どうしようか、と、潜めた声が耳を掠める。
騒がしすぎるくらいに賑やかな店内の音が一瞬聞こえなくなるくらいに、その声は僕の脳みそを強く揺らした。
兄さんが何か号令を出す。各々が次の酒を注文していく中、僕は平静を装いながら、おれはとりあえずやめとく、と呟いた。
そろそろ皆の食欲も落ち着いてきた頃だというのに元気に唐揚げとウーロン茶を注文した隣に座る男が、どの段階から酒を飲まなくなっていたのか覚えていない。側から見ればただの上機嫌な酔っ払いだけれど、こいつの発言は常に酔っ払ってるようなもんだし、もしかしたら今日は最初からそのつもりだったのかもしれない。
膝の上に置いた手の甲を、指先で優しくなぞられる。思わずびくりと体を跳ねさせてしまって、周りに不審がられやしないかと不安になった。
「今なら、抜け出せそうだ」
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