葉は出なかった。嬉しさと混乱が一気に押し寄せてきて千紘は思わずその場にうずくまる。
「どうしたんだよ、突然」
火照る頬を覆いながらそう尋ねると、蛍は「千紘がしたそうだったから」と応える。
「そんなこと一言も言ってないのに」
一生の愛を誓うという結婚に憧れを抱いていないかといえばうそになる。けれど、基本的には男女で行われるそれを自分が行うなんて夢にも思っていなかった。そ
「いや、ごめん。俺がしたかったんだ」
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じゅんぶら企画
初公開日: 2020年06月07日
最終更新日: 2020年06月06日
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じゅんぶら企画のほちです
最初の方はWordで書いてたのを張り付けてます
遅筆、誤字脱字多いのは仕様です……
最後の方メンテで切れちゃいました💦
雑談です
主はtxt live初心者です
チャット
Akimizu6468
初めてのテスト配信兼自己紹介
テストなので機能確認がメインです。 自己紹介もしてます
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星のねこ