診断メーカーレナダニ 全部飲み込む
「お前、仕事に……もど、れッ!僕は寝ていれば治る!」
「レナート、嘘をつくな。──ほら咳き込んでるだろ」
扉を開けようとして、奥から聞こえてきた声にダニーの手は止まった。──先客だ。自分より先に親友の彼がお見舞いに来ているようで、苦しげなレナートの声と、エディ──ミハイルの会話が聞こえる。
レナートが倒れたのは今朝のことだった。
今までいたリーダーが死んで不在のとなり、レナートがリーダーになってから初めての仕事を終えた。前のリーダーがいる時に引き受けた仕事は大きく、レナートは弱音を吐いたりはしなかったが、何日も徹夜をしていたことをチーム全員が知っていた。
それでもレナートのことだから寝るように言っても聞かないことも全員が分かっている。そして作戦を決行──成功させて帰ってきたのが明け方のことだった。
イグニスの拠点についた途端、先頭を歩くレナートが倒れたのだ。
拠点で出迎えてくれたキールが正面からレナートを支えたため地面に倒れ伏すことはなかったが、彼はひどい高熱で意識が朦朧としていた。
組織お抱えの医師を呼び、診察の間に仕事から帰還したばかりの各位は身支度を済ませることになった。
そして、ダニーはレナートの様子が気になって見に来たというわけだ。
時刻は午前八時を過ぎた頃で立っていなければすぐに目を閉じてしまうくらい眠い。それでも高熱でうなされているレナートのことを考えれば睡魔とも戦えた。
「ミハイル、来てたのか」
ダニーはドアノブを捻り、ゆっくりと押し開く。レナートの部屋はリーダーのくせに他のメンバーと変わらない広さだ。
机と本棚、クローゼット、そして一番奥にベッドがある。一つ違うのはリーダーの部屋にはシャワー室がついているくらいだ。
ダニーが部屋の奥へ視線をやると、ベッド脇の椅子にミハイルが座っていた。彼はダニーの声を聞くと振り返り、少しだけ困ったように肩をすくめた。
「ダニー、お前も来たのか」
ベッドで横になっていたレナートは少しだけ身体を起こしてダニーを見つめる。眉間はしわが寄り、明らかに嫌がっているのが見て取れた。
「体調はどうだ?」
「これくらい何ともない。──さあ、ミハイルもダニーも戻れ」
レナートは手で払うようにして二人に退出を促し、ミハイルとダニーは顔を見合わせた。
「ダニー、レナートを任せてもいいか?おまえの方がレナートも言うことを聞くだろ?」
「さあな。でも、」