共に行動してみるという話
なお、大祭の間であっても『スポット』毎の時間制限というのは変わらないらしい。
「マスター! 残り時間10分切ったわよ!」
「「んなにぃ!?」」
スピカの一喝(どうやら残り時間が分かるスキルがあるらしい)によって慌てるマスター×2。周囲? 飲み会してた脳筋組は一緒に慌てていたよ。まぁこちら(魔法・遠距離組)で最低限の準備はしていたので、忘れ物等は(私物を除いて)無い筈だ。
なお、『アースハンマー』とはしばらく一緒に行動することになるようだ。「おたから箱」の回収はどうなるのかと思ったら、それは戦闘への貢献値的なもので自動配分されるようだ。モメなくていい事だな。
あぁそうだ、『アースハンマー』の「おたから箱」は予想通りというか、安牌と言うか、シルマリーさんが持っているらしい。狙わんけどっていうか何処に持ってるのか分からんけど。
「なるほど、パチンコっすかー。それはそれでアリっすねー」
「そちらも、驚いた。ドロップ品にはそういう使い方もあったのか」
「対応するスキルが無いと、成功率はお察しってやつっすけどねー」
戦い方としては、シルマリーさんが格好に合わせてか白い杖に魔石を食わせて魔法を放つ正統な魔法使い。コバルティさんも格好に合わせてか青みがかったステッキに魔石を食わせて補助魔法を使う。
ダイヤさんはどうやらあのスーツに使われている銀板一枚一枚が独立した媒体になっているようで、時々シルマリーさんから魔石を貰って食わせているところしか見ていない。……何となく、大技かな、とは思っているが。
で、何故か近くに来て興味津々で話をしているトルマリルさんはというと、まぁ、こちらも格好を見て分かる通り、アイテム消費型だった。ポーションとか爆弾とかを投げて戦うやり方だな。
「いや色々考えたんすけどねー。結局、『投擲』スキルと『命中強化』スキルを取ってからのグローブ装備が一番命中率も効果の増幅率も高かったんすー。なんで、このスタイルっすねー」
と言いつつ瓶のコルク栓に付いた短い導火線に火をつけて、最前線の更に向こうへと見事な投球フォームでぶん投げた。ちゅどーん、という音がして、正面に見えていた、粗雑な造りの砦に大穴が開く。
それに推定ゴブリンが浮足立っている間に、砦の上で右往左往していた弓持ちゴブリンをビーズの魔法弾で叩き落とした。邪魔が無くなった所で、2ギルドのマスター達を戦闘に前線組がなだれ込む。
なるほど。しかし、そういうの……爆薬とか毒とか、そういうポーションを撃つのもありだろうか? 弾種に多様性が出るな。今以上に残弾管理が大変な事になりそうだが。
「レシピは、基本的なのはスキルを取ったら頭に浮かぶようになるんすけどねー。色々細かくいじろうと思うと、まー試行錯誤しかないっすねー」
「だろうなぁ……。こちらも、基本的に撃ってみなければ効果は分からなかったし」
「そうそう手軽には強くなれないっすねー。それでいくと、体を鍛えて寄って殴るっていうのはあるいみシンプルイズザベストかもしれんっすねー」
「相性がハマればな。相手や状況によっては、それこそ一方的に殴られるリスクを許容するという事でもあるし」
「っすねー」
まぁこの大祭の間は無理だが、終わったら通常の『スポット』で採取ポイントとやらを探してみよう。どうせドロップ率が上がるからと全員習得してるんだ、その練習やスキル上げにもなるんだから断るまい。
「そうやって聞くと、ちょっと試してもらいたくなってきたっすねー?」
「いいのか?」
「ほら、ここで質のいいのを渡しておけば取引先になってくれるかもしれないっすしー。それにその、あーしも結構使うんすよ、宝石」
「なるほど……」
という訳で、宝石と交換でポーション瓶や小型爆弾を撃たせてもらえる事になった。一応前線には注意を促しておく。
新しい『スポット』に入って、うげぇ、とそこら中からうめき声が上がった。こちらとしては都合がいい。つまり、空が大きく開けた、断崖絶壁についた細い道をたどるような『スポット』だ。
「シューター! 先行頼む!」
「了解」
「シルマリー! こっちは後詰めと中間防御を任せた!」
「はぁい」
「あ、ブレイクさーん。あーしシューターさんと行動一緒にしていいっすかー?」
「何やらかす気だ!?」
……トルマリルさんや。今のブレイクさんの第一声についてちょっと詳しい事聞きたいんだが? 今まで何やらかしてきたんだあなた。