「なんだってこんな……」
「俺はアンタの自業自得に近いと思うんスよね」
「うるっせえなあ。もしそうだったとしても、どうしてそんなニヤケ顔している奴と二人っきりにならなきゃあいけないんだ?」
「しょーがないっしょ。アンタと濃厚接触しちまったんだからよ」
冷たい病室に閉じ込められた二人は何の面白味もない無地のゆったりとしたパジャマに身を包んでいて、それぞれに与えられた頑丈さだけが取り柄の白いベッドの上にごろんと転がっている。文句を言っている方は顔色がやや悪く、ニヤニヤしている方は健康そのものに見える。
「こんなときにイタリアに取材に行っちまったんだから仕方がねえよ。諦めろよ、なっ、露伴」
「チッ……行きの飛行機に乗ったときは、日本の方が汚染された国扱いだったんだぜ」
「それが、M県でのおそらく最後の感染者になりそうだっていうんだからナァ」
「最後はお前だッ、東方仗助ッ」
「まあそーっスね。俺はアンタと濃厚な夜を過ごして、それで移されちまったんだから」
仗助はやおら起き上がると、長めの前髪を両手でギュッと頭に押さえつけて、そして露伴のベッドにのっそりと近づいた。つい5日前も、帰国して疲れて寝ていた露伴に同じように近づいて、寝間着を剥いで、そして………………
露伴はハァーとため息をついた。
「まさかここでおっぱじめようっていうのか?」
仗助は口の端をニッと上げて答えた。
「仗助クンも、もういいトシなんで人に見られてると興奮するどころか萎えちまうんスよね〜」
「じゃあなんで……」
仗助は、日頃はヘアバンドで隠されている露伴の額にわざと大きくブチュッと音を立ててキスをした。
「こういうのも濃厚接触のうちなんだろう?興奮しねえ?」
露伴は掛け布団を顎まで持ち上げて、吐き捨てるように言った。
「お前がここまでバカだったとは、ぼくの一生の不覚だよ!」
顔を真っ赤にしてさらに布団に潜り込んだ露伴は、眉をきゅっと寄せて急に黙ってしまった恋人にさらに言葉を浴びせていった。
「ぼくは無症状感染者のお前とは違うんだからさァ……」
「ああ。だから、俺が側にいるから」
口づけられたところをゆっくりと撫でていく大きく温かい手を見遣りながら、露伴はフンと鼻を鳴らしたのだった。
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初公開日: 2020年04月28日
最終更新日: 2020年04月28日
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コメント
じょーろです。たぶん。