TDDはなぜ解散したのか、という話。途中まで支部に上げてましたが、加筆修正しつつ続きを書いて本にしようとしてます。
新ディビどころかコミカライズの連載が始まる前に構想を練っていたものなので、原作と大いに矛盾があります。ご容赦ください。
最初から最後までTDDが仲良し。なんとも平和な世界です
飴村乱数は顔が広い。女尊男卑のこの世においても夜な夜な女を侍らすことなど容易くやってのけるし、仕事をする上で増えたネットワークは萬屋を経営する山田一郎を凌駕するほどだ。
それは中王区も例外ではなく、定期的に行われるラップバトルの際にはなにかと理由をつけてその中枢部に入り込んでいた。
「あ、やっと帰ってきた」
「おっせーぞ、乱数」
TDDで中王区に入る際も例外ではなく、乱数はたまに一人でとある人物に会っていた。
読んでいたラノベから顔を上げる一郎、煙草を咥えて眉間に皺を寄せる左馬刻、穏やかに微笑みを浮かべる寂雷。今日、乱数は大好きな彼らを待たせてまでも会わなくてはいけない人物がいた。
「ねぇ、みんな。落ち着いて聞いてくれる?」
「……どうしたんだい?」
乱数の顔色が優れないことに最初に気付いたのは、世界的名医でもある寂雷だった。
「いまね、無花果オネーさんに会ってきたんだけど」
「はっ、てめぇも節操ねーなー」
「左馬刻はちょっと黙ってて」
「あぁん?」
乱数はなにも彼女と甘い逢瀬を繰り広げてきたわけではない。
彼女に呼び出される時、乱数は大抵気分を害される。それでも彼女の呼び出しに応じるのは身の保身、ひいては愛すべき仲間のためだ。
「TDDは解散しなさい、だって」
「……は?」
無花果の用件は単純明快だった。
TDDはいますぐ解散すること。そしてそれぞれがリーダーとなり、新たなチームを結成すること。
「なんでだよ!?」
「そんなめちゃくちゃな命令聞けるか!」
一郎と左馬刻の声が見事に重なった。
「不仲からの対立。で、解散。そういう風に演じてほしいって。無花果オネーさんからの指示はそれだけ」
「演じるぅ? 俺たちをまたクソ女共の玩具にしようってのかよ!」
「左馬刻くん、落ち着いて」
燃えるように赤い瞳が更に熱を帯びる。
寂雷はその炎を落ち着けようと鋭く名前を口にした。左馬刻は不服そうな顔を崩さぬまま一歩だけ後ろに下がる。
「乱数くん、その話にはまだ続きがあるのだろう? 立ち話もなんだからとりあえず車に乗ろう」
今日は寂雷の運転で中王区に来ていた。四人は終始無言のまま彼の車に乗り込む。
助手席には乱数、後部座席には一郎と左馬刻。いつもと同じ座り方だ。
「で? とっとと続きっつーのを聞かせろや」
沈黙を破ったのは左馬刻だった。明らかに苛ついた声が急かすように尋ねてくる。
「まずね、もうすぐラップバトルの形式が変わるみたい。僕らに領土争いさせたいんだって」
「は? なんのゲームの話?」
乱数の話に食いついたのは一郎だった。
「ゲームじゃないよ、現実の話。これからは定期的にディビジョンごとに代表チームを送り出して中王区でラップバトルさせるんだって。それに勝った方が相手の領土を奪えるー、みたいな」
「……つまり、我々はその代表チームのリーダーになれと」
「そゆことー。寂雷、大正解!」
四人はチームを組んでいるものの、住んでいる場所はバラバラだ。
チームが解散するということは、それと同時に領土争いという名のラップバトルをする可能性のある相手になるということ。本当に不仲になったわけでもないのにそれはあまりにも酷なことだ。
「彼女たちの目的はなんなのだろう? 考えるべきではないのかな?」
「んー。なんかねぇ、そろそろ新しい刺激がほしいとは言ってたよ。僕らが強すぎて結果の見えてるラップバトルばっかりになっちゃっててつまんないって」
「めちゃくちゃすぎねぇ……?」
放心状態で呟いた一郎に左馬刻も同意した。
なにも最初から連勝続きだったわけではない。チームになり、絆を深め、練習を重ねたことでTDDの現在があるのだ。
それを「つまらない」と言われるとこちらの方が面白くない。簡単に勝てる相手ばかりではなかったのだから。
「でも中王区には逆らえないよ。まだ早い」
「早い、ということはいずれ逆らう予定だったということかな?」
「当然でしょお? 寂雷だってそのつもりだったくせに」
助手席の小さな悪魔がにこりと笑う。
寂雷は肯定も否定もしなかった。小さく首を傾げて笑顔を返す。
「俺、いやっすよ。あんたら以外とチーム組むなんて考えられねーし」
「同感だな。そう簡単に俺様に見合う奴がいるとも思えねぇ」
後部座席の二人が前のめりになって会話に入ってきた。
「そうなんだよねぇー。地元でめぼしいのがいなかったからこうして四人でチーム組んでるわけだしぃ」
「なぁ、俺たち四人で中王区に言いに行けばいいんじゃねーの? このままチームを続けさせてくれって!」
一郎はこのチームのことが好きだった。ずっと続いていくものだと思っていた。
この四人でなら世界を変えられる。何度も語り合った夢だ。
それなのに実際はどうだ。当事者の意思とは無関係の理由でチームが終わろうとしている。それは決して許されないことだ。
「ねぇ、みんな。四人なら無理だけど十二人いれば逆らっても勝てると思わない?」
「は?」
にっこり笑った乱数が後部座席の二人を見る。
きっと大丈夫だ。べつのチームになってしまっても、この四人はいずれいっしょに中王区へ挑むことになる。
「地元で他に二人集めてチームを組めって言われてるけど、他には特に条件はない。時間はあるみたいだし、僕らの足を引っ張らない程度のチームメイトを集めればいいじゃん?」
「足を引っ張らない程度の……」
各々の脳内で候補者が数人、浮かんでは消える。
いずれなんらかの形で合流することを考えればそんなにハードルが高い話ではないかもしれない。自分たちがリーダーとなれば地区予選で敗退する心配もないだろう。
「解散しよう。もっと強くなって……それぞれ仲間を引き連れて無花果オネーさんにお願いすればいいんじゃない?」
ラップバトルの勝敗を決めるのは中王区の女たちだ。ラップの良し悪しがきちんとわかっているとは到底思えない。
しかしTDDが最強なのは揺るぎようのない事実で、中王区の女たちの心を揺さぶる自信ももちろんある。
「僕たちを引き離したこと、後悔させてやろうよ」
「それまでは仲悪い振りしてろって?」
「そうそう。一郎はなんらかの因縁で左馬刻と敵対とかしてみる? 好きでしょー、そういうラノベ!」
「えっ、いやぁ……嫌いじゃねーな」
いつかまた四人が顔を合わせる日。その日がきっと逆襲の日となるだろう。
「揃うワンダース!」
四人では成し遂げられなかった野望を、彼女たちが仕組んだ十二人で現実へと。
TDDが解散する。そのニュースは瞬く間に日本中に広まった。
ラップが上手く、度胸があり、おまけに顔までいい。アイドルグループに向けるように黄色い声を上げていた女たちだけではなく、純粋に彼らのラップを愛した人々も深く悲しんだ。
「最後には相当拗れて解散したって聞いたぜ」
「まじかよ、あんなに仲良さそうだったのになぁ」
「やだー! 左馬刻様と一郎くんのコンビがもう拝めないなんてぇ!」
「乱数くんのヒプッター、最近あんまり寂雷さんのヘアアレンジの写真載せてないなぁとは思ってたけど……」
まさか解散するなんて。
この狂った世界を変えてくれるのではないかという希望を彼らに向けていた者たちは、心の中で絶望した。表立って政府に反抗するのは重罪なのだ。
「なぁ、兄ちゃん。このジャケットさー、左馬刻さんのじゃない?」
TDDが解散してからちょうど一ヶ月ほど経ったとある日曜日の昼下がり。掃除をしていた二郎は、クローゼットにかかっているジャケットを取り出してそばにいた兄に掲げてみせた。
「……左馬刻?」
季節の変わり目ということもあり、断捨離をしながら衣替えをしていた最中である。座り込んで服の整理をしていた一郎は、急に飛び出してきた名前を受けてオウム返しのように低い声で呟いた。
怒っている時でも滅多に聞かない声で、二郎はビクッと身体を震わせた。一郎がコレクションしているフィギュアの腕をうっかり折ってしまった時だってこんな恐ろしい声を聞いたことはない(その時は寧ろ泣きそうになっていた)。
「あ、いや、えっと……き、気のせいかな! こんなジャケットいらないよね、兄ちゃん!」
TDDが解散する前、一郎は何度も左馬刻をこの家に招いていた。逆に一郎が左馬刻の家に泊まりに行くこともあり、誰がどう見ても仲のいいチームメイトだったように思う。
しかしTDDは解散した。しかも、チームメンバーの不仲によって。
二郎は信じていなかった。左馬刻は自分や三郎にも良くしてくれた頼れる兄貴分の人のようで、一郎ともとても仲が良かったのだから。
確かに見た目は少しおっかないが、一郎と左馬刻が信頼しあっているのは明白だった。でなければ、息のぴったり合ったあんな熱いリリックを紡げるはずがない。
そんな二人の関係が急に変わった瞬間を、信じたくはないが二郎はよく知っていた。
一郎が左馬刻を家に呼ばなくなった。左馬刻の話をしなくなった。名前を出すと怖い顔をするようになった。
詳しい経緯は聞いていないし、聞いてはいけないような気がした。一郎たちだけではなく飴村乱数と神宮寺寂雷の関係も拗れての解散ということなので、大人の事情というものかもしれない。
「……」
そそくさとジャケットを仕舞い込む二郎を見て、一郎はいますぐ土下座したくなった。
乱数に言われるがまま「なんらかの因縁」があるかのように左馬刻との不仲を演じているが、「なんらかの因縁」を一郎は知らない。当然だ、そんなものはないのだから。
そんなわけで、不仲の原因を聞かれるとなにも答えられない。左馬刻と細かい打ち合わせをしていないので、もしも矛盾が生じてしまっては大変だ。
なにか聞かれたら顔が強張ってしまうし黙り込むしかなくなる。ノーコメントが許されない状況においてはそれっぽくなにかありそうな言葉を選んではいるが、近い内に左馬刻と口裏を合わせる必要があるかもしれない。
しかし、TDDは不仲により解散したということになっている。
地元のイケブクロを拠点に新しいチームを組むことにもなっていて、その通知が中王区から正式に届くのも時間の問題だろう。そうなってしまっては左馬刻と二人きりで会う機会を完全に失ってしまうし、もし実現しても誰かに見られでもしたら大変だ。
「……なんで不仲になったんだろうな、俺と左馬刻さん」
二郎が部屋を出ていき、一人残された一郎がぽつりと呟く。何度も考えてみたが、不仲になるような理由が見つからないのだ。
左馬刻はいまでも一郎にとって憧れの存在で、唯一無二の相棒だとも思っている。口は悪いが面倒見のいい人で、何度助けられたかわからない。
「ネットでも憶測でいろいろ言われてるしよぉ……。えげつねーって、サマトキサマのファン!」
あー! っと奇声を上げた一郎は、両手で自分の髪の毛を乱す。
一郎が左馬刻の女を寝取ったという書き込みを見た時は白目を剥いた。そんなダサい左馬刻さんは一郎にとっても解釈違いである。
「……もう無理」
一郎はスマホを手に立ち上がった。
「二郎、三郎! ちょっと出かけてくるな!」
家の中のどこかにいるだろう弟たちに声をかけて玄関へ向かう。
直接会うのが駄目でもせめて声を聞きたい。かと言って弟たちに聞かれるのもマズい。
家を出て、向かうはイケブクロ駅。雑踏の中に紛れてしまえば誰も一郎の声に気を止める者はいないだろう。
まだ通話履歴に残っている名前をタップする。きっちり三回コール音が鳴ったところで通話が繋がった。
『--もしもし?』
「左馬刻さん!」
電話の向こうの懐かしい声に頬が緩む。
こうして声を聞くのも解散した日が最後だ。イケブクロとヨコハマは近いようで遠い。
『おい、いまどこにいる? あんま俺様の名前を呼ぶなよ、怪しまれる』
「あっ……そ、そっすね。すんません」
雑踏の雰囲気が伝わったのか、声を顰めるようにと左馬刻に指摘される。
一郎は小さく深呼吸してから小さく左馬刻の名前を呼んだ。どうした、と応える左馬刻の声はもう既に優しい。
「口裏を合わせとかなきゃなんねーかなと思って。俺と左馬刻さんが不仲になった原因、どうします?」
『あぁ……』
長く息を吐く気配がする。煙草を吸っているのだろう。
解散をした日、一郎は左馬刻から預っていたライターを返そうとした。しかしそれは左馬刻に拒まれ、いまもまだ一郎が預かったままである。
「すぐにまた必要になるからおまえが持っとけ」
そう言って笑った左馬刻をどれだけ頼もしく思ったか。
『おまえが合歓に手ぇ出したってことにするか? もしくはこっぴどく振ったとか』
「えっ、合歓ちゃん?」
まるでネットに憶測を書き込んだ誰かのようなことを言うな、と思った。
合歓は左馬刻の妹で、一郎と同い年だ。左馬刻が家に招いてくれた時に紹介された、彼にとって唯一の肉親でもある。弟たちと施設で育った一郎はそこで左馬刻と自分の共通点を見出した。
しかし、現在合歓は左馬刻のそばにいない。政権交代してから中王区に身を置いているのだ。
「そんなことで解散にまで発展したんすか、TDDって」
『そんなこと?』
「いや、それは由々しき事態っすわ。すんません」
左馬刻には直接言ったことはないが、彼はなかなかのシスコンである。
しかし一郎自身も弟たちを可愛いと思っているし、目に入れても痛くない。左馬刻のことをからかう理由はなかった。
「じゃあ、もしどうしても理由を話さなきゃいけなくなったらそう言っときますね。合歓ちゃんに手ぇ出しちまってー、って」
『……嘘だってわかっててもおまえの口からんなことが出てくるとムカつくな』
「いやいやいやいや」
「マカロン買ってきてぇ」
テーブルに突っ伏した乱数が死んだような声で呻く。
「マカロンだぁ? んなもん自分で買ってこいや」
ソファーにどかっと腰を下ろした左馬刻がいやそうな顔で煙草の煙を吐き出した。隣でラノベを読んでいた一郎も顔を上げる。
「シブヤはそういうのいっぱい売ってんじゃねーの?」
「ここシブヤじゃん! ちょっと外出てきて買ってきてよ、いちろー! 甘いもの摂取しないと死んじゃう!」
乱数は仕事に忙殺されていた。
TDDは乱数の事務所や左馬刻の所有するビルの一室に集まることが常で、今日は乱数の事務所の方に集まっている。乱数の事務所はシブヤのド真ん中にあり、近所には流行の最先端が集まっていると言っても過言ではないのだ。
「えぇー。んなもん買ってくんの恥ずくね?」
「だいじょーぶ! 最近は甘いもの好きの男子も増えてるし平気平気!」
「乱数くん、あまり無理強いさせてはいけませんよ」
「えー、そんなんじゃないよ! ねっ、いちろー!」
寂雷は三人のやりとりを見るのが好きだった。
彼自身が会話の中心になることは少なかったが、三人が他愛もない話をしているのを眺めていると心が穏やかになるのである。忙しい日々で溜まったストレスも吹き飛んでしまうのだ。
「……って、ちょっと待て」
スマホでシブヤにあるマカロンの店を調べていた一郎がはたと呟く。
「違くね? 解散したんだよな、俺たちって」
TDDが解散してから半年が経っていた。
しかし中王区からはまだ次の指示がない。TDDという絶対王者がいなくなり、ゆっくりとまとまりかかっていた国はまた混沌を極めようとしていた。
中王区がなにを考えているのか。それは乱数にもまだはっきりとわからないらしい。
「いやぁ、ダメだね! ここでみんなと集まるとなーんか落ち着いちゃって」
「ふふっ、そうですね」
表向きは「不仲での解散」となっている以上、公の場で親しくしている様子を見られるわけにはいかない。
しかし、彼らには大きな野望がある。たまにはこうして顔を突き合わせて話し合うことが必要だと気付き、解散して初めて四人が集まっている状態なのである。
「でも久し振りっすよね、こうやってみんなで集まるの」
「だよねぇ! みんな引っ越しちゃったから距離が遠くなっちゃったし」
TDDの解散を命じられた際、中王区から具体的な指示はなかった。しかしただ一つだけ、「引っ越し」を命じられたのである。
「一郎くんはそのままイケブクロ、左馬刻くんがヨコハマ、乱数くんがシブヤ、私がシンジュク……」
「左馬刻だけ離れちゃったよね。なんでだろ?」
「まじでふざけてやがるぜ……」
眉間に皺を寄せた左馬刻は、短くなった煙草を灰皿に潰した。
左馬刻だけなぜか少し離れた場所を指定され、妹と暮らしていたイケブクロにあるタワーマンションを手放す羽目になってしまったのである。イケブクロとヨコハマは遠くもなく近くもなくといった距離だが、「ヨコハマに住む」ということを絶対条件とされたのだ。
ちなみに、左馬刻の妹は現在中王区にいる。中王区に身を置けばその身を保障すると言われ、渋々送り出したのだが。
「左馬刻さん以外はそんなに動いてないっすもんね。中王区になんかやったんすか?」
「やるわけねーだろ、なにするんだよ」
むしろ大人しく言うことを聞いているだけだ。左馬刻としては中王区に感謝してほしいぐらいである。
「……さて、そろそろ本題に入ろうか」
手にしていたコーヒーカップをソーサーの上に戻した寂雷は、ゆっくりと三人の顔を見回した。
「今後、中王区はどのような動きをするだろう?」
そう、彼らはなにもお茶をするために集まったわけではない。
作業机にある資料たちとにらめっこしていた乱数は、いったんそれらから意識を外して立ち上がる。
寂雷の隣はまだ空いている。そこに腰を下ろし、目の前にいる左馬刻と一郎を見た。そして隣の寂雷を見上げる。
「あくまでボクの予想だけど……。ボクたちを違う地区に置いたってことは、地区の代表にさせてバトルでもさせるつもりなんじゃないかなって」
「ふむ、さながらディビジョンバトルのようなものかな」
「そそ! TDDが強すぎて話にならないって言ってたのは聞いたことあるしね。中王区としてはちょっとした脅威だったみたい」
政府として反乱分子は早めに排除しておくべきだ。そのような発想に至ることは容易に想像できる。
「てことは、俺たちは敵同士になるってことか……?」
色の違う二つの幼い瞳が不安そうに揺れる。
「乱数くんの言う通りならばそうなる可能性が高いだろうね」
「チームメイトはどうすんだよ。それも奴らが選んだ適当な奴らと組むことになるんだったら黙っちゃいねーぞ」
新しい煙草を咥えた左馬刻がじとっとした目で乱数を見る。一郎がすかさず火を差し出した。
「んー、どうだろ。