警察の追跡を恐れてに逃げ出しただけなのか。
何年か前、正月に集まった親戚の人達と酒を飲みながら話してた時、ぼっけえさん、という妖怪の話が出た。
ぼっけえさんというのはこの土地に古くから言い伝えられてる妖怪で、死人が出るとその家に来て遺体の頭を半分齧り取ってゆくんだ。半分というのはつまり、脳みそが収まってる部分ね。何故「ぼっけえ」という名前がついているのか分からないけれど、姿を見た人の話だと、ある時は日本猿くらいの大きさとか、ある時はネズミみたいなのが何匹も、とか、ある時は大人の男のようなもの、という具合で、姿形が定まらない。ただ共通しているのは、ぼっけいさんは体が真っ黒な毛に覆われていて、前と後ろに口が二つあるってこと。そう、口が二つあるんだ。これって他の怪談話に出て来るような幽霊や妖怪とはちょっと違うなって、子供の頃に婆ちゃんからその話聞いた時にさ、そんな風に思った。