大抵の場合、彼女より先に自分が起きる。元々夜型の審神者が朝早く起きれる訳がなく、そもそも遅くまでふたりでくんずほぐれずひとには言えない運動をしていたものだから、山姥切長義がもそりと布団から抜け出したところで彼女が起きる気配など無い。ぷぴーと間抜けな寝息を立てる彼女の顔を三分ほどじっくり眺め、それから一度シャワーを浴びに行く。
 事後に軽く身体を清めはするが朝一で昨晩の名残を落としたい山姥切長義はこれを習慣としていた。シャワーを浴び、髪を乾かし、今日は内番なので長船派とよく似たジャージに袖を通す。
 彼女を起こす日もあれば、起こさない日もある。今日は後者の気分だったのでそのまま朝餉の手伝いをしに厨へ。あれでもひとりで起きれるし、そうでなければ誰かが迎えに行くだろう。
「おはよう、山姥切長義」
「おはよう、歌仙兼定。何か手伝うことはあるかな?」
 今日は少し早いね、そうかな?歌仙兼定とそんな会話していれば鶏小屋から帰ってきた燭台切光忠が卵を持って厨へ入ってきた。
「おはようございます、光忠さん」
「おはよう、長義くん。お手伝いかな?」
 頷けば朗らかは笑顔出迎えられた。この卵を割ってもらいたいんだけど、と渡された卵はずっしりと重く、数を聞けば全て割って良いと言う。
 ひとつひとつ、殻を入れないように丁寧に、足手まといにならないように素早く。幸い山姥切長義は手先が器用な部類ではあったので、時間はかかったが卵を無事に割り終えた。
「ありがとう、折角だから今日の卵焼き、甘いのかだし巻きか選んでいいよ」
 味噌汁の具であったり、漬け物の種類であったり。こういったささやかな報酬があることを知っている刀剣男士は案外少ない。
「じゃあ、折角だから…」
 主は朝餉に間に合ったようで、大広間に膳の用意をしているところに他の刀剣男士と共にやってきた。今日の彼女の予定は演練に赴いてから初期刀と書類整理。自分は内番。目を合わせることは無かった。全員、とまではいかないが関係を知っているものは多い。本丸の審神者といち刀剣男士が褥を共にするなど、あまり広める話ではないが。
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