よく晴れた月曜日。ぽかぽかと暖かな光が窓から差し込んでくる。
新学期が始まり忙しい日々が続いていたが、1ヶ月ほどが経ちやっと日常に落ち着きが戻ってきた。今日は1.2限のみだったため早々と帰宅した。
数年前までは料理の「り」の字も知らないような腕前だったが凝ってみたら意外と面白く、今では趣味だと言えるほどである。といっても、もっぱらお菓子作りのことだ。
行動原理は恋人の喜ぶ顔がみたいから。幼なじみたちに「恋は人を変えるっていうものね」なんてからかわれたことも記憶に新しい。食事も多少はできるようになったものの、まだ大雑把な料理が作れる程度。
ここしばらくドタバタしていて、しっかりと時間空くことがなかったから久しぶりにお菓子作りに挑める時間ができた。そんなにたいそうなものを作るわけではないのが気合は充分。
まずはバターを常温にしておこうと冷蔵庫から取り出した。5月とはいえまだ涼しい。すぐには戻らないし、先に読書でもするか。
本棚から数冊見繕ってローテーブルへ置き、向かいのソファーへ腰掛けた。テーブルの上には恋人が朝に淹れてくれたコーヒーが注がれているポットが置かれている。中身をからのコップへと移し、柔らかなクッションに沈み込んだ。
「しんいち、かいと、朔おいでー」
少し声を張り呼びかけると軽やかな足音と共にふわふわな子たちのこちらへ駆けてきた。
「ぬ!」
「ぬ!!」
お呼びですか!と元気な声で返事が返さる。
向こうの大きな窓がある部屋で日向ぼっこをしていたのだろうか。2人と1匹を撫でるとぽかぽかと温かかった。軽く撫でた後はまとめて抱え上げて体の上へと乗せる。お腹からじんわりと温かさが伝わってきた。
仰向けの姿勢のまま文庫本を開き、活字の世界へと吸い込まれていった。
* * *
没頭して忘れてしまわないようにとかけておいたアラームの音で意識が浮上した。どうやら知らぬ間に寝入ってしまったようだ。うっかり熟睡していたようで家にもう1人の気配が増えたことにも気づかなかった。
お腹の上では小さなかたまりがスピスピと音を立てながら眠っている。
起こしてしまわないように腹筋を使って少し上半身を起こし、そっと持ち上げて部屋の隅にあるふかふかのベッドへ運んだ。
手を洗い、エプロンをつけると突然後ろから抱きつかれた。
「今日は何作ってくれんの?」
語尾にハートマークがついてきそうな声色である。もし犬のような耳や尻尾が付いていたら大きな耳をピンと立てて、尻尾はブンブンと大きく振られていることだろう。
「ナイショ。少ししたら手伝ってもらうからそれまで休んでてくれ」
ぽんぽんと頭を撫でて頰へキスをくれてやる。途端に、はい!と元気な声と嬉しそうな笑みと頰へのキスを返された。
笑顔のまま鼻歌交じりにキッチンを出て行った。
下書きできてるのがここまでなのでとりあえず🔚