PCの画面端の時計を確認すると、まだ締め切りにはあと数時間の余裕があった。葉星大学の学生専用サイトから、俺が履修している講義を選択。レポート提出用のページが臨時にできているので、そこへ先程作り終わったファイルをアップロードする。
 画面に出た『提出完了しました』のメッセージに、体の力が一気に抜けた。
「やっと終わった……」
 はああ、と大きく伸びをする。背骨がばきばき鳴った。窓から差し込む光はずいぶんまぶしくて、もう日が高いことがわかる。レポートの提出がネットでできてよかった。このまま大学に行っていたら途中で倒れそうだ。他に取っている講義も休講だから、行き倒れにならなくて済む。出掛ける必要がないから無茶をしてしまったところはあるが。
 顔でも洗ってさっぱりしてこよう。そう思って部屋を出ると、思いの外まぶしい日差しに徹夜明けの目がくらんだ。
(あ、やば、倒れる──)
「ツヅル!」
「わっ」
 前へつんのめった体は、腕を強く引かれてぎりぎり倒れずに済んだ。寮の中で行き倒れるのは慣れているが、あまり何回もなりたいものではない。
 腕をつかんでくれた手はそのまま体へ回り、くるんとターンさせられて、気づけば俺はその人の胸に収まっていた。色の濃い胸板に、肩へ流れる銀髪。明るい声が頭上から降ってくる。
「オー、ツヅル! ヘリポート終わったネ?」
「……ヘリポートじゃなくて、レポートな」
「ソレダヨ!」
 シトロンさんは喉をころころ鳴らして笑った。俺は惰性で突っ込みを入れたが、案外体幹が強く体温も高いシトロンさんに抱き止められ、安定感と温かさに眠気を感じ始めていた。
 顔を埋めた胸からは花の香りがする。すうっと吸い込むと頭がぼんやりしてくる。香水かな、いや、違う、たしかこれは……。
    *
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綴シト
初公開日: 2020年04月14日
最終更新日: 2020年04月14日
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ツイッターで言ってたジャスミンの香りがするシトロンの綴シト
短くまとめることを目標にします