カラオケ個室、隣に恋人、こんな状況で二時間二人きり。何も起きないはずがないと思っただろう。
大間違いだ。
「お待たせ! 何も変なことされてないわよねサンジくん」
「ンナミすわぁ~ん! 絡新婦ちゅわ~ん! 大丈夫だよあいつ変なとこで奥手だから♡」
「そ、ならよかった」
 こんなおっかない女どもが来るとわかっていて手を出すような節操無しならこんなに長く生きてはいない。それに、女の後にはダチが来る。その後には妹も来る。そんな連中が来る中で白い目で見続けられるのは嫌だというだけだ。決して俺が奥手だからではない。決して。
「しかし驚いたわね~まさかトラ男くんが東大生だったなんて」
「親後さん、向こうで医者をやってたからね。不思議なことじゃないよ」
「サンジくんがトラ男くんと知り合いだったことも驚きよ、あたしは」
「縁は異なもの味なもの、だね」
 今日この場がセッティングされたことは何ら不思議なことではない。事実、あの妹をして襲われた以上、コレクターに対抗するための会議や情報交換の場は必要になってくる。ここにこれから集まるのは奇妙珍妙もいいところのメンバーたちだ。
「おーうお待たせおまえら。ゾロ! ポテトとピザ頼むわ」
 特に何事もなくやってきたウソップ。俺はこのお願いを聞き届けなければならない。じかんや予定の都合で、妹とそのダチとを送迎してもらったのである。ウソップの後ろからヒョコッと顔を出した妹と、その背後からヌルッと入ってくるV系かぶれのようなヤツ。
「ホロホロホロ! 揃ってんな。それにしてもずいぶんなメンツだ」
「ペローナちゃん♡ きのうぶり♡ 学校お疲れ様♡」
「サンちゃん! やっぱシャツも似合うなカワイイじゃねーか!」
 ルンルンで会話されて、俺としては複雑な心境だ。他の連中が、俺の家じゃ普通になっちまったこの様子を見るのは初めてなわけだしな。
「これで出揃ったわね」
「見慣れぬ面々がいるのだな。そこな婦人と、アヤカシ狩りの隣とは面識がない」
「そだな」
 妹は俺の交友関係を勝手に把握するが、俺は妹の交友関係に興味がないためろくに知らない。が、このV系かぶれに関しては除外。なぜならしょっちゅう妹とライブ配信のコラボをするからだ。つまりしょっちゅううちに遊びにきている。
「地下バンドのひと?」
「失敬な。おれは占いを職とする者。名をすべて明かすわけにはゆかぬ、ホーキンスとだけ名乗っておこう」
「占い。なるほど、ペローナちゃんの友達なんだもんねっ♡」
「そうだぞサンちゃん。知らないのも無理ねーが、ホーキンスは世界一予約の取れねえ占い師なんだ」
「そうなんだあ♡」
「ホーキンス、オマエならわかるだろうが、このヘテロクロミアはいろいろあってうちの駄兄貴から半分譲ってもらったやつなんだ」
「……恐ろしい死相からよくもここまで生き延びたものだな」
 まあ、そういう感想になるだろうな。
 妹からのご紹介通り、このV系かぶれはホーキンスという名で活動している超腕利きの占い師である。タロットが主だが、持って生まれた力はカードを通してひとの死相を視るという。初対面の俺に対して「死に損なうのも愚かなことだぞ」と言い放った野郎だ。中途半端に身を護れるというのも良いことではないんだな、と、いまでは良い教訓である。
 そんなヤツがこいつを視たら、あれだけのモノを背負ってたとこからこうまで復活してるだけあって、よくて不思議か、言葉が選べなきゃヤベエと思うのだろう。
「ホーキンス、久しぶり。彼女は視ればわかるわよね?」
「大妖怪まで従えるようになったか……やはり神の妻は神、か」
「話が早すぎるんですけど」
 絡新婦はくすくす笑っているのだが、機嫌は良く無さそうだ。少なくとも目は笑っていない。どんだけナミに本気なんだろうか……。
「もういいだろう。本題に入ろうぜ」
「そうね。みんな、集まってくれてありがとう。今日こうしてみんなで集まったのは他でもないわ」
 タイミングよくドアがノックされた。注文したポテトとピザがきたらしい。
「お待たせしゃした~……って、おぁ!?」
「あ!? 邪視……の、片っぽ!」
「おまえ! 妖刀使い!」
「普通に喋れんのかよ! キャラどうしたキャラ! 置いてくんな!」
 俺と同じように、日常生活では医療用眼帯を付けるようにしているらしい。帽子を被っていた方の邪視の片割れがポテトとピザを持ってきた。
「両方揃えば、ああなる。交換したせいで、混ざるんだ。意識も、視覚も、感覚も」
「はあ、そうかよ……驚いたぜ……まったく……」
「なぁに~? ゾロ、早くしてよ」
「!!」
 ナミが声をかけてきた途端、邪視(片割れ)は逃げるように去った。眼帯で隠していても、ナミのことは視たくないのだろう。後日グラサンの方の片割れにも会ったが、「いくらイイ女でもアレは無理だわ」と言われたのでやはりナミの不浄ぶりは尋常じゃない。
「仕切り直して。あたしたちがこれから対抗しなくちゃなんない相手の話をしましょ。ヤツの名は、コレクター……あたしたちみたいな、あっちとこっちで不安定な人間だったり、アヤカシそのものをコレクションしてるヤバいヤツよ」
「この間の池袋での集団パニック……あれは、ヴァンパイアの先祖返りを標的にしたコレクターに雇われた自称ヴァンパイアハンターどもの起こした騒動だった。オレたちはそれに関わったことで、コレクターの存在を知ることができたんだ」
「アタシはその自称どもに襲われたぞ。どうやら広々とアタシらへの手配書が回ってるみてーだな」
 これだけの実力者が揃った中でこれだけの話が出てくるということは、コレクターというヤツはやはりどんなヤツを狙ってどんなコレクションをしたがっているのかがハッキリしない。結局はヤツにたどり着くことも、こうして「気を付けていようね」とだけの言葉では難しいようだ。
 俺や、妹としては、あの(・・)親父が「気を付けろ」と言ってくるような相手だという時点でなかなかの警戒をしているつもりだが、警戒を続けているだけでどうにかなる相手でもない。
「そうか……どうりで、最近妙な客が出入りしていたのだな」
「妙な?」
「やけに死相の強い者ばかりが顔を見せるのだ。まるで、『これから槍の一本のみで野生の獅子と対峙するのだ』とでも言わんばかりのな……」
 それどこのスパルタ?
 ニューヨークで雑誌の撮影をしていた、いまをときめく超セレブハリウッド女優、ボア・ハンコックがまるで恋する十代の娘のように電話を取ったことにより、撮影は中断せざるを得ない状況となった。撮影スタッフたちは天変地異でも起きたかのように驚いたが、ハンコック側のマネージャーたちに「このことは一切他言してはならない」と釘を刺され、その視線がまるで蛇のように鋭かったために、この話がパパラッチ連中に漏れることはなかったという。
「ルフィ……! ど、どうしたのじゃ? 急に連絡をくれるなど……」
『おお、ハンコック。悪ぃな、仕事中だったろうによ』
「良いのじゃ良いのじゃ! ルフィより優先すべき仕事なぞ無いわ! 妾……ルフィのためなら何だって……!」
『んや~ほんとごめんな! ちょっと話があってよ』
 何気ない会話に過ぎないが、ハンコックにとっては眠りの中で見るどんな夢よりも、妄想の中で浸るどんな幸福よりも愛を感じることだった。
 だってルフィが、あのルフィが、妾に、わざわざ国際電話をかけてまで、話したいことって……!
 ハンコックは期待とときめきではちきれそうな心臓を宥め、何もないふうを装って返す。
「なんと……ど、どうかしたのか? 妾がまた日本へ向かおうか?」
『いや……おれといると、逆に危ねえだろうから』
 ルフィが妾を心配してくれている……!
「何か、あったのじゃな」
『おう。ハンコック、もし、おまえのとこにコレクターってヤツからの刺客が来たら……迷わずに目を使っていい。危険な連中だ』
 いつになく真剣な口ぶりのルフィにときめきがメーターを振り切ってしまい、ハンコックはヘナヘナと撮影機材にもたれかかった。それでも声の調子だけは変えないのは、女優としての意地と言えよう。
「左様か……聞かぬ名だが、どのような者じゃ?」
『おれたちみてーに、普通の人間とはちょっと違う力の持ち主を集めてるヤツらしい。世界中でそういうのを探して回ってるらしいんだ。どんなヤツかはまだハッキリわかんねえけど、おれ、ハンコックが狙われたら嫌だからよ』
 ルフィがどこまでも妾のことを心配してくれている……!!
『邪視持ちのヤツに日本で会ったんだ。すぐにハンコックを思い出した。気を付けてくれ』
「ああ……ああ……!! ありがとうルフィ! 妾のことを、そんなにも想ってくれて……!」
『おう! 何かあったらおれ、すぐ手配するからよ。言ってくれ! じゃあな! お仕事頑張ってな!』
「はわ、はわわ~! あ、あ、ありが……!」
 ハンコックが言い切る前に電話は切れてしまったが、ハンコックは「このままでは昇天する」状態の一歩手前にいたので命に別状はなかった。しかし、
「はにゃ~~~ん……♡」
 しばらくは撮影に戻ることが不可能なほどに、体温が上昇してしまったという。
「おう! トラファルガーっ!」
「……ユースタス屋?」
 久しぶりに聞く耳障りな大声を捉え、日の当たらないカフェで論文を執筆していたローが顔を上げる。大柄な体格には小さく見えるカプチーノを片手に、ローの数少ない友人であるユースタス・キッドがやってきた。当然のようにローの前に座り、もう一つの座席にはキッドと常に行動を共にする謎の仮面青年・キラーが座る。見た目でかなり損をしている二人だが、ローにとっては数少ない「本当の」友人だった。
「ちゃんと日陰にいるな、よしよし。手前は体質のせいで日光に弱ぇんだから、気を付けねえとな」
「先日はなかなか派手にやったな。どうしたのだ」
 仮面に空いている穴の一つから器用にフラペチーノのストローを差し込み、キラーが首を傾げる。
「そうだぜ。何か池袋でパニくってるって聞いてよ、画像見たらこりゃ只事じゃねえと思ってすぐに行こうとしたんだが、もう電車が動いてなくてなあ。間に合わなかった。なんであんなことに?」
 ローとキッド・キラーコンビとの関係は三人の小学時代にまでさかのぼるが、二人は小学校から何一つ変わらない。
「おまえ、ずっと先祖返りの力は使いたがらなかったじゃねえか」
 ローの体質についてロシナンテの次に詳しいのは二人である。
 未確認生命体、オーパーツ、未確認飛行物体、等々。これらに魅了されたまま大人になってしまう人間の数は少なくない。子供の頃の情熱をそのまま持って成長すると、大抵の人間がオカルトマニアと呼ばれる存在になる。宇宙人の存在を信じ、妖怪や怪物の実在を夢見る、そんな存在。スモーカーも同じ部類だが、奇しくも彼ら二人もそうなのだった。
「……いろいろあって。もう、俺は俺のことを怖く思っていないよ」
「そうか。そりゃいい! 今度、コウモリに変身してくれ!」
「俺のは先祖返りの力だから完全にコウモリにはなれないぜ。せいぜいコウモリの羽が生える程度だ」
「完璧だな。良いかトラファルガー、そもそも我々が見たいのは本物の人外姿なだけであって、何もすべて伝承通りでなくとも良いのだ。存在している、その事実だけが、我々が夢の世界にいるわけではないと証明してくれているのだ」
 少々大袈裟な言い分ではあるが、少なからず先日までローが暴走をせずにいられたのは二人の存在が大きいだろう。彼らはオカルトマニアなだけだが、それ故にローの力を恐れることも否定することもなかった。その毅然とした態度がどれほどローの支えになっていたかは、ローの口から語られない限り明らかになることはないだろう。
「はは、大袈裟だな相変わらず。それから、そうやってすぐに現場に突っ込もうとするのも相変わらずだ」
「事件はネットで起きてるんじゃねえ、現場で起こってんだ! 行かねえでどうする!」
「名言だな」
「しかし本当に大規模だったが……あれがすべて、おまえを捕えようとしていたというのか、トラファルガー」
 キラーに訊ねられ、ローは少し目を閉ざした。
本当は誰かに助けてもらいたくてたまらなかったほど怖かった。あんなに大勢の人間に化物扱いを受け、当たれば死ぬような武器を向けられたのは初めてのことだったのだ。虚勢を張って、ほとんど死ぬ心づもりさえ持って立ったあの場に何が関係しているかといえば、それは紛れもなく、あの男だった。
「……おまえたちも、気を付けた方がいい」
「何故だ」
「あいつは、見境ってモンを持ってねえ。人間を食い、化物の皮を剥ぎ、それを心から楽しんでいる。そんな危険なヤツに一度狙われた身だ。俺に絡んでまたその影響を受けねえともわからねえ」
 ここでキッドのスマホがブルブル派手に震えた。ただの通知だったようだが、首を傾げたローにキッドが豪快な笑顔で見せてきたのは『再生回数がミリオンを達成しました』というメッセージだった。
「オカルトハンターっつってな! 動画配信をやってんだ。ウケが良くてよぉ、収益も悪くねえ! 本物撮れた試し一度もねえのにな……」
「そうなのだ。しかし再生回数が伸びたことでよくわからぬ声もかかっていてな」
「はあ……」
 ローにはあまり興味のないことだったが、二人がこうまで変わらないということに逆に安心感を覚えてすらいた。小学生の頃、知り合った頃からずっと変わらない。二人はずっと、オカルトを追求し続けている、夢見る少年のままだ。
「声って、どんな」
「うむ……」
「いやー、なんかな、『うちで雇うから、もっと本格的にオカルトハンター活動をしないか』ってなあ」
 背筋に妙な汗が流れるのを感じている。ローは「まさか」という気持ちを拭えないまま、二人の話を聞いている。
「いやな、おれたちがいちばんよくわかってるんだ。トラファルガー、おまえみたいなのがゴロゴロ存在してるとしても、おれたちにゃ視るこたぁできねえ。なぜならおまえたちは隠れるからだ。そりゃそうだ、人間の大半はおまえらが人間に害為す生きモンだと思ってビビッちまう。おれたちみてえなのは少数派だ。だから共存はできねえ。サンが森で、アシタカがタタラ場で暮らすのと同じだ。だからおれたちはそういう、夢(ロマン)を求めてこうやって動画を作ってる……折れずに追求していられんのは、トラファルガー! おまえがいてくれたからなんだ。最高のダチだ。だからおれたちゃ、おまえを裏切るような真似はしたくねえんだよ」
「……そいつからの提案は、蹴ったって、ことなんだな」
「そうだ。本格的なオカルトハンターっていうのはな、日本に留まらず世界中を飛び回って、ただその息吹を(・・・・・・・)感じられるヤツだ(・・・・・・・・)! 証明を求めるんじゃねえ、夢を見続け(・・・・・)られるヤツだ(・・・・・・)! だからわけのわからん資金源でやるモンじゃねえんだよ」
 ローは心底から安心したというように胸を撫で下ろした。友人が想像以上の値対を持っていたこと、そして想像以上のバカだったことに安心と落胆の両方を覚えてため息をついた。
「一つ聞いていいか?」
「どうした」
「その、支援の話をしてきたヤツの名は、コレクターってヤツじゃないか?」
「? そうだが。知っているのか、トラファルガー」
「……俺を襲った連中はみんな、そいつに雇われてたゴロツキだ」
「海神は今日はどこへ?」
「ルフィはルフィのツテに連絡したり、会いに行ったりしてるわ。あたしたちじゃ敷居が高いひとたちもいるしね」
「そうか……神の家系はやはり人脈まで特殊か」
 その理解で間違いはない。以前エースがよく言っていたものだが、ひとの縁というのは引き合うのだと。本当のことで、寄り合うべき人々は寄り合い、隔たれるべきところは隔てられるのだそうだ。「昔のひとの格言は馬鹿にならねえよ」と笑っていたっけ。
「まあ、ルフィが言い出したことなんだけどね。どうかしら、あたしたちこうやってつながってるでしょ? だからね、積極的な情報交換の場……要するに、ギルドみたいな集合知でいればいいんじゃないかって」
「ギルド! 往年のRPGゲーマーにはかぐわしい響きだぜー!」
 盛り上がるウソップ。俺は世界史には特別詳しくないのでピンとくるかこないかと言われれば、あんまりこない。
「定期的に集まってもいいでしょうし、なにか起きたら連絡を回すのよ。とりあえずは、そうね、あたしが代表ってことでいいわ」
 合理的な組合、いや、ギルドってやつになりそうだ。ざっと部屋を見回しても、これに不足があるとは思えない顔ぶれだ。
「……ちょっと、失礼」
 絡新婦がスマホを持って部屋を出た。和邇社長あたりから連絡が入ったのだろう。
「てな感じで、どう? 悪い話では、ないと思うんだけど」
「賛成! まあ、結局全員関わってる話だしな。ウチもいまオヤジが居座ってっから安全度高いぞ」
「居城作るってんならうちでいいだろうな。なんだかんだ言っていちばん安全なのはルフィん家だが……」
「それは、そうね」
 絡新婦が戻ってきた。大した用ではなかった様子だが、何が入っているのかわからないカバンを持って席を立った。
「ごめんなさいね。ちょっとサーから、呼び出し。私も剥製にはなりたくないから、全面的に賛成よ。頑張りましょ」
 大人の女の言葉を残して去って行った。走り去ったところが気にかかったが、大妖怪にも大妖怪なりの急ぎの用くらいあるのだろう。
「それなギルドについてだが……最終的な目的はどこにある?」
「もちろん、コレクターの撃破よ。身の安全のためには、見つけ出してブン殴ってやめさせるの。それが手っ取り早くてわかりやすいでしょ?」
 ナミが言い出したわけではなく、ルフィが言い出したことを忘れてはならない。しかし、ナミがこれを意見しているということは、ナミにも若干ならぬ脳筋要素があるということを、俺たちは忘れてはならない。
「なるほど……」
 ほらホーキンスの野郎ちょっと引いてるじゃねえか。
 人気絶頂の和菓子店の前は常にひとで溢れかえっている。高級外車から降りてきた青年たちがやってきても何ら不自然な光景ではなかった。ただ、三人の青年の姿を見た店員が大慌てで接客を取りやめて青年たちのもとにやってくる光景は、普通ではなさそうな雰囲気を一般客に与えるにはじゅうぶんな要素だった。
「い、いらっしゃいませ! 本日はいかがされましたか」
「おう、混んでるとこ悪ぃな。カタクリ、今日いるだろ? どっかで話せねえかな?」
「店長ですね、お待ちください」
 数分後、二階の喫茶スペースの端に、大振りの手拭で顔の下半分を完全に覆っている大柄な男と、青年三人とが向き合う形となった。
「よ! カタクリ! 元気そうだな」
「ど、どうしたのだ麦わら……アポ無しとは、珍しい……そうでは、なく。電話でもない、とは……急ぎの用か?」
「やっぱりカタクリは話が早いな。そうなんだよ」
 気難しそうに腕を組む兄二人に挟まれながら、ルフィはいつになく真剣な顔で話を進める。
「最近、変なヤツが来てねえか? 妙な話を聞いて、こうしてみんなに知らせて回ってんだ」
「変な、ヤツ?」
「そうなんだ。カタクリも、狙われたらまずいと思ってな」
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初公開日: 2020年04月25日
最終更新日: 2020年04月25日
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