方針:
実は甘いものが好きだけれど、誰にもそんなことを言っていない。
銃兎の家に行くときに手土産として自分が食べたい甘味を持ってきて、銃兎と食べるのが好き。
という設定でお話を書いていく。
今日も二郎は、学校が終わると家には帰らず、一人で電車に乗り込もうとする。
目的地はヨコハマ。二郎の興味を惹き、イケブクロの次に愛すべき場所となったその場所へ、二郎は先日からあしげく通っている。今まではこっそりとお忍びで向かっていたのだが、先日兄から、ヨコハマへ行くことを許された二郎は弾む足取りでイケブクロの駅までやってくる。
「あ、いけね……」
改札をくぐろうとする直前、二郎は忘れ物をしていたことに気づきすぐさま踵を返す。
人の多い駅の地下を、間を縫うようにさまよい歩き、二郎は目的の場所へ辿り着く。
「あった……!」
店の前に並び、二郎は目的のものが買えるまで、じいっと周囲を眺める。
自分を知るものも多いからか時折二郎に気がついた者がちらりと二郎を見ているのがわかる。普段ならこんな場所に居ることに居たたまれなくなり、列から抜け出してしまうだろう。
しかし、今日の二郎は違う。
大丈夫だ。今日は許される。
あの人に会うのだから、大丈夫。
これは、あの人に渡すために買うのだから。
おまじないのように唱えながら、二郎は店員に四つほしいと告げ金を払う。
二郎は店員からものを受け取ると逃げるように地下におり、改札をくぐる。
あまりに勢いよく走ったためか、電車の中に入った二郎は息が荒く、車内でひどく浮いていた。しかし二郎はすぐに呼吸を整え、ゆっくりと椅子に座り他の客に溶け込んだ。
手にしている袋をきゅっと握り、二郎は窓の外へ視線を向ける。
手にしているものは、二郎がずっと食べてみたいと思っていたアップルパイで、周囲の評判もとても良いものだった。焼きたてだからだろうか。袋がまだ少しだけ温かい。
クラスの女子が話しているのを聞いた二郎は、ひっそりとこれを食べてみたかったのだが、その願いは今まで叶うことは無かった。
二郎は他人が思っている以上に、人の評価を気にする。それは二郎が昔から兄弟の顔色をうかがい、時に兄として、時に弟として振る舞って生きてきことから染みついてしまったものだ。
だから二郎は、ブクロの番犬である自分が、甘いものを手にしているということが人からどのように見られるのか気になって仕方が無かった。そんなことを考え、うだうだしていた二郎は今までこう言った
走り出した電車は、少しずつ二郎をヨコハマに、愛する人のもとに連れて行ってくれる。
ほう、と吐き出された吐息はとても甘く、二郎の口元は綻んでいることを二郎は知らない。
そんな二郎を、電車はヨコハマへと運んでいった。
▽
着いたよ、と連絡が入ったのは銃兎の仕事があと二時間は終わらないという時間だった。
銃兎は深いため息を吐き、まだ終われないと入力し、迎えに行けそうな時間も合わせて送信する。二郎からは了解の意を示すスタンプが送られてきたため、銃兎はため息を吐いた。
こうして、銃兎の都合で何度も二郎を