1 4 2 3 1 4 2 3 1 4 2 3 1 4 2 3……
アルペジオはフォームが変わらないことが大切だ。
必要なのはその瞬間に思い描く動きを忠実に再現する指の筋力とコントロール。最初はゆっくり、思い通りのラインを確認して、ぶれないように注意しながらテンポをあげていく。
この絶妙な上り坂を面倒くさがってはいけない。久しぶりで指がなまっていても、ズルをして飛ばしてもいけない。
『優と小島ちゃんは受験お疲れ様!
『日程調整ありがとうございました。
『今度のMTは金曜日で!日曜はおれバイトあるからごめん
『曲はないけど久しぶりにスタジオ借りるので
『野村さんは早く前のスタジオ代返してください
(→人物の描写いらんやろ しんど)
受験が終わったのでご無沙汰していたバンドに顔を出す。メンバーとちょっと前に付き合い始めた(?)
・インスト系バンド
音楽の良さが伝わればいいけど誰かに聞かせるためというよりは趣味
…みたいなことを特に考えるわけでもなく思いつつそれぞれ自分の好きな音楽をやっているのでいいのであって。
→メンバーの選曲やセンスがいい。こいつのこういう生き方と思想に基づくこの音楽の志向とこいつの能力がマッチしている、みたいなことを無意識にやっている(はずだ)
(このへんの導入がまじ思いつかない)
ブリッジのあたりをたたくともったりした深い音が出る。
沙織は「隠してもしょうがないから」と笑った。
「俺らはラーメン食い行くぞ~」
「優太さんとこの文化祭いきたいなあ」
「○○学部なんでしょ?」
「院は行くの?」
ん~。弟の受験次第。行ければ行きたいけど、無理そうだったら普通に就職でも……やりたいこともないし。
『彼氏なんかに振り回されたくないよ』って言葉
自分ばかりが覚えているようで。
でも自分が彼女のことを特別に思う絶対の理由がないことは俺と付き合っている彼女に対して不誠実。
恋ですらないのかもしれない自分に彼女の言葉に引っかかる資格もない。
(みたいなことを…ふわっと…)
壁の向こうからざあ、ざあと音が聞こえる。びしゃんと大きな音が鳴るたびに、床に打ち付けられて形をなくす水。洗面器でお湯をすくってはかけているらしい。
親はもう寝ているだろうから、今入っているのは弟か。
身内が入浴しているところが思い浮かびそうだったのでさっさとイヤホンを耳に押し込む。
人が亡くなる瞬間の体重を計ったら21g軽くなっていた、という説を信じている人間はさすがにもういないかもしれないが。
人間の魂の重さは21gみたいな話。この説にはもうとっくの昔にオチがついている。(というのは随分前に調べて知)
そもそも魂?に重さで計測するという考え自体が古い。
いつの間にか音楽が切り替わっていた。単調なフレーズの繰り返し。(聴く分にはいいけれど、)BGMは演奏するとなると着地点が難しい。(典型的なBGM)
眠くなって、
こどものころ、考えたことを思い出した。気絶するのと眠るのと死ぬことの違い。
死ぬときには心臓の動きが止まるけれど、心臓でも手でも足でもない、今考えている「僕」はどこにあるのかと。寝ている時と死んでいる時のその「僕」の状態は同じなのかと。
眠る瞬間が分かれば意識の向こう側を知ることができるのではないかと考え付いて、まるでクリスマスイブの夜みたいに、瞼を固く瞑って、感覚だけを研ぎ澄ませていた。
そうして変わらず訪れた眠りに、朝またぼんやりと気づくことになる。
「うん。雅楽」
「雅?」
もう一度頷いた。「ぶぉーってやつ。あと琴もちょっとできるらしい」
なるほどこいつは本当に奇妙なメンツを拾ってくる。
の投稿から遡りインスタグラムを見てみると、神社の息子というのはどうやら本当らしい。山盛りの牛丼。カラオケのドリンクバーから生成されただろう謎の飲み物。俺がいない間のスタジオ練らしい、鏡に映った集合写真。がスマホを向けているので、撮った後に送ってもらったのだろう。意外なことにキーボードの位置に座っている。なんだ、あのぶおーってやつじゃないのか。
初詣か何かか、たまにどこかの神社のぼやけた写真が申し訳程度に入っている。「人多すぎ。マジで無理」
ふーん。こういうやつ本当にいるんだ。
奏ちゃんとなんかのはずみでつながる(主人公よりひとつ上だけど一浪して同期)
『江の島に行かない?』
『水族館』
何気なく開いた画面に二行メッセージが並んでいた。
うへぇ。まじかよ。え、マジで?つか水族館?なんで?シンプルに知りたい。
こいつとはじめて顔を合わせたのは10日ぐらい前で、
(先輩風めいたものを吹かす様子が一向にない。
そういえば、雅楽がうんたらって言ってたな。
サムネイルがまた表示されていた。
ECHO。あなたへのおすすめ。
「いや。みんながなんでもできるわけじゃないよ。というか僕のは趣味」
舞とかと同じ概念。捧げものだよ
まぁ、人集めというのもある
水のエピソード@江の島(仮)
・クラゲに脳はない(お土産屋さんで見たPOPが妙に気持ち悪い。後にどこかでリンクしていく。
「じゃあ、僕はゆっくり見るから優太もどこか適当に見ておいで」
放置。
「スタジオにも水を張ったらこうなるよ」
(ふふっとした感じで笑うって表現したいけどBLじゃね~~んだよな~~~!)
ガラス張りのスタジオ。
演奏している俺たちを、お客がじろじろと見ては通りすぎていく。(意識が俺らにとどまることはないし、俺らの音は客に届かない)
・磯の香りは海の生き物の死骸の匂い(?)
「寄りたいところがあるんだけど(、)いいかな」
こっちが本命だったんだろう。
「やっぱ、家継ぐの大変なの」
「そのためじゃないよ」
「津波の到達地点に神社があることが多いらしい。ほかにも、神社が被災しても鳥居は倒れないとか。聞いたことあるんじゃない?」
→神社の息子が水繋ぎ(概念)してる
「とむらい―――」「というと、エゴ、かもしれない」「そんな気がする」
(言葉少なに)(子供と書くと生贄という意味が加わるとかそういうちょっと怖い系のエピソード(?)
液体の入ったコップを取り落とす
あの曲と水族館は同じ匂いがする。
ガラス張りのスタジオのように、夜(イメージです)部屋に水をためていく
海の神様的なものに遭遇する(?)
身体全体を深く揺るがす、その鼓動。
肌も内蔵も、心臓まで、まわりの水とすっかり同じになってしまったように。
そのリズムに、完璧に溶け込むように、まるで透明人間のように、とても大きな振動に合わせて息を吸う。吐く。
長く吐いて、吐いて、しゃっくりみたいに短く吸って、また尾を引くように長く吐いて、次の脈の震えが肌に届くのを予感する。吸う。
クラゲ。
(なんやこれどこが面白いんや)
俺も海の底に沈んだ人間とおなじで、人間は手が2本と足が2本と頭がついているだけで、
「んー。それはほら。性格。僕ってあんまりリーダー向きじゃないていうか。マイペースだから」
「まあ、わかる」
「『お水つなぎ』?いかねーの」
「あ~~~それ」
「うん…まぁ、今はやめちゃった」
「こっちの話」
もぞもぞしやがって、らしくない。
アルペジオ。体の細胞に、水に聞かせるように。繰り返し。意識がある分指は力む。体が弦の、ボディの震えを聴いて、それに応えるようにまた指を動かしていく。弦が鳴る……永久機関。
「またそれ弾いてんすか」
「おっ」
「おって。先輩、『おっ』て」
「俺、話、聞きますよ(沙織ちゃんとなんかあったんすか)(大学デビュー失敗したとか?)」
「えっ何急に」「キモいんだけど」
「恋の悩みの歌なのかと思ったっすよ」
吉崎が微妙なしなをつくって歌い始めた。
「いや、まじキモいからやめろって。てかほんとどうしたお前」
「俺、バンド、やめるけど。みんなのことが嫌いってわけじゃないし。全然、みんなで、飯とか行きたいし」
もとから別に活動なくても遊びに行ってたじゃん。あんな感じ。
「そっか」
ーーーの誰かが頭を洗って、体を洗った泡だらけのぬるま湯は排水溝に吸い込まれて、パイプを伝って浄化槽ですっかり冷え込んで(なんて言うんだっけ)海に流れ込み、何千年の周期で大きくうねって海岸線を襲う。
「バンドやめちゃうって本当なの」
「
「またどこか行くの?藤沢?鎌倉?湘南とか?」
「行きたいなぁ」
「優ちゃん、なんか、変だよ」
「いかないで」
「怖い」
「海に?」
「そういうことじゃない」
だって。
あの音がまだ、響いている。